瀬戸内海に向かって「でんっ」とそびえる、高さ約40メートルの巨大な岩。
山口県周防大島町にある「立岩」。馬頭観音が祀られ、地元では信仰の対象となっています。
荘厳さの漂うこの岩のすぐ近くに、かわいいカフェがあります。「海カフェ カシェット」。地中海のまちのような白い壁と、オレンジの瓦が目印です。
巨岩をライスで表現。三日間煮込んで仕上げる「立岩カレー」。
このお店に来たら、ぜひ頼んでみたいメニューがありました。それは、さきほどの岩をモチーフにしたという「立岩カレー」。カレーと、あの巨岩がどう繋がっているのか?待つこと数分。運ばれてきたものは……。
これはもう、見事というほかありません。
ルーは滑らかで、コクがあります。食べ始めは少し甘めに感じましたが、あとから辛さが追いかけてきました。
「3日間煮込んで仕上げています。和牛の肉も入っていますが、すっかり溶け込んでいるので分からないかも」。このカレースタイルを編み出した岡本睦美さんが教えてくれました。
スイーツも人気。ケーキはすべて自家製。フレンチトーストは島内の製パン業者に特注したハート型のパンを使っています。
「島でカフェを」。ずっと温めてきた夢を形に
お店は2018年5月にオープンしました。
周防大島町は、睦美さんの夫・政己さんの実家がある島。お店を始めるまで岩国市で暮らしていたお二人は、実家に帰るたびに「ちょっとお茶するところがあればいいな」と思っていたそうです。
「いまでこそ、島内にもおしゃれなお店がたくさんできていますが、昔はほとんどなくて。いつの日か自分たちでやってみようと夢みるようになりました」(睦美さん)

岡本睦美さん㊨と、夫の政己さん
土地を探して島内を巡り、ここに惚れ込んだとのこと。決め手となったのは、意外にも立岩ではありませんでした。
「それは、ここからの海の眺めなんです」と政己さんは明かします。「瀬戸内海は多島美のイメージが強い。でも、ここは青い海がずっと遠くまで広がって見えます。こうした景色は、島内では珍しいんですよ」

窓辺のカウンター席からは、果てしなく広がる青い海を一望できる
開業以降、大島大橋への貨物船衝突事故による影響から1ヶ月以上お店を閉めたり、新型コロナウイルスの流行により思うように営業できなかったり……。予想外の事態が続きました。
「それでも、毎月のように遠くから来られる女性のグループや、お孫さんの帰省のたびに一緒にお茶にいらっしゃる地元の方など、リピートされるお客さんも増えています。有難いですね」と睦美さんは明るく話します。
夏だけじゃない。「ここからの景色は、オフシーズンこそ美しい」
「瀬戸内のハワイ」とも呼ばれる周防大島。当然、夏は観光客で賑わいます。けれど、政己さんは「秋から冬が一番好き」といいます。
「晩秋には、立岩から朝日が昇るのが見えます。そして冬は空気も海も澄んでいて、本当に美しいんですよ」

テラス席からの眺め。イルカの群れや、スナメリを見かけることもあるとか
カシェットとは、「隠れ家」を意味するフランス語。美しい瀬戸内の景色を静かに楽しみたい方に、ぴったりのスポットです。
執筆時期:2020年10月
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} ?>住所|山口県周防大島町東安下庄立岩ヶ浜
営業|11:00~17:00
定休|月・火曜日(祝日は営業)
TEL|0820-77-0821