山口県美祢市。秋芳洞やカルスト台地などを擁する、山口県の内陸に位置する町です。JR美祢駅から150mほど離れた、小さな商店や民家の間にすてきなパン屋さんを見つけました。 

美祢駅からすぐのpetit lab BAKERY 

外観

その名も「petit lab BAKERY(プチラボベーカリー)」。どこかレトロで可愛らしい建物は95年前にできたもので、元々は呉服屋さんや郵便局として使われていたのだそう。しばらく空き家になっていましたが、2019年の5月にプチラボベーカリーがオープンしました。 

パン

パン

平日の昼下がりにも関わらず、続々と来店するお客さん。パンも次々に焼き上がります。ローストビーフやクリームチーズ、砂肝の入ったサンドイッチから、レモンパンや抹茶あんぱんなどおやつにピッタリなものまで、その数約30種類以上!素材の絶妙な組み合わせと可愛らしい見た目に、どれにしようか目移りしてしまいます。 

petit lab BAKERYが生まれるまで

内藤さん

「プチラボは子どもが私に与えてくれた夢なんです」 

そう話すのは、プチラボベーカリーを運営している内藤加奈さん。男の子3人を育てるお母さんでもあります。子育てをするにあたり、ご飯はきちんと手をかけて作ってあげたい、と食育を大切にしてきたのだそう。 

「長男が3歳の頃、初めてパンを作りました。最初なので変なパンができたのですが、それをとても美味しそうに食べてくれて。その瞬間、漠然と『パン屋さんになりたい』と感じたんです。あの時の息子の嬉しそうな顔が今でもずっと忘れられません」 

その後、独学でパン作りを続け、自宅を改装した小さな工房で「petit lab BAKERY」は始まりました。パンの製造・販売の他パン教室を開いて、大勢の生徒さんが来てくれるように。 

レシピ本

2019年3月には「パンとまいにち」というレシピ本が出版されました。
「ご家庭でもパンを作ってもらえるように、これまでの集大成としてレシピ本を作りたかったんです。プチラボを始めて5年ほど経ち、一通りやりきった感じがして、そろそろ次の段階に行く時だな、という思いもありました。そうしてこの本を作り始めたら、ちょうど空き家だったこの建物に出会って」 

内観

一目見て気に入り、すぐにどなたが管理している物件なのか、近所の方に聞いたと言います。 

「パン教室をやっていて気づいたことがあるんです。便利でなんでもある世の中だけど、人間って、思っている以上に人と人の関わり合いを求めているんだなと。食べ物には人を繋いでくれる力があります。私は食べるのが好きで、食べてもらうのも大好き。いつかカフェをやりたいと考えていました」 

カフェ

運命的な物件との出会いから約7ヶ月、建築士であるご主人と子どもたち家族総出で改装を行い、新たなプチラボベーカリーがオープン。はじめはパンの販売がメインでしたが、半年後にはついにカフェ営業が始まりました。一階でメニューを注文したら商品を受け取り、二階のカフェスペースへと上がる、半セルフスタイルのカフェです。やわらかな光が差し込む広々したフロアと、お子様連れでも安心できる和室があります。 

petit lab BAKERYのランチ

ランチ

こちらは3種のパンと2種のディップにデリとスープがセットになった「petit labプレート」。紫キャベツのレモンマリネや切り干し大根のペペロンチーノ、里芋グラタン、鴨のグリル焼きなど、どれも一つひとつ丁寧に作られており、素材の持ち味が引き出されています。野菜は主に山口市の有機農家、ヨロズファームのものを使っているのだそう。ピスタチオやバジルクリームももちろん手作り。シンプルで味わい深いパンによく合います。最後は、ほうじ茶クリームパンを頬張って、お腹いっぱい!  

petit lab BAKERYが大切にしていること

接客中の内藤さん

お店が忙しい時でも笑顔を絶やさない内藤さん

取材をしながらお店に立つ内藤さんを見ていると、不思議とこちらも笑顔になってきます。カップルや女性グループ、年配の男性などお店を訪れる様々なお客さんに対して、「どちらからいらしたんですか」「今日は暖かいですね」「どんなパンがお好きなんですか」など、たくさん話しかけられているのです。お客さんも嬉しそうに会話を楽しんでいます。 

内藤さん

こんなに親しみやすいパン屋さんは初めてで驚きました、と伝えると「昔ながらの駄菓子屋さんのようなお店になりたくて。帰るとき、お客さんにはちょっと元気になってもらいたいんです」と内藤さん。この地域には、内藤さんが求めていた昔からの人情味のようなものが残っているそう。それは今の社会が忘れかけている大切なものなのかもしれません。 

コンセプトカード

2階へ上がる階段に、こんな言葉を見つけました。 

「今はすぐに誰かを批判したり、傷つけたり、人との結びつきが感じにくい世の中になっているように思います。だけど私はこれまで多くの人に支えられ生きてきたので、自分が作る場所は誰かを支えられる、お互いを思いやって優しくなれる空間にできたら」  

内藤さんの願いはプチラボベーカリーを訪れるお客さんに確かに伝わっていて、居心地のいい空気が流れているのを肌で感じました。美味しいパンと一緒に、ちょっと温かくて幸せな気分を持って帰られるパン屋さん、あなたもぜひ訪ねてみてくださいね。 

 

petit lab BAKERY(プチラボベーカリー)

住所|山口県美祢市大嶺町東分3405-3 

営業時間|11:00〜16:00 

定休日|日・月曜日と祝日(その他お休みはホームページにてお知らせ) 

公式HPはこちら

Facebookページはこちら