その土地の名物を味わうのは、旅の醍醐味の一つですよね。広島ならカキやお好み焼き、もみじ饅頭などが思い浮かびますが、県民の真のソウルフードと言えば「むさし」でまず間違いありません。

むさしは、おにぎり(むさしでは「むすび」と呼ぶ)と手打ちうどんを提供・販売する創業61年の老舗です。

民芸風を基調としたお食事処にむすび弁当の販売窓口が併設されており、カープ球団のホームグラウンドであるマツダスタジアムや広島駅にあるお店の中でも群を抜いた人気!広島の顔とも言える場所に10店舗以上を展開しています。

店名は、元々営んでいた青果業とうどんの「二刀流」ということで、先代が好きだった剣豪・宮本武蔵にちなんで名付けたのだそうです。

むさしに来たら絶対食べたい看板メニュー「元気うどん」と「俵むすび」

わかめうどんや肉うどんなどの定番も本当においしいのですが、筆者一番のおすすめはこちら!とろ〜っとしたアツアツのスープに根菜と豚肉がたっぷりのった「元気うどん」(650円)です。

スープ自体は和風だしのやさしい味ですが、うどんには珍しい粗挽きコショウとにんにく入り。名前の通り元気いっぱい、汗をかくほど身体が温まります。約1時間で香りが消える「無臭にんにく」なので、ランチタイムにも安心。

むさしのおむすびの代名詞がこちらの「俵むすび」です。秘伝の甘たれで味付けされた温かいご飯が、ふんわりとお茶碗についだような絶妙な加減で握られています。

全国で選び抜かれたお米を水の種類にまでこだわって釜で炊き上げ、しっとりとなじみつつも歯切れの良い高品質な海苔を使用。塩はオリジナルブレンドで、今もなおその配合をアップデートし続けているそうです。

ところで、なぜうどん屋さんが
ここまでこだわった「おにぎり」を作り始めたのでしょうか?

うどん店「むさし」がこだわりのむすび弁当を販売するようになった理由

むさしは元々、戦前から続く青果の卸売り会社。朝早くから出荷作業に追われ朝食を取るのが難しい従業員のために現会長の浮田恵美子さんが作って持たせていたのが、おむすびでした。

【むさし土橋店のロビーでは現在でもフルーツ等が売られている】

まだまだ物が少なかった時代に「おかずは付けてあげられないけれど、せめて従業員においしいむすびを食べさせたい」と恵美子さんは毎朝、心のこもった塩むすびを握り続けたそうです。

そんな恵美子さんのおむすびは、従業員の間だけでなく市場や取引先でも大好評。昭和33年にむさし第1号店をオープンして販売を始めるとこれがまた好評で、次はお弁当としても提供するようになりました。

そして現在、むさしのむすび弁当はすっかり広島の定番に。

カープの試合ではもちろん、毎年のお花見や週末の行楽に欠かせない地元の味として愛されており、おむすびを1人で5つ召し上がる方もおられるという程の人気ぶりです。

【累計980万食を売り上げた若鶏むすび。包装紙の裏面には観光本とはひと味違う手描きの地図で地元に根付いたスポットや方言が紹介されている】

戦後の青果市場から受け継がれる温かいむすびを通した心の交流

取材の時に驚いたのは、全国から届いたたくさんのメールや手紙がファイリングされ、大切に保管されていたことです。こちらは、むさし土橋店でガラスケースに入れて飾られている千羽鶴。愛知県の高校生が修学旅行で広島を訪れた際、平和公園で食べたむさしの温かいむすび弁当に感動。包装紙を大事に持ち帰って千羽鶴を折り、広島へ送ってくれたのだそうです。

戦後の青果市場から現在に至るまで、食べる人を想う温かいむすびが脈々と受け継がれているむさし。広島を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

取材時期:2019年4月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

むさし土橋店

住所 広島県広島市中区榎町10-23
TEL 082-291-6340
営業時間 (食事)平日17:00~21:00/土日祝11:00~21:00 ※ラストオーダー20:00 (弁当などの持ち帰り)平日10:00~20:00/土日祝9:00~20:00
定休日 水曜(祝日の場合は翌日)