ゆったりとしたハワイアンが流れる店内。カウンターには貝殻やサーフボードなどをかたどったアクセサリー、波の模様をプリントしたオリジナルのTシャツなどが並んでいます。
その一画にはウクレレも。
「これ、弾けるんですか?」
中にいる男性に試しに聞いてみると、「うん。弾けますよ」とその場で一曲、ハワイ語の歌を弾き語りしてくれました。
男性は、岸涼太郎さん。山口県周防大島町にある「道の駅 サザンセトとうわ」内にこの春、ハワイアン雑貨店「Ka Moani(カ・モアニ)」をオープンさせました。
軽やかなウクレレの音色を聴いているところに、サイクリストの女性が来店。涼太郎さんが品物を準備している間、おそろいのTシャツを着た女性たちがお客さんと気さくに話し始めました。

接客をする咲季さん(左)と、理咲さん
2人は、涼太郎さんの妹で保育士の咲季(さき)さんと、短大生の理咲(りさ)さん。週末には涼太郎さんを手伝って、店を盛り立てています。
アメリカ行きを直前で断念。急遽Uターン起業
2020年4月に開店したばかりのこのお店。実は出店を決めたのは開店直前だったそうです。
「本当ならいまごろ、アメリカにいるはずなんですよね」。そう話す涼太郎さんは、ウクレレだけでなく、フラダンスも得意。高校2年から本格的に習い始め、ハワイなどでステージに立った経験も。2020年3月に広島の大学を卒業し、その後は渡米してサンフランシスコに住むクム(フラの先生)のもとでカネフラ(男性のフラダンス)のプロダンサーとして活動する予定でした。

カウンターには、クムたちと撮影した写真も飾られている
ところが、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で断念。ちょうどそのころ、道の駅の店舗に空きが出たという情報が入り、「だったら、生まれ育った周防大島でハワイアンショップを開こう」と決めました。
フラが盛んな島に、ハワイアンの専門店を
周防大島町は、明治時代に移民としてたくさんの人がハワイへ渡りました。ハワイ・カウアイ島と姉妹島縁組も結んでいます。フラダンスも盛んで、咲季さん、理咲さんは小学校に上がる前から続けてきました。毎年夏には、全国から数十組のフラチームが集うイベント「サタフラ(サタデーフラ)」も開催されます。

幼い頃からフラを続けている咲季さん、理咲さんと一緒にステージに立つことも
「そこまでハワイとの縁が深いんだから、ハワイアンの専門店があったらいいのにと以前から思っていたんです。それを自分がやるとは考えていなかったけど」と涼太郎さんは笑います。
いずれはフラの衣装やレイ(花の首飾り)などをハワイで直接買い付けて、並べていく予定。夏に向けてホットドックやフライドポテト、マンゴージュースなども準備するそうです。そうしたフードメニューにも、ダンサーならではの視点を生かしていきます。
「踊る側からしたら、がっつり系だと食後に踊りづらいし、汁物は衣装にこぼれたら大変。フラ会場への移動も多いので、時間をかけずにササっと食べられるほうが有難いんですよね」
3兄妹のコンビネーションで店づくり
出店にあたっては、咲季さんと理咲さんの協力も大きかったとのこと。
「僕がだいたいのイメージを示すと、理咲がデザインを描いて、咲季が仕上げてくれる。Tシャツのデザインや店内のレイアウトも、そんなふうに決めていきました。3人いれば何でもできます」
「Ka Moani」は、ハワイ語で潮風。Tシャツや看板などに入っている波をイメージしたロゴも、3人のコンビネーションで完成させました。

波をイメージしたロゴ。右の白いカモメは3兄妹を表している
「お店の前で、来た人が自然にフラダンスをしたくなるような店にしていきたい」と咲季さん、理咲さんは願っています。涼太郎さんは「フラを踊りに来た人たちに、その日だけでもハワイのダンサーになりきってほしい。ここがそのお役に立てるように、これからグレードアップしていきたいですね」と話しています。スタートしたばかりのこのお店で、これから3人がどんな風を吹かせていくのか楽しみです。
執筆時期:2020年4月
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} ?>住所|山口県周防大島町西方1958-77(道の駅サザンセトとうわ内)
営業|11:00~16:00
定休|水曜日(6月は土日のみ営業。通常営業は7月以降)
TEL|0820-72-0073