ぷっくりとした姿が可愛い多肉植物。育てやすく、またどんなインテリアにもマッチすることなどから、年々人気の高まっている植物です。 

花屋さんやインテリアショップなどで見かける多肉植物ですが、なんと山口県美祢市には、県内唯一の多肉植物専門店があるのです。 

山口県美祢市の「小さな糸」 

outside

やってきたのは山口県美祢市の伊佐地区。古い街並みが残る伊佐商店街の中に、多肉植物店「小さな糸」はあります。一風変わった建物は、昔「伊佐郵便局」として使われていたもの。 

中に入ると、素敵な空間が広がっていました。あちこちに並べられた多肉植物やドライフラワーに、板張りの床や古いタンスを活用したディスプレイがうまく溶け合っています。 

「花屋さんらしくしたくなかったんです。ただ棚に品物を並べるだけじゃ面白くないなと思って。植物の空間を作りたかった」  

そう話すのは、店主の坂倉賢さん。壁の漆喰塗りやパーテーションなど、植物の空間を作るためのリノベーションはご自身のDIYによるもの。そのどれもが、まるでプロの仕事のような出来栄えなのです。
現在は小さな糸を営む坂倉さんですが、実は前職は意外なお仕事をされていました。 

瓦職人から転身 

「以前は屋根に瓦を貼る瓦職人をしていました。天候に左右される仕事で、梅雨時期などは作業できないので、副業として整体師もしていたんですよ」 

一見、植物とは関係のない業界にいらっしゃった坂倉さん。どうして多肉植物のお店を始めることになったのでしょう? 

「20代の頃から植物が好きで、趣味でガーデニングをしていたんです。ハーブにも興味があり、ハーブコーディネーターの資格をとって整体に来られたお客さんにハーブティーを提供したりもして」 

ある日、ホームセンターで多肉植物に出会い、気づかぬうちにどっぷりとその魅力にハマっていきました。 

多肉植物の魅力 

「多肉植物って本当に不思議。なんでこうなるの?というような形や色など、無限の魅力がある」と笑います。 

当初は色々なものを買って育てていただけでしたが、4年ほど前からはネットで販売するように。行きつけの珈琲店や周囲の友人に多肉植物の話をするうちに、気持ちに歯止めがかからなくなったのだそう。 

「その頃、瓦の仕事も減ってきて、そろそろ第二の人生を考えなければ、と思っていたんです。それなら好きな多肉植物をやろう、と」 

知人の紹介でこの建物に出会ってからは、あっという間に話が進み、2019年11月に「小さな糸」がオープンしました。
店頭では、坂倉さんが全国から厳選した4つの生産農家の苗を中心に取り扱っています。 

同じ品種でも、生産農家によって苗の状態が変わるという多肉植物。写真はどちらも桃太郎という品種ですが、葉の膨らみ方や形が少し違って見えます。 

三重県の「ともぞう園」の苗は、小さな糸が全国で唯一の取扱店。
「以前からこちらの多肉植物が好きで。オーナーさんと多肉植物について議論するうちに、取引が決まりました。熱意が伝わったのかも」と嬉しそうな坂倉さん。 

育て方のポイント 

一見、あまり手間をかけずに育てられそうな多肉植物ですが、意外と枯らしてしまう方が多いのも事実。 

「あまり水をやらなくていい、と思われがちなのですが、太陽と風は必要なので、できれば外に置く方がいいですね。その場合は、暑い時期だと一週間に一回ほどたっぷり水をあげてください」 

室内や暗い場所では株が徒長(とちょう)してしまったり、土の表面は乾いているように見えても中は水が乾き切らずに根腐れの原因となるのだそう。 

「昔はよく同じ苗を二つ買ってきて、一つは中、一つは外など、違う環境で育てる実験をしていました。枯れたと思ってもまた生き返ったりするんです。調子が悪くなったら、一度抜いて植え替えたり、カットしたり、色々試して、植物の生命を信じるしかないですね」 

どんな生き物も同じ。やはり日頃の丁寧な観察、手入れは欠かせないのですね。  

多肉植物から広がる関係 

店内の一角には、地元の作家さんが作ったアクセサリーやバッグ、多肉植物を入れるためのリメイク缶など、手作り雑貨が並ぶ

 

2階はイベントスペース用に改装。7月には美祢市のカフェやゲストハウスと合同でイベントを開催した

今後は色々な人とコラボしてワークショップを考えているという坂倉さん。 

「例えば、作家さんに鉢の作り方を教えてもらい、それぞれが作ったオリジナルの鉢を使って多肉の寄せ植え教室をしたり。僕が一人で何かするより、多肉植物を使って周りの方とコラボすることで、さらにいいものができると思うんです」 

魚やハートのような葉がかわいい「碧魚連(へきぎょれん)」

最近は多肉植物もネットで注文する方が多いそうですが、「実際にお店へ足を運んで選ぶ楽しさを感じてもらえたら」と坂倉さん。私も数ある多肉植物から「碧魚連」という鉢を一つ買って帰ることに。坂倉さんに教わった方法で、大切に育ててみようと思います。  

小さな多肉植物のある暮らし、あなたも始めてみませんか。知らぬ間に植物を育てる喜びに目覚めてしまうかも?! 

 

 

執筆時期:2020年8月
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小さな糸 

住所|山口県美祢市伊佐町伊佐4825 

営業時間|11:00〜18:00 

定休日|日曜日

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