一度食べたら忘れられない味や、ふとした瞬間に思い出す味ってありませんか。それが自分で再現できたらいいのだけど、あの味はあのお店でしか食べられない。そんなカレーを提供しているのが、今回ご紹介する「まなまな」です。 

美祢市のカレー店「まなまな」 

outside

山口県の中央部に位置する美祢市美東町。「まなまな」は小さなお宮に隣接する静かな場所にあり、南インドやタイのカレーが食べられる予約制のレストランです。
席につき、メニューに目をやると、「ミールス」「パパドゥ」「ドーサ」など見慣れない言葉が並んでいました。説明文を読み、選んだのは「ミールス・ウタパム」。 

まなまなの「ミールス」 

lunch

運ばれてきた色とりどりのおかずやカレーに興味津々。ミールスとは、南インドで食べられている「定食」を意味するのだそう。ちなみに、ウラッド豆と米をミックスしたドーサ生地に、玉ねぎやパプリカを入れて焼いたものが写真奥の「ウタパム」です。 

「一番右のカレーは『サンバル』。酸っぱめの野菜カレーで、向こうでは毎日食べる定番。日本でいうお味噌汁みたいなものかな。ダル(豆)カレーと混ぜて食べるのがおすすめです」  

そう教えてくれたのは、オーナーの源の助さん。まずは各カレーを味わってから、サンバルとダルカレーを混ぜてみました。単独で食べるより、味わい深い!他にもチキンカレー、ココナッツカレーなどにサンバルを加えたりしているうちに、酸味や辛味、あっさり、まろやかなどが複雑に絡み合って、止まらない美味しさ。これはクセになります! 

ナン

外はカリカリ、中はモチモチのウタパムには、生のココナッツが入ったチャツネをつけて。ウタパムの香ばしさがクリーミーなココナッツの風味に合います。箸休めに人参チャツネや緑豆炒めをいただきながら、あっという間に完食しました。 

東京や大阪など遠方からもわざわざ足を運ぶファンが多いという、まなまな。
「以前、博多からバンガロール出身の若者が来て、『お袋の味に似ている!』と喜んでいました」と源の助さん。本格的な味わいは、カレー好きな日本人はもちろん、本場インド人の舌も唸らせています。 

音楽とカレー

ところで源の助さんは、どうしてこんな本格的なカレーを作るようになったのでしょう? 

人

「大学時代から、二十数年間、ずっとバンド活動をしていました。メンバーはギリシャ人やメキシコ人、イギリス人など多国籍。ツアーを回る中で、全員が食べられる食事がカレーだったんです」 

当時から、デリー(インドの首都)で食べられているようなカレーを友人に教えてもらったりと、カレーに興味があったという源の助さん。日々各地を移動し音楽を演奏して回る生活を、一体何歳まで続けられるのかと思った時、“バンドをやめたら本格的にカレーを習おう”という気持ちが湧いて来たのだそう。 

人

「子どもが小さい頃、いつもツアーで夫がいなかったので『うちは母子家庭だね』って言っていたんですよ」 

当時を振り返るのは、奥様のペンさん。現在は源の助さんと夫婦でお店を切り盛りしています。
はじめは国内のネパール人やデリーを旅行して来た友人に料理を習っていた源の助さんでしたが、その後タイやインドなど、徐々に現地に赴くように。まなまながオープンして4年後には、お客さんとして訪れていたインド人のお母さんを紹介してもらい、インドの自宅にホームステイしながら料理を習ったことも。そこでチキンスープやブイヨンを使わない、スパイスと塩、野菜で作るカレーを習得したのだそう。現在も2年に1度、スパイスの調達や勉強のために、夫婦でインドを訪れています。 

album

過去の旅行で撮影した写真。インドはこれまでに7回訪れた

kalimba

手作りのカリンバを演奏する源の助さん。軽やかに流れる音色に心がほぐれる

ミュージシャンとして長年活躍してきた源の助さんは、お店でも音楽ができるように、と周囲に迷惑にならないこの場所で、まなまなを開くことを決めました。店内にはグランドピアノがあり、現在もペンさんが子どもたちにピアノ教室を開いています。ちなみに、息子さんもレゲエミュージシャンとして活動している音楽一家。 

inside

大工さんを一人雇って、自分たちで1年3ヶ月かけて建てたというお店。山口県産の杉の皮を剥ぎ、磨いて柱や梁に使っている

door

重厚な入口の扉は京都の蔵のもの。知人から譲り受けたのだそう

薪ストーブや大きな一枚板のテーブル、吹き抜けの空間など、店内のどこをとっても居心地のいい雰囲気に包まれる、まなまな。 

couple

旅の思い出やインドの食文化、スパイスのことなど、ゆったりと優しい口調で教えてくれる源の助さんと、同じく柔らかい笑顔が印象的なペンさん。とんがった辛いカレーではなく、毎日でも食べたくなるような不思議な優しさを持つ「まなまな」のカレーは、ご夫婦の人柄を表しているようです。この記事を書きながら、また「あの味が食べたい!」と思い出してお腹が空いてきたのでした。 

 

 

まなまな 

住所|山口県美祢市美東町真名445 

TEL|08396-5-0896  ※来店は前日までに電話にて要予約 

営業時間|11:00〜17:00、17:00〜21:00 

定休日|火曜日、水曜日 

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執筆時期:2020年4月
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