モチモチのもち米とあんこのやさしい甘み。一口ほおばるだけで懐かしい気持ちにさせてくれる、おはぎ。山口県宇部市には、おはぎを専門にした「おはぎカフェ」があるとのこと!おはぎというと、あんこときな粉の2種類くらいしか思い浮かばないのですが、一体どんなバリエーションがあるのでしょう? 

山口県宇部市の「かまたの恵」 

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山口県宇部市の上宇部地区に佇む古民家、「かまたの恵」です。2018年に築60年の古民家を改装し、オープンしました。 

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店舗はカフェと販売所に分かれており、右手に進むと、おはぎをテイクアウトできる販売所に入ります。  

地元素材がたっぷり!かまたのおはぎ 

menu

ありました!コロンとかわいいサイズのおはぎ。定番の7種類に加え、季節限定のおはぎが1〜2種類。この時期は栗を混ぜ込んだおはぎです。オーソドックスなあんこやきなこのおはぎの他、宇部産ほうじ茶を使った「焙香(ばいか)」、萩の夏みかんピールを混ぜ込んだ「夏柑(なつかん)」、山口県産あおさをまぶした「緑水」など、地元の素材を使用したおはぎが沢山! 

「おはぎに使われているもち米は、すべて僕が育てたものなんですよ」  

そう話すのは、代表の藤井芳治さん。高齢化で田んぼをやめる人が増え、地域の米栽培も担っているそうです。 

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「定番の『豊穣(ほうじょう)』は、もち玄米100%で作っています。まぁ一度、召し上がってください」 

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カフェでは、お好きなおはぎ2種類とドリンクをセットで楽しめます。あんこの豊穣と、この時期だけの栗おはぎ、おいしそう! 

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口の中でやわらかな甘みと玄米のプチプチ、もちもちした食感が合わさり、いくつでも食べられそうな味わいです。 

「ここにくるまで、みんなで何度も試作しました。オープンまでの数ヶ月、毎日おはぎを作って、飽きるほど食べてね(笑)」 

かまたの恵は、藤井さんをはじめ、同じ地区で暮らす仲間たちが運営しています。 

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毎朝、開店に向けて平均200個ほどのおはぎを作る

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おはぎカフェに生まれ変わった古民家 

ところで、どうして「おはぎ専門店」を始められたのでしょう? 

「この古民家は、僕が10歳の時に建った家なんです。結婚して家を出てからは暮らしていないのですが、ずっと両親が住んでいました」 

兼業農家として長年生きてきた両親が建てた家。藤井さんにも懐かしい思い出が詰まった大切な場所です。  

「母が亡くなり、父はしばらく一人で住んでいたのですが、施設に入ることが決まって。空き家になったこの家を、どうにか残して地域のために生かせないかと考えました」 

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かつて藤井さんの寝室だった部屋は、カフェスペースとして生まれ変わった

60歳まで自営業で建設関係の仕事を続け、息子に譲った後は、市の嘱託職員や介護施設の職員をしてきたという藤井さん。68歳の時、宇部市の「空き家であなたの夢実現プロジェクト」を知ります。そこで地域の仲間たちと、この場所でできることを考え始めました。 

「母が昔からよくおはぎを作っていたんです。朝市でも母のおはぎは評判でした。僕はおはぎの手伝いはしたことがなかったのですが、10年前からは母と一緒にお正月の餅を作るようになりました」 

古民家、もち米、おはぎ……この3つが揃い、
「おはぎのカフェをしよう!」
そう決めた藤井さん達は事業計画を練り上げ、開店へ向け動き始めました。 

staff

藤井さんと仲間たち。開業前は、関西までおはぎの視察に行った。今でもふた月に一度は皆で小旅行する

藤井さんは現在、地域の福祉委員としても活動中です。主に一人暮らしの高齢者の見回りや、啓蒙活動に力を入れています。  

「ご近所さんがちょっと気にかけてあげるだけで、独居の高齢者の事故を防ぐことができるんですよ。例えば、郵便受けに新聞がたまっていないか、洗濯物がずっと干しっぱなしになっていないか。『最近あの人見んね』という話が出ても、『娘さんとこに行っとるんじゃない』とのんきに考えてしまう人達が多い。
だけど『もしかして家の中で倒れてるんじゃないか』と気にしてほしい。それで救われる命もある」 

退職後、福祉委員や一人暮らしをしていた父の見回り、知的障害者の方々が暮らすアパートの管理人など、様々な面で福祉に携わってきた藤井さん。その心配りは「かまたの恵」でも生かされています。 

誰にとっても優しい空間を 

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古民家の隣にある納屋を改装した「かまたのNaya」。バリアフリー対応で車イスの方でも安心なフリースペースです。介護施設の団体客もよく利用されるほか、町歩きの休憩所として観光客や地元中高生にも人気だとか。カフェには座敷席や授乳室があり、小さな子ども連れの方に喜ばれています。コロナ禍がきっかけで始めた、おはぎの無料宅配は介護施設の利用者さんに好評だそう。 

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「自分がかつて暮らしていた家で、お客さんが『美味しいね』と笑顔でおはぎを食べている。その光景を見たときは感無量だった」 

お客さんとの会話が楽しく、人と対面する仕事の喜びを、この歳で初めて実感したと語ってくれました。 

藤井さんと皆さんの心づかいに、誰もが笑顔になれる場所。美味しいおはぎが食べたくなったら、「かまたの恵」を一度訪れてみてください。 

 

 

執筆時期:2020年10月
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かまたの恵 

住所|山口県宇部市中村1-6-50 

TEL|0836-32-1824 

営業時間|11:00〜17:00 

営業日|毎週木曜日、金曜日、土曜日、第一、第三日曜日 

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