自然が織りなす独特の青をもつ藍染。藍染で地域おこしを行う山口県防府市の富海(とのみ)地区に藍染工房「草衣so-i(そうい)」があります。旧山陽道に面する築90年の古民家を改装して2018年9月にオープンしました。 

防府市富海の藍染工房「草衣so-i」 

couple

草衣so-iを営むのは、大道竜士さんと、ともみさんのご夫婦です。2015年9月、東京から防府市に家族で移住し、竜士さんは地域おこし協力隊として、休耕田で藍の栽培や、富海のPRイベントなど、3年間藍染に関わる活動に取り組みました。 

家業を作りたかった 

人

「元々は東京で注染(ちゅうせん)※をしていました。大量の染料を使うのですが、使う染料は一度きりのものです。藍染は注染とは違い、自然の素材だけを使って繰り返し染色ができるんですよ。そこに興味が湧きました」 

※染料を布に注いで染める染色技法。一度に多色を用いて染めることができ、主に手ぬぐいの染めに使われる。 

さらに子どもが生まれたことが自然豊かな防府市への移住を後押ししました。そして何よりも「家業を作りたかった」という竜士さん。
工房では竜士さんが染めた糸をともみさんが織って作品にしたり、藍染の生地をともみさんのデザインで夫婦二人が縫い、服や小物に仕上げます。草衣so-iは大道夫妻にとって、まさしく家業、生業なのです。 

作品が生まれるアトリエ 

atelier

人

二階のアトリエには、ミシンや機織り機が並びます。ともみさんは大学卒業後に就職した会社で4年間、子ども服の企画やデザインを行ない、独立後は服作りを続けてきました。

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竜士さんが染め、ともみさんがデザインした服。ジャケットやシャツ、コートなど藍染は様々な表情を見せてくれる

threads

刺し子用の糸はおうち時間のお供になれば、と染めたもの。ものづくりを楽しむゆとりも提供する

「藍染の糸や布を販売する素材屋さんとしても使ってもらえたら。まだ実現はできていないですが、自家栽培のオーガニックコットンもあるので、糸を紡いで、作品も作りたいですね」と、ともみさん。 

山口市徳地にある 千々松和紙工房 の職人さんが和紙の原料となる楮を染めに来たり、大阪のキリム作家の方がウールの染めをお願いするなど、各方面の作家さんからの持ち込みも多いといいます。 

workshop

この日はお客さんから依頼されたTシャツを染める工程に立ち会わせていただきました。草衣so-iで一番多いのが、染め直しの注文です。綿や麻などの天然素材、レーヨンであれば染められるのだそう。工房には地中に埋まった大きな甕が二つ。地中は気温に左右されにくいのです。 

人

染める前に服の型を覚えて、染料の中で手探りで染めていきます。 

手

その後はすぐに水に晒し、天日干しや湯洗い、藍染を繰り返して、徐々に希望の青に染めていきます。化学薬品を使わずとも、時間と手間をかけ、この工程を繰り返すことできちんと色が定着するのだそう。
「しっかりアクを落とすと良い色が出ます。青をいかに綺麗に出すかが腕の見せどころですね」 

ingredients

藍の葉、貝灰、ふすま、蒅(すくも)、山口県産樫の木の灰など、藍染液の原料となる素材

草衣so-iで藍染に使われる素材は100%天然のもの。藍染に欠かせない蒅(すくも)も可能な限り自家製の割合を増やしていきたいとのことです。
「蒅は藍の葉を乾燥させ、水を打って撹拌して作ります。徐々に醗酵して熱を持ち始めるのですが、完成には100日〜120日ほどかかります」と竜士さん。  

「この場所で工房を開く時、地域の人にとって迷惑になるようなことはしたくなかった。全て自然のものを使えば、役目を終えた染料は藍の畑に撒いて肥料として土に還すことができます。せっかく藍染をやっても、化学薬品を使うというのは、なんか違うなって。今のやり方にはストレスがないし、ここでの暮らしにもしっくり合っているんですよね」 

自分の考えを貫き、それに正直であることは簡単ではありませんが、納得したものづくりができます。さらに工程をきちんと説明できることはお客さんの支持にも繋がるでしょう。 

藍染を通して伝えたいこと 

gallery

一階のギャラリーには、服やスカーフ、ポーチ、手ぬぐいからマスクまで、オリジナルの商品に加え、古着を染めたものも。 

「新たに買わなくても、すでに持っている、着なくなってしまった服を生まれ変わらせることができるのが、藍染です。近所の方も古い反物を染め直しに来られたりしますよ。藍染を通して、ものを長く大切に使う気持ちを伝えられたら嬉しいですね」  

草衣so-iでは、お客さんの要望に応じて、藍染のワークショップも行なっています。 

布

最近新たに取り組み始めたのが、藍染で行う注染。こちらは竜士さんがデザインし彫った型と、その型を使って染めた手ぬぐいです。
「藍染での注染は難しい部分もありますが、これから試行錯誤してチャレンジしていきたいですね」と竜士さん。 

藍染の魅力について尋ねたところ、
「藍染には自然で作りすぎない美しさがある。生き物が相手なので、カチカチしてなくて、いい意味で適当なんです」という言葉が返ってきました。 

自然体で自分たちに正直なものづくりを行う大道夫妻。それはきっと地球環境にも社会にも優しく強い力を与えてくれます。藍染という文化の心地よさを教えてくれるご夫婦の今後がますます楽しみになりました。 

 

草衣so-i 

住所|山口県防府市富海2666 

TEL|080-5480-6264  ※来店は電話にて要連絡 

営業時間|10:00〜17:00 

営業日|木、金、土曜日 

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執筆時期:2020年4月
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