バナナの香りがふわっと漂う「バナナチカ」の店内。差し出されたバナナジュースは、とろっとした舌触りとしっかりとしたバナナの甘みが印象的。甘すぎず、薄すぎず、ほど良い塩梅は店主のこだわりに秘密がありました。 

氷・砂糖不使用、完熟バナナと牛乳だけで作るバナナジュース 

「子どもの頃から自宅に果物がたくさんあった」という店主の北村侑子さん。2014に単身でカナダに渡り、9ヶ月ほどカフェでアルバイト生活。その後の半年間は、有機栽培を行う農家を回る旅へ。ずっと有機栽培の野菜や果物を食べているうちに、それ以外のものと味の違いがわかるようになっていました。 

「カナダはフルーツジュースのお店も多いんですけど、日本にはあまりそういうお店がないなと思って。たまにフルーツジュース屋さんに行っても、氷やシロップをたっぷり使っていたりして、なんか違うなって感じていたんです。日本の友達は、コンビニでご飯を済ませていたり、体調が悪い子も多くて。気軽に栄養が摂取できるようなものがあればいいのにって思っていました」
そんな想いのある北村さんだからこそ、バナナチカのジュースは、氷や砂糖を使わないというこだわりがあります。 

カップに詰められたバナナジュース

バナナチカのバナナジュースは完熟のバナナのみ使用

「体にいいものを食べたほうがいいという話をしても意識高い系として倦厭されてしまうと思うんです。いくらいいものをいいと言っても届かなくなってしまう。だから自分がお店として出すことで、こんなに美味しいんだなっていうのを知ってもらいたいんです」  

uzuhouseでの出会いがなければ、ここはできなかった 

実は北村さん、カナダで有機栽培の農家さんをまわっている間も働きたいと思っていた場所が日本にありました。それが、下関のゲストハウスuzuhouseウズハウス)」。当時はジュース屋さんをやることは考えておらず、下関にゲストハウスができることを知った北村さんは、働かせてもらえないかオファーをしていたのです。日本に帰国後、晴れてゲストハウスで働いていた北村さんに転機が訪れたのは働き始めてから約1年半後のことでした。 

「フルーツジュース屋をやりたいなっていうのはその頃もなんとなく思っていたんです。でも、現状あまりないっていうのは採算取るのが難しいということだろうなと推察していました。ちょうど同時期にuzuhouseでバナナを使うジュースの提供も考えていたんですけど、知り合いの方に『東京にバナナジュース屋あるよ』と教えてもらって。そんなジャンルがあるんだという驚きはあったんですが、そのアドバイス一言でバナナに絞ろう!と思えたんです」 

カウンターの上のバナナの房

カウンターにはしっかりとした房のバナナが陳列

その後、ゲストハウスのオーナーの協力もあり、まずはブランディングとしてゲストハウスでバナナジュースの販売をさせてもらえることに。不定期での販売だったものの、徐々にお客さんに知ってもらえるようになりました。ただ、業務に追われ、物件探しができない日々。
「実は、ちょっと焦っていたんです。今年2019年)、絶対にバナナジュースのブームがくると思っていたので。流行りものは好きじゃないけど、だからこそブームの後でやるのは抵抗があって」 

 

バナナジュースのブームがくると北村さんが感じたのは、研究の末の結果でした。2018年はカフェなどでスイカジュースがブーム。元を辿ると2017年の年末にNATURAL LAWSONが新商品を発表、2018年の年始から発売され、そこからブームに火がついたことがわかりました。そして、2019はバナナジュース。「やばい!もうきたか!」そう焦る気持ちがありました。 

お店の外観

県道沿いの奥まった場所。黄色の壁が目印

ですが、ゲストハウスの元スタッフに相談をしていると、思いがけず現在の店舗となる物件を紹介され、即決20193月末でゲストハウスを退職し、6月にはお店をオープンさせた北村さん。工事は友人に進めてもらい、本格的にお店づくりを始めてからはなんと10日ほどでオープン。ここでも、ゲストハウスで知り合った多くの友人たちが協力してくれたのでした。
「こんなに早くできるとは思わなかったです。本当にuzuhouseでつながった人たちにたくさん助けてもらいました。uzuhouseやこれまで支えてくれた友人の存在がなければ、ここはなかったです 

慎重すぎる臆病な性格が抱えた悩み

バナナチカという店名は、なんとウクライナ語から来ています。当初はバナナちゃんという名前を考えていた北村さん。ウクライナの友人に単語の終わりにチカをつけると、言葉が可愛くなると聞いたことがあったことを思い出し、バナナチカという名前にしました。 

「でも最初は恥ずかしくて。ロゴをデザインしてくれる友人にまずは店名を決めようと言われても、なかなか言い出せなかったんです。別の友人にも相談をしていて、お互いにいくつか候補を出している中にしれっと混ぜておいたバナナチカに友人が反応してくれて。それで自信を持てました。友人には『決まってたなら早く教えてよ!』と言われちゃいましたけどね」 

雑貨が並ぶカウンター

バナナに関する可愛らしい雑貨が並ぶ店内

自身を臆病者だと話す北村さん。お店をオープンしてからも、多くの悩みがありました。
「みんなが自分のお店を知っている状況が怖くて……想像以上の反響に私がついていけてなかったんです。元々は働く人や地元の人に根付いてほしいと思っていたけど、インスタ映えのようなものを求めてくる方も多くて。最初はすごく戸惑いました。これは一過性の流行で捨てられるんじゃないかって怖くて。取材の依頼が来ても断っていました」
気持ちがようやく落ち着いたのは、9月頃のこと。今では、とにかくお店の存在を広く知ってもらえた、いいスタートだったと思えるようになりました。 

下関に朝ごはん文化を作る 

どれだけ人が来なくても、朝は7時半から必ずお店を開けているバナナチカ。下関には現状、朝ごはんを食べられるようなお店がなく、みんなコンビニで済ませてしまっています。「仕事前に何かお腹に入れてほしい。朝空いているお店ないよね、と言わせないのが目標です」と話す北村さん。その強い想いが、朝ごはん文化を生み出してくれる日も遠くはないのではないでしょうか。

カウンター内に立つ北村さん

 

バナナチカ

住所|山口県下関市上田中町1丁目4-1 

営業時間|平日 7:30 - 10:00、12:00 - 18:00 / 土日 11:00~18:00

定休日|木曜・祝日(不定休あり) 

駐車場|トラストパーク貴船町(貴船町3-1-10)をご利用ください。 

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