山口県宇部市の静かな住宅街関東や九州などからもお客さんが訪れるという本格的な薬膳料理店があります。 

「薬膳カフェ 菜菜(さいさい)」納屋として使っていた自宅の一部を改築し、20192月にオープンしました。 

家

テーブル

さっそく、メインメニューの温活薬膳粥セット 福・禄・壽(一日12食限定)を注文してみました。 

おかゆのトッピングは体質別になっています。この日いただいたものには玄米に青のり、黒ごま、なつめが載っていました。岩塩でシンプルに味付けされひといただくごとに、体全体がじわっ温かくってました。 

定食

温活薬膳粥セット

お盆には酢の物や煮物などが小鉢に盛られていてメインのおかずとしてなどをべます食材はすべて、中医学(中国伝統医学)に基づいて酸味、苦味、甘味、辛味、鹹(かん)の「五味」が持つ効用を重視して構成。食前に飲むスープは、山口県阿武町で無農薬栽培された生薬の当帰(とうき)か作られたもの飲みやすく、「購入したいと言われるお客さんもいるとか 

彩りも食欲やメンタルに影響するので、5色は入れるようにしているんですよ」オーナーの三戸泰子さんが、朗らかな笑顔を浮かべながらそう教えてくれました。 

棚

このほか、体質別薬膳カレーなどもあります。免疫を上げると言われている漢方の霊芝(れいし)が入ったコーヒーや夏場の体内の熱を下げる緑豆ぜんざいなどデザートもすべて薬膳の考え方がしっかり盛り込まれています。 

お店を開いてまだ1年半足らずにも関わらず、三戸さんの料理を求めて東京や三重、大分など全国からお客さんが訪れていますその理由は、三戸さん薬膳の専門家であるだけでなく、国際中医師免許を持つ本格派だからです 

夫の病気をきっかけに 

三戸さんが薬膳と出逢ったのは17年前。
食道がんを患って入院していたご主人のために「自分にできることはないか」と模索中に、病院内の売店にあった一冊の漢方の本が目に留まったそうです。その中に薬膳は食材効能を活かして治療のための食事や予防食が作れる」と書いてあ気になったものの、当時は看病に必死で学び始める余裕などありませんでした。  

その後、ご主人は在宅看護を経て亡くなりました。半年後には、義母も癌で他界。れからは「何もする気が起きず、食欲もほとんどなく、しばらくはベッドから起き上がれなかった」そうです。 

薬膳に触れるため、中国、台湾へ

その間、「看病疲れが溜まっているから休んだらきっと元気になれる」と自分に言い聞かせていましたがなかなか元の状態にはならなかったそうです周りがシーンとする夜に気を紛らすため台湾ドラマのDVDを再生して画面は見ずにだけを聞いて2カ月ほど過ごしました。気力が回復してまず思ったのは「薬膳を学びに、中国に行きたい」ということでした。 

その後、一人で中国や台湾に渡り、本場の薬膳料理を研究。聴き続けた台湾ドラマのおかげで中国語の聴き取りはできました台湾では、薬草について学ぶために原住民プユマ族のもとに直談判をしてホームステイをしながら農作業も一緒にしたそうです。 

ひと

原住民族のプユマ族と、三戸さん(後段右。三戸さん提供)

猛勉強で、中医師免許を取得 

帰国後本格的に学ぶため、東京の北京中医薬大学日本校に入学。4年間で国際中医薬膳師と、国際中医師資格を取得しました。「特に中医師の試験は膨大な知識がないと合格できません。もう、必死で勉強しました」取得後は、周南市の診療所などで癌患者さんや不妊症、難病の方などに中医の観点からのカウンセリングを続けています 

オリジナル商品も次々開発 

薬膳をベースとした商品開発も積極的に行っています。
予約販売の「チョウサポート 花花」は、山口県阿武町で栽培された大豆から作られたおからと玄米を発酵させて作ったもの。たくさんの方の協力のもと、治験されたそうです。 

お盆

チョウサポート 花花

天然素材の力によって、「おなかの調子が良くなった」「朝、無理なく起きられるようになった」など、喜びの声届いているそうです。  

コロナ自粛の期間中、免疫力アップスープ誕生 

新型コロナウイルスによる活動自粛期間中も「新しい商品開発で大忙しだった」とのこと。そうして完成したのが、免疫力を上げるスープ「滋養湯」(じようとう)です。 

スープ

当帰の葉の部分を使いナツメ、白きくらげ、鶏肉と皮を剥かずに切った人参やじゃがいもなどじっくり煮込でいますビタミンCやビタミンAをはじめ、心身を整えるために必要なものがすべて含まれています。基礎免疫力が上がり、感染症にかかりにくい身体づくりに役立つはず」と三戸さん近々、レトルトパックにして販売する予定です。 

レトルト

滋養湯のレトルトパック

2は薬膳に関する資格が取得できる「漢方養生学院」も開設。主婦のほか看護師など医療関係者に教えています 

2階

気軽な薬膳料理から、専門的な中医学のアドバイスまで 

もともとは、ご主人の看病がきっかけで出会った薬膳。病気の主人と一緒に食事を楽しめるようなお店があればと思って探しましたが見つかりませんでした。いつか自分と同じように患者さんのいるご家族の方が気軽に食事ができるお店を作りたい。それには自分が知識を付けなくては」と思って学ばれたそうです。 

当初は健康を意識する年齢層のお客さんが多かったそうですが、最近は若いカップルの姿も「薬膳の基本的な考え方は、未病の発症を防ぐこと食べにいらしたついでに、いろいろと気軽にお話させていただけたら嬉しいです」と三戸さんは話しています。 

ひと

 

 

執筆時期:2020年6月
※本記事の情報は執筆時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

 

 

 

薬膳カフェ 菜菜

住所|山口県宇部市黒石北2丁目9-29 

営業|金曜日、土曜日11:30~15:00

電話|0836-44-2369

HPはこちら