お寿司やお刺身に欠かせない、わさび。一言に「わさび」といっても、様々な種類があるのをご存知ですか。今回ご紹介する「沢わさび」は、いつものチューブわさびとは全く別物の逸品です。山口県には在来種の沢わさびを味わえるお店があるんです!

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訪れたのは山口県岩国市、錦町の「寂地峡(じゃくちきょう)」。夏は涼しく、秋には美しい紅葉を楽しめる名勝として人気の観光地です。 

山口県岩国市の寂地峡レストハウス菩提樹 

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寂地峡の入り口に佇むのが、「寂地峡レストハウス菩提樹」。 

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中に入ると、壁にはわさびや鮎など、錦町の名物とも言えるメニューが貼り出されていました。どれもリーズナブル!まずは季節限定の鮎重をいただきます。 

定食

鮎重には、こんにゃくのきんぴらとお刺身に、お味噌汁、ふろふき大根がセットになっています。味噌もこんにゃくも自家製とのこと。まずは鮎をパクリ。柔らかくもしっかりとした身に甘辛いタレが絡んで、美味しい! 

「鮎は地元の宇佐川でとった天然もの。過去に2度、全国利き鮎大会で日本一に選ばれているんですよ」と店主の藤井俊昭さんが教えてくれました。この鮎の美味しさはお墨付きなんですね。  

わさびが主役のメニュー 

定食

お次は菩提樹の名物、「わさび丼」です。 

ワサビ丼

丼には、すりおろしわさびとわさびの醤油漬け。普段は薬味として食べるわさびが主役になっています。こんなに食べて大丈夫なの?とちょっと心配になるわさびの量。
地元産の醤油を回しかけ、よく混ぜていただきます。一口食べると……ん?そんなに辛くない!確かにツンときますが、その辛味はスッと消え、後には甘みのような旨味が広がります。 

在来種の沢わさびの特徴  

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「僕が栽培している在来種の沢わさびなんですよ。そんなに辛くないでしょう。皆さん『わさびってこんなにうまかったんだ』と驚かれるんです」 

店主の藤井さんは、40年間大阪の石油会社に勤め、15年前に錦町にUターンしました。現在は息子さんや仲間と共に錦町で沢わさびや畑(はた)わさびなど、5種類のわさびを栽培しています。 

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菩提樹のメニューに使っている沢わさびを見せてくれました。 

「在来種は糖度が6度から9度あるんです。擦ると粘りが出て味が濃く、甘さがあって美味しい」 

ところで在来種とは、どういうことでしょう? 

「錦町は昔からわさび栽培が盛んな場所なんです。僕の父は林業をしながらわさびも作っていました。ただ輸入物が大量に出回るようになり、錦町産のわさびの値段が下がってしまって……」 

父のわさび畑を継ぐ形でUターンした藤井さん。当時のJA山口東が開いた、わさび塾第1期生として栽培を学びながら、同時に父の畑で実践。しかし、わさびの値段が下落したことにより、周りのわさび農家は徐々に減っていました。今までのやり方では続けることができないと、藤井さんは新たな栽培方法を模索します。 

新たなわさび栽培方法とは 

人

「石油会社にいた頃、バイオテクノロジーを使い、会社がシンビジウムなど蘭の栽培をしていたんです。僕は興味があって、会社に来ていた農大の専門家に聞いて、自宅でも蘭を栽培しました。その時の技術が今のわさびに生かされているんですよ」  

かつてわさびが栽培されていた谷から、自生して残っているわさびを採取。50種類ほどを皆で食べ比べし最終的に選んだ株が、現在お店で出している沢わさびの元となっています。  

「名前は当時の栽培者から取り、たつ1号、たつ2号、あつ1号、あつ2号と呼んでいます」 

以前のような株分けではなく、種から育てることで病気に強くなるのだそう。さらにセルトレイに種まきすることで発芽率も上がります。また、平坦な土地を選んで栽培しているので、耕運機が使えるようになりました。 

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藤井さんが手がけているわさび畑(藤井さん提供)

わさびが成長する温度は6度〜15度。畑わさびは夏と冬には成長がストップしますが、沢わさびは水温が年間通して15度と変わらないため、大きなわさびに成長します。  

わさびを味わえる加工品  

わさび栽培に菩提樹の営業、さらに地元の仲間たちと行う軽トラ市を始め、地域のイベントやお手伝いに忙しい藤井さんですが、わさび漬けや味噌など加工品づくりも担っています。代表を務めるのは藤井さんの母、キクエさん。御年90歳! 

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「錦清流グループ」という総勢8名が、地元のお米や大豆、わさびなど安心な素材のみで作っている商品

「味噌は大豆と米麹、塩のみを使い、手もみで作っているので、大豆の隅々まで米麹が行き渡って美味しいんですよ」と藤井さん。  

菩提樹でいただいたお味噌汁も、何がこんなに違うんだろう!と驚くほど優しく、やわらかな甘みを持っていました。 

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わさびの味噌漬けと花わさびはクラッカーにチーズと一緒にのせて。温かいご飯もいいですが、こういう食べ方もまた一興。特にお酒を飲む方にはオススメです! 

奥の深いわさびの世界。皆さんもぜひ、岩国市錦町でわさびの新たな魅力と出会ってくださいね。 

 

 

執筆時期:2020年10月
※本記事の情報は執筆時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
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住所|山口県岩国市錦町宇佐1251

TEL|090-8068-2656  ※来店時は事前に電話連絡がおすすめ 

営業時間|11:00〜15:00

営業日|金、土、日曜日(第3日曜日を除く)、祝祭日  ※12/1〜3/31は冬季休業 

加工品の販売店舗|道の駅ピュアラインにしき、FAM’Sキッチンいわくに、岩国空港など 

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