山口県山口市の山間部、仁保(にほ)
「道の駅 仁保の郷」は、緑豊かなこの地域の交流拠点として、いつも賑わっています。 

道の駅

この道の駅のなかに、Uターンした女性が一人で切り盛りする小さな菓子工房「モナムール」はあります。

店舗外観

取材に伺った午後は、仁保産の紫イモを使った焼き菓子の生地を練っている最中でした。 

「紫イモだけじゃなく、ユズやカボチャケーキもあります。秋にはブドウのタルトも。仁保は本当に美味しいものがたくさんあるので、有難く使わせていただいていますね 

手を止めることなく、オーナーパティシエの伊藤友貴さんが教えてくれました。 

こねる

原点は「お母さんの味」 

菓子職人を目指した背景には「お母さんの味」がありました。 

「母が料理上手で、お菓子も小さな頃からよく作ってくれていたんです。シフォン、クッキー、ケーキ……。どれも美味しくて、食べていると幸せな気分になりました。いつの頃からか、自分もそんなお菓子を作れる人になりたい、と自然と思うようになったんです」 

製菓について本格的に学ぶため、高校卒業後は大阪の専門学校へ。ラッシュ時の満員電車や関西独特の話し言葉などに戸惑いながら、卒業後も大阪に残り、カフェを併設した洋菓子店など3年間働きました。 

特に2店舗目に勤めた小さなケーキ屋さんは製造から販売まですべて任されていたので、すごく勉強させてもらいましたと振り返ります。 

「いつかは仁保でお店を」との思いを胸に秘めながら修行を続けていた2017年、地元の道の駅でテナントを募集していることを知ります。「迷わず、すぐに手を挙げました 

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「愛しい土地」で愛しい人に囲まれて 

ただ、菓子作りはできても、出店や経営についての知識はまったくのゼロ。両親に相談したり、創業セミナーに参加したりしながら、手探りで準備を重ねていきました。 

20184月、「モナムール」オープン。
店名はフランス語で「愛しい人」という意味です。伊藤さんはそこに、「愛しい土地」という意味込めてお店の名前に選びました。 

看板

「仁保が大好き。緑がたくさんあって、空気もすごく美味しい。都会に暮らしてみて、この場所の素晴らしさが深く感じられるようになったんです」 

加えて、人の温かさも再認識したそうです。「近所の方たちは買いに来られるたびに『元気かね?』『頑張ってるねえ』と声をかけてくれるんです。そのたびに、古里に帰ってきて良かったなと感じます」 

渡す

このところにわかに人気となっているのが、フランスの焼き菓子、カヌレ。この辺りではまだ珍しいため、当初はその形から「これは文鎮かね?」と聞かれたこともあるとか。「最近は近所のお年寄りもよく買っていかれますね」。土日限定での販売ですが、カヌレのみを目当てに来店するリピーターもいるほど好評です。 

カヌレ

モナムールのカヌレ(伊藤さん提供)

いま構想を練っているのが、お隣の萩市でつくられる濃厚な味わいの醤油を使った商品。「甘味のあるお醤油。クッキーかメレンゲのお菓子にしてみたいんです」 

愛される優しい味

古里を愛する想いを込めた伊藤さんのお菓子。
取材を終え、仁保のカボチャとユズをつかったパウンドケーキなどを手土産に持って帰りました。いずれも甘さが控えめで、洋菓子にありがちな「重さ」がなく、いくらでも食べられそうな優しい味。子どもからお年寄りまで、地域の人に愛されているのが分かる気がしました。

お菓子

 

執筆時期:2020年1月
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菓子工房モナムール

住所|山口県山口市仁保中郷1034(道の駅仁保の郷内)

営業|8:30~18:30

定休|水曜 

TEL|083-929-0480