山口県岩国市の山間部。集落のなかの細い道を走っていると、古民家の入り口に「小さなCafé」と記された新しい木の看板が立っています。 

エントランス

外観

お店に入ってみると、そこはギャラリーのようなひっそりとした空間が広がっていました明かりにそっと照らされているのは、地域で収穫されたブルーベリー手作りの白玉あんこうじのお菓子などです。 

内観

生こうじ

生こうじのお菓子「甘麹ほじほじ」

特産品や手作りドリンクなど、地域の宝がいっぱい

 冷蔵庫の中には、岩国市特産の「由宇トマト」の完熟ジュースや、隣の柳井市で作られた甘酒なども並んでいます。 

由宇トマトの完熟ジュース

あまざけ

柳井市で手作りされている甘酒(右)

ドリンクメニューは、エスプレッソや緑茶などのほか、地元酒造会社の日本酒も。
購入後は屋内でも、屋外でも、好きな場所で食べることができます。イートインスペースは田舎のおばあちゃんちのような、まったく気取りのない空間。取材時にも家族連れがのんびりされていました。 

座敷

土日のみ開いているこのカフェは、20207月にオープンしたばかり。同年3月までは天然酵母パンで人気の「パンと農園 種と土」販売所として使っていました 

パン

店舗では、「種と土」のパンも扱っている

出店予定がキャンセル。「それなら我が社で」 

カフェを運営しているのは、中山間地域への農業用ドローンの導入斡旋や地域振興事業な展開する合同会社「山猿」。「種と土」販売所休止した、「種と土」の運営会社(株式会社 土)から依頼を受け、こ古民家での次の企画を練っていました。 

「山猿」代表のうえのさんによると、本来なら5月から個人や企業の方々とシェアキッチンを展開する予定だったそうそれが新型コロナウイルスの影響で白紙に。「それなら土日だけでも有効に使っていこうと思ってカフェを始めたんです」 

人

モカエキスプレスで淹れたエスプレッソをカップに注ぐうえのさん

うえのさんは首都圏での勤務や海外生活を経て、10年ほど前に岩国の里山へ移住してきました。「住環境に関係する仕事をしていて、地方の空き物件を探していたんです。岩国にそういうものがあると聞いて、見に来たのが始まりですね」  

「何もないところ」が「何もかもある場所」に  

移り住んだ当初は「都会と比べると、何にもないところだと感じたとか。ところが、暮らし続けているといろんな豊かさに気づいていったと言います。「空気がとてもきれい。夜にはびっくりするくらい星が見えるんですそして、野菜がどれも新鮮ですごく美味しい何もないところが、何もかもある場所に変わりました」  

特に、岩国の里山などで採れる安全で安心な農作物の素晴らしさに感動。自身も2反の農地を借りて野菜を育てています。一方で、安全性の高い食材や食品が流通しにくい現状についても考えるようになりました。「無農薬の農産物や無添加の食品などは、幅広く流通させることが困難です。大量に生産しようと思えば、どうしても薬剤や添加物の力を借りる必要が生じてくるので」 

人

繋がりあい、地域の価値を高めるカフェに 

では、どうすればその問題を解決できるのでしょうか。地域振興事業の一環として取り組むこのカフェは、そのひとつの答えとしてのチャレンジでもあるようです 

ここでは地域の生産者さんのご協力を得て、この土地で採れた新鮮な農産物をメニューに加えています。そうした品々を召し上がっていただくことで、『食』についてほんの少し考えてみる機会になればと。そのようにして消費を拡大していくことが生産者さんの励みになり、次の良質な『美味しいもの』を生んでいく流れをつくっていけたら、嬉しいですね 

窓


安心・安全な農産物を育む生産者と、その農産物の価値を理解しながら美味しく食べる消費者。
始まったばかりのこの小さなカフェは、その両者のつながりの場として、これから大きな流れを生み出していくのかもしれません。 

 

 

執筆時期:2020年7月
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小さなCafé 

住所|山口県岩国市竹安415

営業|土・日曜10:00~15:00 

TEL|0827-93-4008 

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