WEBマガジン「ここいろ」を応援してくださっている皆様に日頃の感謝を込めて、山口県内各所をめぐる「ここいろイベントキャラバン」。第2弾は1月16日(木)に美祢市のゲストハウス「TRIP BASE COCONEEL」にて開催されました。

会場の「TRIP BASE COCONEEL」
ゲストスピーカーは美祢市を拠点に活躍する松田寛之さん(「TRIP BASE COCONEEL」オーナー)、秋芳洞を舞台にしたアドベンチャーツアーでこの春、起業を予定されている村瀬健志さんです。
起業を経験された松田さんと2ヶ月後に起業を控える村瀬さん。それぞれの「起業」についてお話を伺いました。当日のトーク内容を一部抜粋してお届けします。

会場は超満員。ここいろ編集長・芦谷の乾杯の音頭と共に、イベントがスタート!
「仕事がないなら自分で作ればいいや」(松田さん)
システムエンジニアとして勤めていた会社で営業に異動になり、体調を崩してしまったという松田さん。
「年収はアップしたんですけど、移動時間が多くなり、とにかく自分の時間が全くなくて。鬱状態になったんですよ、僕。職場復帰は難しくて、退職しました。辞めてから完治したので、やっぱり仕事が原因だったんだなって思って。地元に帰りたいっていう思いはずっとあったので、やってたバンドも解散して仕事もなくなって何もない今、帰るなら今しかないと思って」

松田寛之さん:山口県美祢市秋芳町生まれ。上京後、インディーズバンドのギタリスト、システムエンジニアなどを経て地元美祢市へUターン。2019年9月、ゲストハウス&カフェパブ「TRIP BASE COCONEEL」をオープン
地元美祢市に帰ることを前提に、求められるものを調べているうちに「宿泊施設」にたどり着いたそうです。
「仕事がないなら自分で作ればいいやって。この発想になったのは営業をやっていたおかげですね。自分で仕事を作って商談して、ってずっとしていたので、自分一人でもやっていけそうだなと」
地方で起業するメリットは、ライバルや競合が少ないこと、何をやっても目立つこと、口コミの影響力が大きいことなどだそうです。
「ここを作るとき、水回りと電気工事だけはプロに頼みましたが、床やら壁やら、9割はDIYです。壁紙貼ってないとこもありますが(笑)それでもなんとか完成できたのは、友人に助けてもらったり、地元の人に助けてもらったりしたからですね。地方だと何をやっても目立つみたいで、廃品広げてDIYしてたら、地元の業者の方が無料で回収して行ってくれたり……表に少し派手な自販機を置いただけで、想像以上の反響がありました」
起業して良かったこと、悪かったこと
「起業して良かったことは、とにかく自分の時間が増えたこと。これが一番素晴らしい。起業するとほぼ仕事とプライベートとの境界がなくなるので、それが嫌っていう人もいると思うんですけど、自分はしっくりきました。仕事について考えることは自分の生活を考える時間でもあるので、そうした時間が増えたことが本当によかった。反対に悪かったことは、とにかく寒い!(笑) こんな寒かったっけ?あとは、東京の友達が恋しいことですかね」
芦谷の「ここ美祢市で宿泊業、正直なところ不安はなかったですか?」との質問に対し、
「僕は自信ありましたね。根拠はないけど。地元ならなんとかなるかなと」と笑顔で答えた松田さん。
「それに、ついて来てくれた妻にはとにかく感謝です」
移住に賛同し、経営に協力してくれている奥様への感謝の言葉でトークを締めくくりました。
「好きなことで生きていくチャンス」(村瀬さん)
近々起業を控えている村瀬さんは、起業に思い至った経緯や構想している事業の魅力を語ってくださいました。
「学生時代、色んな洞窟に行ってみて、洞窟ガイドのプロになれるんじゃないか?と軽く思ったのがきっかけです。秋吉台は日本で一番大きいカルスト台地・洞窟がある地形なのに、ここで誰も洞窟ガイドをやってない。これは好きなことで生きていくチャンスなんじゃないかと思い、退学し起業を決意しました」

村瀬健志さん:山口県周南市出身。学生時代に洞窟探検の魅力を知り、国内外数々の洞窟を探検。現在はテレビカメラ撮影時の洞窟ガイドをメインに活動中。2020年春に起業予定
感動体験を届けたい
美祢市が誇る大鍾乳洞「秋芳洞」に訪れる観光客は、全盛期198万人に対し、現在はたったの45万人。全部で450ある洞窟のうち、使われているのは3つのみだそうです。
「観光資源を有効活用し、自然がもたらす感動体験を届けたい」と村瀬さんは語ります。
「観光用に整備されているもの以外にも、泥だらけになって遊べるタイプの洞窟や、3歳児でも行ける簡単なルート、日本で一番大きい地底湖で10メートルのロッククライミングができるコースもあります。地底湖でボートを浮かべて遊覧できたり、石灰岩がマグマの熱を受けて結晶化した大きな大理石があったり。洞窟ってあまり知られていないけど、ここでしか見られない、前人未到の美しい景色がたくさんあるんです」

地底湖でのボート遊覧(撮影:村瀬さん)
現在は、松田さんと共同で「宿泊+洞窟アドベンチャー」のパッケージ販売の実現に向けて動いているそうです。
ただお客さんが来るのを「待つ」のではなく、地域資源を活かした新しいコンテンツを自分たちの手で作り、集客する。お二人の挑戦にワクワクするとともに、地方起業のあり方を教わった気がしました。

写真中央、青いタオルを首に巻いている方が松田さん(撮影:村瀬さん)
美味しいお料理を囲んで交流会
トークセッション終了後は、トークゲストも交えた交流会。並べられたお料理は松田さんの奥さんお手製です。自家製タコスやカレーリゾット、クラフトビールも大人気。
「起業&移住の苦労話」から「美祢の面白いところ」「洞窟アドベンチャーに挑戦する約束」まで話題は尽きず、交流会は夜更けまで続いたとか。(電車の都合でお先に失礼しました)
会場から一歩外に出ると、あたりは真っ暗。ゲストハウスの光だけがあたたかく、美祢の夜空を照らしていました。
第3弾は2020年3月12日(木)、山口県長門市にて開催予定。
普段「ここいろ」を見てくださっている方、山口での暮らし方・働き方を再発見したい方、新たな広がりにワクワクする方、大歓迎!
詳細は後日、サイト上でお知らせします。
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