秋川牧園を知ったのは、山口県萩市へ移住する前のことです。
この出来事ぬきには語れません。
2011年4月。私は東京都内の総合病院の薄暗く、時折ガタガタ震動する分娩室で、赤ちゃんを産みました。病院内が薄暗い理由は節電のため。震動は余震です。
3月11日、東日本大震災が起こった時、私は出産予定日を1カ月後にひかえた妊婦。テレビ画面に映る被災地の津波は、この世のものとは思えない光景で胸がつぶれるようでした。震災と津波のさなかで、出産したお母さんもいる。震災前と変わらずに住む部屋があり、温かい食事をとることすら申し訳ないように感じました。
震災に伴う原発事故の影響で、東京都の水道水に「乳児の飲み水についての国の基準」の2倍を超える放射性物質が検出され、野菜や牛乳の出荷制限が次々にニュ―スになりました。出産前後の疲労とはじめての育児。そこに、SNSでネガティブな情報の洪水を目にして、不安に押しつぶされそうでした。
食の安全についてアンテナをはってみると、原発事故の影響だけでなく、さまざまな問題があることがわかりました。
そんな不安を抱く中、SNSで見つけたのが今回ご紹介する秋川牧園です。
秋川牧園では、鶏を健康的な環境の中で無投薬飼育をおこなっており、卵やお肉のなかに農薬が残ってしまわないように安全なエサを開発。ポストハーベスト無農薬の飼料、飼料から加工品の原料までnon−GMO(遺伝子組み換えでない)のものを使っています。
また、福島原発の事故が起こった年から鶏の飼料からプリンなどの加工品に至るまで放射能測定をおこなっています。
秋川牧園の冊子「あなたの農園、秋川牧園」には、食の問題に対して秋川牧園がどうむきあっているのか、絵本でわかりやすく描かれています。冊子は会員おためしセットを購入すると届くもので、直売店でももらえます。
https://www.akikawabokuen.com/ebook/
ホームページからも閲覧できます。
秋川牧園を知ったきっかけであるSNS投稿は、先輩ママとして尊敬しているEMIさんの投稿。
東京で働きながら子育てをするEMIさんは、原発事故の不安に徹底的に向き合い、自ら安心安全が確認できる食材を取り寄せて、保育園に通う子どもに毎日お弁当を作っていました。
秋川牧園の直宅農園を7年間も愛用し続けている理由を、EMIさんに伺いました。
―直宅農園はいつから利用されていますか?
2012年1月からです。
―きっかけは何ですか?
近所のママ友たちと食材宅配サービスの話をしていて、秋川牧園の直宅農園の前身となるサービス「スマイル生活」を利用している人がいたことがきっかけです。
―なぜ、直宅農園を選択したのですか?
ママ友が利用している食材宅配サービスのことを全部調べたのですが、秋川牧園は生産者を近くに感じることができる分、信頼できたからです。東京なので物価が高いということはありますが、価格も他と比較して安いと感じます。働いているので、受け取り時間を選べるのもありがたかったです。
―どんなところが気に入っていますか?
生鮮食品だけでなく、加工食品も安心して選べる無添加のラインナップがそろっているのが、とてもうれしいです。例えば調味料や子どものお菓子、自分用のワインなども購入します。
以前、真ん中がスカスカの大根が入っていたことがありました。無農薬、無化学肥料なので、品質が均一ではないのは仕方ないと思っています。クレームというわけではなく、一応、ご報告すると、何の言い訳もされずに返金していただき、誠意ある対応だなと感心しました。
―7年間使っている理由はなんですか?
やめる理由がないからです。近所にオーガニック食材のスーパーがあるのですが、そこで秋川牧園の方に偶然お会いすることができました。そのときにお話しさせていただいて、みなさんがとてもいい方たちだったので、さらに信頼感が増しました。
EMIさんが直宅農園で作る食事やお弁当
7年間も愛用されているEMIさんのお話は、説得力がありますね。
直宅農園は、全国配達。宅急便でインターネットから注文ができます。
また、山口県内はエリア限定で配達手数料がお得な自社配達も。こちらも、要チェックですよ。
https://www.akikawabokuen.com/service/index.html
人が絶えない直売店
東京をはじめ全国に熱く支持される秋川牧園。山口市にある直売店に行ってみました。
直売店は、2018年6月にリニューアルオープンしたそうで、建物も新しく、ナチュラルな雰囲気の心地のよい空間でした。
店内に入った瞬間、まず目を奪われたのは、山積みにされた卵たち。秋川牧園の卵は、無投薬飼育され、エサに残留農薬の心配があるものは使われていません。お取り扱いのある近所のスーパーでも、すぐに売り切れてしまうのか、いつでも出会えるわけではありません。その卵が無造作に山積み。
サイズが少し小さかったり、大きかったりという規格外のものだそうで、通常のお値段よりもうんとお得に販売されています。
開店時間の10時を過ぎると、人が途切れることなくやってきて、山積みになった卵が、どんどんなくなっていく!
そして、この日は水曜日。毎週水曜日は「肉の日」で、肉類が10%割引きに。
鶏肉だけでなく豚肉も牛肉もあります。
秋川牧園の豚肉は、福岡県の農場で大切に育てられたバークシャー種という最上級の希少な品種の黒豚です。また、牛肉は、同じく福岡県の農場で自然に近い形で長期飼育された黒毛和牛。赤みと脂身のバランスがとれた自然な旨味のあるお肉なのだそう。
さらに、毎週金曜日は「冷凍食品の日」で冷凍食品が10%割引きだそうです。
※ 2019年2月時点の情報です。変更の可能性もあります。
牛乳は主に萩市むつみ牧場で生産され、飼料から牛の一頭一頭の顔までが明らかにできる牛乳なのだそう。蒸気釜でゆっくり殺菌され、おいしさを保つガラス瓶にまでこだわりが詰まっています。秋川牧園の卵と牛乳で作られたリコッタプリンは限定販売。スタッフおすすめの人気のスイーツです。
直営農場の無農薬、無化学肥料の野菜もたくさんあります。
野菜は主に萩市の標高300メートルの山間部で作られています。生産者の村田さんは、火山灰土で水はけがよく、寒暖差のあるこの土地は、ひと目見て、理想の野菜づくりができると確信したのだそう。
そんな土地で作られた野菜のお得なセット販売も嬉しいです。
オーガニック無添加の調味料、インスタントやレトルト食品、お菓子、洗剤なども充実のラインナップ。
レジ横には、おいしそうなから揚げとナゲット。
買ってもらった子どもがうれしそうにしていて、ほほえましい。
冬はお休みですが、春になるとソフトクリームも人気だそうです。
直売店のスタッフさん。店長の西本葉子さん(中央)は食育の活動をされています。
知れば知るほどファンになってしまう秋川牧園。「あなたの農園、秋川牧園」の冊子のストーリーをぜひ、多くの方に読んでいただきたいです。
そして、直売店は確実にリピートしたくなってしまうお店でした。
取材時期:2019年2月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
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