田舎暮らしにはメジャーといってもよい「半農半X」という暮らし方。
そもそも半農半Xとは何なのでしょうか?

1990年代半ばごろから塩見直紀氏によって提唱されたライフスタイルで、その著書『半農半Xという生き方』(2003年、ソニーマガジンズ)によると、半自給的な農業と生活費を得るための仕事を両立させる生き方だそうです。お金や時間に追われない、人間らしさを回復するライフスタイルの追及であるとも書かれています。

そのあり方は多種多様ですし「専業農家」と比べると、目標とすべきロールモデルをイメージしにくいように思います。
そんなわけで、「半農半Xのリアル」特集、スタートします。
半農半Xを実践する人たちを取材し、暮らしのこと、地域のこと、お金のこと、人間関係など、リアルな情報を探っていきますよ。

それで食べていけるの?

第一弾は、ロールモデルとは言いがたいですが、半農半Xの暮らしを模索中の私が、予想外の展開にワクワクすることになったエピソードをご紹介。

私は脱サラして首都圏から山口県萩市の農村部に移住し、地域おこし協力隊をしています。地域おこし協力隊とは、人口減少が著しい地域が、都市に住む人などを受け入れ、担い手として定住を促す制度。最大3年間は自治体などから雇用されお給料をもらえますが、それ以降は自分で生業を作らなくてはいけません。周囲からは、「それで食べていけるの?」と心配の目を向けられることもあります。

【子どもたちと。このとき植えたみかんの木は、ほとんど枯らしてしまった】

移住してから、家についている畑で見よう見まねの家庭菜園を始めました。初めて見る野菜の花、自然の循環を感じながら、収穫した野菜や果物をお腹いっぱいいただくと、体が喜んでいるのを感じます。ただ、失敗も多く、労力を考えたら買ったほうが安いです。けれど、土に触れ、たくさんの草や虫の生命力を感じる体験は、生きる力になると思います。

【都会では虫が苦手だった。人工的な空間にいる虫は気持ち悪いのに自然の中にいる虫に嫌悪感を感じることはない】

【畑に生えているビワを収穫。移住してはじめてビワを好きなだけ食べられる喜びを知る】

意外な展開にびっくり

昨年、「ここいろ」で萩産の胡麻でごま油を作る胡麻衛門(ごまえもん)を取材しました。商品に感激し、大いに刺激を受けたのですが、そこで語られた大きな課題がありました。

>>記事はこちら
https://coco-iro.jp/topics/topics/96

「山口県で胡麻を栽培する担い手が欲しい」という切実な問題です。
これまで栽培されていた農家さんが高齢となり、胡麻栽培ができなくなってしまったそう。そんな話を聞くうちに、言ってしまいました。

「胡麻、作ってみたいです!」

圧搾機で絞られた胡麻油が、大変おいしかったし、自分で育てた胡麻の油を味わってみたいという思いが湧き上がったのです。

取材から数カ月、胡麻の種まきの季節がやってくると、胡麻衛門の社長、杉山芳文さんからメールが送られてきました。

「胡麻はいつ植えますか? 写真撮らせてくださいね」

もう、逃げられません。
未経験者にここまで期待していただけることにも驚きです。

新進気鋭の若手農家、幸坂さんの畑で胡麻の種まき

5月の中頃、農家の幸坂健(こうざかたけし)さんの畑で胡麻の種まきを実践しながら教えてもらうことになりました。

幸坂さんは、農家の三男でしたが、しばらく農業とは別の仕事をされていました。8年前に就農され、お米中心に野菜も作る専業農家です。幸坂さんのすごいところは、ホテルなど、ご自身で開拓した販路をお持ちだということ。「株式会社KO-ZAKA」としてスタッフもかかえるスーパー農家です。

胡麻を栽培するきっかけは、取引している焼肉屋さんから胡麻を作らないかと打診されたこと。

今シーズンで3回目の胡麻栽培。胡麻の収穫時期は、稲刈りと重なるため時間のやりくりが大変です。昨年は収穫時期が遅れ、胡麻が飛び散って収穫量が半減してしまったそう。

種まき当日、幸坂さんのトラクターで耕された畑を見て打ちのめされました。我が家の畑との差がすごい。畝を作るのもトラクターならあっという間に完成します。

【「運転してみる?」緊張で顔がひきつりつつ、トラクターで畑を一往復。杉山さん撮影】

種まき用の手押し車で種をまくと、数時間で作業完了です。
幸坂さんに胡麻の種を譲っていただき、手押し車も貸していただきました。

家庭菜園の畑に胡麻の種まき

我が家では年に数回、中学生の「農泊」(農家民泊)受け入れ家庭をしています。
中学生は立派な労働力。人手があると大変助かるので、5月の農泊体験で女子中学生9人と畑を耕し、胡麻の種まきをしました。

幸坂さんの立派なトラクターと比べて、こちらの道具は鍬オンリー。

中学生らしい恋バナに花を咲かせながらもみんなで開墾し、種まきができました。

翌日、胡麻衛門社長の杉山さんが、手伝ってくれた中学生たち全員に胡麻衛門商品のプレゼントを持ってきてくださいました。これは嬉しい!

数日後、かわいい芽が出てきました。

【1カ月後の様子】

さて、この畑から本当に胡麻衛門の商品が生まれるのでしょうか?
11月の収穫まで大切に守りたいと思います。
この続きはまたいずれ♪

次回は、山口市在住、半自給的な暮らしをしながら自家製酵母パンとおやつのお店を営む「ハイカラ製作所」さんにお話を伺ってきます。

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胡麻衛門
http://gomaemon.jp/

株式会社KO-ZAKA
住所:山口県萩市大字椿794
電話番号:090-7128-4524

<民泊について>
はぎまえ 698(萩市ふるさとツーリズム推進協議会)
https://www.hagi-tourism.com/

つぎはぎ農園
https://tsugihagi.info/homestay/

取材時期:2019年7月
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