山口県周南市。国道2号を西へ走り、道の駅「ソレーネ周南」を過ぎるとすぐ、山の麓に立つビニールハウスが目に付きます。 

それが、トマト栽培農家「みぃやん家の畑」です。 

ビニールハウス全景

暖かなハウスのなかでは、フマ美里さんが、夫のフマ・ロマリクさんと作業中でした。 

作業中の二人
お二人が栽培しているのは中玉の「ミディトマト」。
3棟のハウスで計約1400本を育てています。取材に伺った11月上旬は、次の収穫シーズンに向けて小さな青い実がつき始めたばかりでした。

青トマト
祖父母の姿を追って「いつか農家に」 

兼業農家だった祖父母を遊び感覚で手伝いながら育った美里さんは、「いつか自然の中で土とともに生きていきたい」との思いを抱くようになります。ただ進路選択の際には就職率などのことも考えて地元の工業高専の土木建築工学科に進学。卒業後は広島市の建設会社に就職しました。 

数年働いてみたものの農業で生きていきたい」との思いは募るばかり。「農家の仕事を体験してみよう」と20115月、ゴールデンウイークを利用して愛媛県のミカン農家での栽培ボランティアに参加しました。 

その農家にウーファー(有機栽培農家滞在して農業を手伝う人)として来ていたのが、フランス出身のロマリクさん意気投合し、その後も電子メールやインターネットのビデオ通話などで連絡を取り続けました 

美里さんは2012年に会社を辞め、県立農業大学校(防府市)の担い手養成塾で1年間、みっちり勉強。そこでミディトマト栽培出会いました。卒後は先進農家での研修を経て、2015年に実家近くの土地を借りて独立。同時に、ロマリクさんと結婚しました。農園名の「みぃやん」は、美里さんが幼い頃から呼ばれてきたニックネームをそのまま使っています。 

ロゴ

ロゴデザインは、ロマリクさんが担当

就農にあたり、県と周南市の就農支援制度を活用しました。ビニールハウスは市から10年間のリース契約、その後は「みぃやん家」に無償提供されます。  

とにかく「いいもの」を届けたい 

当初は美里さんの農をロマリクさんが手伝うという形でしたが、2017年に「家族経営協定」を結び、お互いが経営者に。「栽培計画、経営方針などを互いに責任を持って考えるようになり、意識が変わりましたと美里さんは言います。 

「とにかく品質重視」。そのために最も力を入れているのは「土作り」とのこと。堆肥は美祢市の牧場微生物豊富な牛糞を使用。土の中のミネラルバランスにも細心の注意を払っています。 

そうして出来上がるトマトは「うま味を感じる」と好評です。 

赤トマト

真っ赤に熟れたトマト(美里さん提供)

「甘味だけでなく、酸味も感じられるようにしています。そのバランスが取れて初めて、後味としてのうま味が出るんですよね。そこを目指しているんですが、実際は日々失敗ばかりです」と美里さん。ロマリクさんは「それでも、栽培管理などの問題を乗り越えていいトマトが出来たときは最高の気分ですねと言います。 

お二人が試行錯誤を繰り返して、ようやく店頭に並ぶトマト。お客さんからいままでトマトは食べられなかったけど、これは美味しかった」「もうほかのトマトが食べられなくなった」といったを聞くこともあるそうです 

喜びや幸せが循環する農業を

「みぃやん家」には、大切にしているモットーがあります。 

 “ Good Quality of Life ”
(上質な人生、素晴しい人生) 

「生産性や収益のためにロボットのように働くのではなくて、楽しみや喜びを感じながら作物を育てていきたい。そうして出来たものを食べていただき、その人も幸せに、健康になっていく。そんな循環のなか、私たちは生きていきたいと願っています(美里さん) 

猫を愛でる二人

取材中、何度もじゃれついて来るねこを「うちのスタッフです」とあやしていたお二人。ハウスのなかは、ずっと穏やかで幸せな空気が満ちていました。そんな環境で育てられた「みぃやん家」のトマト。真っ赤に熟して店頭に並ぶ日が待ち遠しいです。 

 

みぃやん家の畑

住所|山口県周南市戸田4333-2 

TEL|080-3886-3067