「防府天満宮」で有名な山口県防府市。「サンサンカフェ」は市中心部から少し離れた、田んぼと民家が混在する地域にあります。料理に使われる野菜、豆、卵はすべて自家製という、農家さんの営むカフェです。

田んぼや畑に囲まれたサンサンカフェ

ナビを頼りに田んぼの脇道を走っていると、控えめな「サンサンカフェ」の文字を発見。入り口に看板がありますが、それ以外は至って普通の民家のよう。「おじゃまします」と言いながら、扉を開けると……。

中は畳の間がそのまま客席になっていました。縁側にはイス席があり、足元が不安な方でもゆったりと過ごすことができます。玄関を挟んで反対側の部屋はキッズスペース。おもちゃや絵本が並んでおり、小さなお子さん連れの方でも安心です。

サンサンカフェを営むのは岡本ご夫婦。農業担当の淳さんと料理担当の幸子さんは、カフェの他に「岡本畑」という名前で野菜の販売も行なっています。二人とも食べることが大好きで、二十代の頃はバックパッカーで世界を旅しながら、その土地の市場や屋台で食べ歩きしていたのだとか。

岡本畑の野菜たっぷりランチプレート

本日のランチプレート。カラーピーマンのマリネ、四角豆のフリット、オクラとしいたけのオムレツなど、野菜中心のおかずが彩り鮮やか

本日のランチプレート。カラーピーマンのマリネ、四角豆のフリット、オクラとしいたけのオムレツなど、野菜中心のおかずが彩り鮮やか

野菜の料理というと、どうしても和風の味付けになりがちですが、サンサンカフェは和洋折衷。ごま油、醤油麹、酢、ピーナッツなど、様々な調味料が野菜の風味を生かしています。かぼちゃのポタージュはこれまでに味わったことのないような、軽やかだけど深みのある不思議な美味しさがありました。

これらのお料理、一体何が違うのか尋ねたところ、「ただ野菜が美味しいので……」と幸子さん。「それを作っているのは僕なんですが」と淳さんが照れ笑い。二人のチームワークがサンサンカフェを形作っています。

スイーツももちろん自家製。かぼちゃとチョコチップのシフォンの付け合わせには、庭で取れた旬のイチジクと、今年豊作だったというブルーベリーとイチゴのジェラート。コーヒーは淳さんが自家焙煎するこだわりの一杯

スイーツももちろん自家製。かぼちゃとチョコチップのシフォンの付け合わせには、庭で取れた旬のイチジクと、今年豊作だったというブルーベリーとイチゴのジェラート。コーヒーは淳さんが自家焙煎するこだわりの一杯

神奈川から山口の防府へ

生まれも育ちも神奈川県という岡本さんご夫婦。防府へ移り住んだのは8年前のこと。どのようにしてこの地へたどり着き、農業を始められたのか、畑を見学しながらお話を伺いました。

「元々ここは、ひいおじいちゃんが建てた家だったんです。息子であるおじいちゃんの代で関東へ出て、父が生まれたので、父も僕もここで暮らしたことはなくて。ただ、たまに遊びには来ていましたね」

淳さんが30歳になった頃、山口県へ移り住み農業を始めようとしていたお父様が倒れてしまいます。

「一人になった母のことが心配でしたし、子どもが生まれて、なんとなく“東京ではないところに住みたい”という気持ちがありました。それなら場所があるから、とりあえずここ(防府)に住もうか、と」

何か明確な目標があって山口へ移住した訳ではなく、色々な出来事が重なり、自身のルーツでもあるこの地に自然と辿り着いたという淳さん。

ハウスではカリフラワーや春菊、ブロッコリーがすくすくと育っていた

ハウスではカリフラワーや春菊、ブロッコリーがすくすくと育っていた

イチジクの木の向こう側に見えるのは人参と大豆

イチジクの木の向こう側に見えるのは人参と大豆

農業と子育て

「自給用に野菜を作りたいという気持ちで、父が揃えていた農機具を使い、野菜を育て始めました」

本やインターネットで調べながら、ただやみくもに農業に向き合う日々。自給用に野菜を作るだけでは食べていけないと、知り合いのお店に野菜を置かせてもらったり、カフェで提供したりするようになったのだそう。

「始めはB・C級品がほとんど。作った野菜の半分は売り物にならないような状態でした。どれだけ本を読んだり人からやり方を聞いたりしても、実際自分でやってみると全然違うんです。情報はあてにならないと実感しました。失敗した時に誰かのせいにしてしまう。それよりも自分本位でやっていくことが大事。解決方法は自分で見つけていくしかないんです」

農業は子育てにも共通します。来年中学生になる娘さんには、「これからは自分で全部やるんだよ」と話しているのだそう。子ども自身が考えて道を決めていけるように、やりたいことがあれば思うようにやりなさい、と。

敷地内では鶏と烏骨鶏を飼っている

敷地内では鶏と烏骨鶏を飼っている

サンサンカフェのアイドル、さつきちゃん。野菜作りや動物の世話は子どもたちにとっても大切な経験になる

サンサンカフェのアイドル、さつきちゃん。野菜作りや動物の世話は子どもたちにとっても大切な経験になる

有機農家として願う未来の形

 

この2,3年で、やっと理想の野菜を作れるようになってきたという淳さん。農薬や化学肥料、除草剤に一切頼らずに農業を行うのは並大抵のことではありません。

最後に淳さんはこう話してくれました。

「特別なものとしてでなく、普通のものとして有機野菜を食べてもらいたい。ちゃんと手をかけて作られたものを、ちゃんと食べてもらう。そんないい流れを作っていけたら」

“普段使いとして、有機野菜が選ばれる” そんな未来を思い描きながら、今日も岡本畑では野菜を育て、美味しい料理が提供されています。

サンサンカフェ

住所 山口県防府市植松2259
TEL 090-3910-3771
営業日 木・金・土曜日
営業時間 11:30〜15:00
定休日 日・月・火・水曜日、夏季休業(7月〜8月頃)
URL https://33cafe.jimdo.com/

https://www.facebook.com/sunsuncafe/