「ぞうすい」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか。寒い夜に体を温めてくれるぞうすい、鍋の〆に皆で囲むぞうすい、疲れた胃を労ってくれるぞうすい。私のぞうすいに対するイメージは、必要な時にそっと寄り添ってくれる、優しく心強い友達みたいな感じです! 

そんな、ちょっと特別な存在の「ぞうすい」専門店があると聞き、山口県の東部に位置する光市を訪れました。 

光市の里山に佇む「森の・ぞうすいやさん」

ぞうすいやの幟
田んぼや民家の広がる国道沿いに、突如現れる「ぞうすい」の文字。こんな場所に本当にお店があるのかと半信半疑で旗を目印に坂を登っていくと……。 

お店の外観 立派な日本家屋

「森の・ぞうすいやさん」に到着!空き家だったお宅をリノベーションして生まれ変わった、立派な日本家屋です。 

モダンな室内
中は、板張りの床と障子紙のない引き戸がモダンな空間。ニュージーランド産を中心に世界各地のワインボトルが並び、まるでイタリアンレストランのような佇まいです。

ぞうすいに、ワイン?どうしてこんな場所でお店を?そもそも、なぜぞうすいなのか?頭の中は、次から次へと浮かんでくる疑問符でいっぱい。まずはお話を伺いながら、少し厨房の様子をのぞかせてもらうことに! 

始まりは老舗ぞうすい店「純味(じゅんみ)」  

森の・ぞうすいやさんを営むのは、山口県山口市から移住した米澤さんご夫婦。「僕が高校生の頃、母が地元山口市の阿東町で食堂を始めたんです。始めはとんかつ定食やラーメンなど、様々なメニューを提供していました」そう話すのは、ご主人の賢一さん。ある時、お母様が作るぞうすいが美味しいと評判になり、メニューをぞうすい一本に絞った方がいいのではないか、と一気にぞうすい専門店へ転換してしまったのだそう。それから35年の時がたち、「ぞうすい専門店純味」はすっかり人気店として阿東の名物となりました。 

並ぶコンロ

手際よく作られるぞうすい。厨房には一度に多くの注文に対応できるよう、小さめのコンロが並ぶ

鍋の中の鰹出汁

ぞうすいの旨味のベースになるのは、毎朝引くかつお出汁

ぞうすい店を切り盛りする母の姿を見て、跡を継がれたのかと思いきや、
「当時は全く興味がなかったですね」と米澤さん。学校を卒業後、ワーキングホリデービザでニュージーランドへ行き、10年間の海外生活、国内外の旅行会社や航空会社勤務を経て、最後は旅館業へ。関西のホテルで働いたのち、山口県へUターンしました。 

「これまでの仕事は辞めて、実家へ戻り、店を手伝い始めました。長男ではあるし、なんとなく“継ぐ”ということを意識していたのでしょうね」 

卵を流し入れる様子

ちょっとしたコツで、箸で触らずともふわふわの卵が浮かぶ 

母からぞうすいの基本を教わり、店を手伝い始めた米澤さん。
そのうちに、「純味」をもっと広く知ってもらうため、県内の別の場所に姉妹店を開いたらどうか、という考えが浮かび、徐々に「自分の店を持ちたい」という思いが芽生えてきたといいます。 

接客する米澤さん
広島の宮島や山口の下関など、県内外をあちこち周り、最後に空き家バンクで見つけたのが、光市の塩田地区にあるこの建物でした。 

「ゆったりと静かに食事ができ、車を停めるスペースがあるなど、いくつか条件があったのですが、ここを選んだ決め手は“水”です。近くの石城山の伏流水が井戸水として湧いてくる場所なんです。ぞうすいにとって、美味しい水はとても大切ですから」 

森の・ぞうすいやさんの人気メニュー  

お盆に載ったぞうすい

最も人気のメニューのひとつ、「バターめんたい」をいただきました。ふわふわの卵と優しいかつお出汁が心も体も温めてくれるようで、ホッとため息が出ます。 

バターと明太子が載った小皿
めんたいとバターをひとかけら、熱々のぞうすいにのせ、混ぜながら食べるとまた違った味わい。トロンととろけたバターとピリッとしょっぱいめんたいが交わって、さらに食欲が刺激されます。お好みでバターのみ、めんたいのみ、バターとコショウなど、とんすいで取り分けるごとに色々な楽しみ方ができますよ。 

年中食べられるメニューに加え、春には野菜たっぷりのぞうすい、夏にはレモンぞうすいや豚キムチ、トマトなどが入った各種の冷やしぞうすい、冬には牡蠣やホルモンなど、具材を変えて、その季節ならではのぞうすいも登場します。 

ワインとグラス
最近は平日限定・予約制でディナーも始めたそう!こちらは前菜からメインまで創作イタリアン料理をお酒と共に楽しめます。 

小さなお子さんから高齢のお年寄りまで、誰もが笑顔になれるぞうすい。ちょっと心が疲れたときや、美味しくて体にやさしいものが食べたいとき、「森の・ぞうすいやさん」を思い出してください。ここにくれば、きっとあなたの毎日を少し豊かにしてくれる、そんな不思議な力がもらえますよ。 

 

森の・ぞうすいやさん 

住所|山口県光市塩田2085-1 

TEL|0820-50-4130

営業時間|平日11:00〜18:00(ラストオーダー17:00)、土日祝11:00〜19:00(ラストオーダー18:00) ※出汁がなくなり次第終了。またディナーの予約がある場合は早めに閉店するため、14:00以降の来店は電話で確認するのが望ましい。 

定休日|水曜日、第二火曜日 

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