「地元住民が一体となって、町づくりに取り組んでいる面白い地域がある」 

そんな噂を聞いたのは数ヶ月前。
大阪から山口県周防大島に移住した私は、以前より過疎化や高齢化を身近に感じ、これからの町づくりについて考える機会が増えました。
これはぜひ一度話を聞いてみたい!と、訪れたのは山口県周南市の「三丘(みつお)地区」。
緑に囲まれた自然豊かな環境ですが、高速ICや市街地が近いなど、利便性もよく暮らしやすいエリアです。
人口約1600人のこの地域に、2015年発足したのが「ずっと子どもがいるまちプロジェクト」です。一体どういうプロジェクトなのか、活動拠点の一つである「Taverna TABETA?(タベルナタベタ?)」に伺いました。 

周南市三丘地区のタベルナタベタ?

外観

以前は歯医者さんだったという古い建物。しばらく空き家になっていたそうですが、プロジェクトのメンバー総出でリノベーションし、素敵なカフェに生まれ変わりました。その名も「Taverna TABETA?(タベルナタベタ?)」。Tavernaとはイタリア語で小さな食堂。「ご飯食べた?まだならおいで」店名にはそんな思いが込められています。 

「ずっと子どもがいるまちプロジェクト」とは? 

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スタッフの鶴本宏美さん(写真左)と長畠麻欣子さん(写真右)

「『ずっと子どもがいるまちプロジェクト』とは、これから先も三丘に子どもの声が響く町であってほしい、という思いから生まれました」と長畠さん。 

きっかけは一人の移住者の声。
「我が子が小学校にあがる時、一体この地域に子どもは何人いるのだろうか」
実際に推測してみたところ、驚くべき数字だったのだそう。
“子どもがいなくなるということは、将来この町は消えてしまうかもしれない”
危機感を抱いた地域の大人たちが集まり、様々な活動を開始しました。 

例えば空き家を移住希望者に貸し出す体制作り。貸し出し可能な空き家を一軒一軒調査し、新たに人が住める状態にします。これまでの5年間で7組のご家族が移住されたのだそう。
また、将来の地域のリーダーを育てる「子どもまちづくり塾」、子ども自身が考えて運営する「子ども駄菓子屋」など三丘の子どもを主体とした取り組みも行なっています。 

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店内に販売されている「やさいジャム」も三丘小学校の児童と一緒に共同開発したもの。人参、かぼちゃ、トマトの他にピーマンジャムという変わり種もありました。
「ピーマン嫌いな子が『これなら食べられる!』というものを皆で試行錯誤して作ったんですよ」と長畠さんは笑います。 

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子ども駄菓子屋は毎週土曜日の15:00から、タベルナタベタに間借りして営業。写真提供:Taverna TABETA?

このプロジェクトが発足してから、これまで急激に減っていた子どもの数がゆるやかな減少傾向になりました。5年前に50人だった三丘小学校の生徒数は現在44人。
人口増は難しいですが、現状維持を目標としています。 

Taverna TABETA?の地産地消メニュー

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lunch

ちゃぶ台や趣のある食器棚など昭和を感じる和室。地域の野菜をたくさん使った「玉手箱ランチ」をいただきました。シェフは地元旅館で料理の腕をふるっていた方です。鶏のコンフィや蓮根のはさみ焼き、蒸し野菜、小さなお餅が入った茶碗蒸しなど、どれも素材の味が引き立っていてホッとする味わい。 

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デザートにはホットジンジャーとかぼちゃのシフォンケーキ。ナッツやドライフルーツの入ったカッサータも手作り。おばあちゃん家のような落ち着いた空間は、大人も子どももリラックスできる憩いの場となっています。 

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ランチをいただいていたら、地元の小学生が遊びにきました。仕事が一段落したシェフや長畠さんとおしゃべりしたり、宿題を見てもらったり。ちなみに彼女は子ども駄菓子屋の運営メンバーでもあります。学校と家の間、子どもが安心して立ち寄れる、地域の大人と交流できる場としてもタベルナタベタは重要な役割を担っています。  

地域づくりに必要なこと 

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下校中の子どもたちを見かけたら「おかえり!」と声をかけるそう

「元々は若い人や移住者からの声で始まったプロジェクトですが、それを汲み取ってくれるのは年配の先輩方。移住者が来ることで新しい風が吹き、皆が動き出すきっかけになりました。幅広い年齢層が協力して関わっていくことが大切ですね」 

少子化、過疎化は日本全国どの地域も直面している問題。すぐに結果がでるものでないからこそ、行政任せにするのではなく、住民が一丸となり当事者意識を持って取り組まなければなりません。地方に移住した者の一人として、差し迫った状況に焦りを感じながらも、希望を持ち取り組んでいる三丘の皆さんに強く心を動かされました。 

 

執筆時期:2020年1月
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Taverna TABETA?(タベルナタベタ?) 

住所|山口県周南市小松原1248-8 

TEL|0833-48-8082 

営業時間|12:00〜17:00(L.O.16:00) 

定休日|日、月、火曜日 

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