山口県山口市の徳地(とくぢ)。自然豊かでのどかな風景の広がる地域です。2019年11月、ここに一軒のおそば屋さんがオープンしました。まだ新しいお店ですが、平日でも早々にそばが完売する日も珍しくないとのこと! 

山口市の徳地にある「徳地そば茶屋雅」 

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こちらが「徳地そば茶屋雅(みやび)」。
立派な古民家に、造り酒屋で見る杉玉が目印。そばに日本酒は相性抜群。これは期待が高まります! 

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店内は天井が高く、足元はフローリング。ペレットストーブが置いてあり、古民家の良さを残しながらも快適にリノベーションされています。カウンター席からは、食事しながら美しく手入れされた庭や徳地の山々を眺められますよ。  

毎朝手打ちの絶品そば 

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ざるそばと共に、揚げたての天ぷらや季節の小鉢、胡麻豆腐などが運ばれてきました。温かいおそばも捨てがたいですが、そば本来の美味しさを味わうなら、やはりざるそばに限ります! 

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特製のつゆにさっとつけて啜ります。ほどよく歯ごたえのあるそばに、奥深い出汁の風味が絡んで最高!
そばは毎朝、店主の飯笹雅博さんが手打ちしたもの。出汁は国産昆布や鰹節、徳地特産の乾燥椎茸などを使って丁寧にとっています。サクサクの天ぷらや小鉢は、どれも素材の旨味を生かした味付けで、そばの美味しさをさらに引き立ててくれます。 

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毎日早朝からそばを打つという飯笹さん

2016年、飯笹さんは家族と共に大阪から山口市徳地へ移住しました。大阪はうどん文化が強い印象ですが、どうしてそばなのでしょう?  

「子どもの頃からそばが好きだったんですよね。社会人になってからは東京への出張も多く、そば屋で冷酒を飲みながらそばを啜る、というのが好きで」  

そばはもちろん、お酒も大好きだそう。お店では日本酒も楽しめます。 

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徳地の酒蔵、新谷酒造の「わかむすめ」を取り揃えている

「最近はありがたいことにお客さんが多く、なかなかゆっくりと日本酒を味わってもらえないのが残念です。コロナが落ち着いたら、ぜひそばと一緒に楽しんでもらいたいですね。本当に美味しいお酒なので」  

ずっと憧れていた田舎暮らし 

徳地に移住したきっかけは「地域おこし協力隊」だそう。
長年サラリーマンをしていた飯笹さんに44歳の時、転機が訪れました。 

「出張が多い会社でした。月に20回は新幹線に乗っていましたね。このまま仕事を続けたら、今後は出張どころか遠方に単身赴任する可能性も出てきて。家族と過ごす時間も短く、新しいことにチャレンジするのも年齢的に最後かもしれない。ふと出張帰りの新幹線で、『田舎暮らし』とか、そういうワードでネット検索してみたんです」 

そこで目に飛び込んだのが、山口市徳地の「地域おこし協力隊募集」のお知らせでした。 

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移住先で第二の人生を満喫、そんな田舎暮らしを紹介するテレビ番組が好きだったそう。心の片隅でずっと憧れていた暮らしが現実になるまで、そう時間はかかりませんでした。 

ただ、会社を辞めて田舎へ移住したいと言い始めた飯笹さんに、奥様は反対。 

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「大阪で子育てしながら、すでにコミュニティーが出来上がっているのに、いまさら手放すなんて、という気持ちでした」と奥様のさやかさん。 

実はさやかさんは山口市の出身。当初は反対していましたが、ご主人に「今後は遠方に単身赴任になるかも」と説得され、渋々了承。今ではすっかり徳地の生活にも慣れたと言います。 

そばを自ら栽培して分かったこと 

2016年の11月、晴れて地域おこし協力隊に着任した飯笹さん。ミッションは「そば打ちの伝承と地産品の販路拡大」でした。
食べるのが好きなそばも、作るのは初めて。当時、徳地総合庁舎の近くにあった「そば処樽」の大将に、一からそば打ちを学びました。ところがその5ヶ月後、大将が急逝。 

「見よう見まねでやっている状態だったので、途方に暮れました。そこからは独学。まずは自分でそばを栽培してみようと思ったんです」 

その年の夏から栽培を始め、11月に収穫冬には自分で作ったそばで初めてのそば打ち。そこで気づいたのは「そばそのものが美味しくないと、そばが美味しくない!」ということ。 

「そばってつなぎが入るとしても、大部分は『そば』なんですよね。素材の良し悪しがそのまま出るんです」 

現在は米や野菜作りをしながらの営業のため、そばは松江の信頼できる製粉会社に紹介してもらっています。 

「そばは温度変化に敏感なんです。せっかくいいものでも輸送時間が長くなると傷んでしまう。そのため中国地方の近場で作られ、きちんと温度管理されている美味しいそばを選んで使っています」 

田舎ならではの休日 

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「田舎に行ったらのんびり働けるな〜と思ったのが間違いでしたね(笑)サラリーマン時代は休日は休日。昼間からビールが飲めましたが、ここではそうはいかない。草刈りや畑仕事、用事が多く、全く何もしない休み、というのがありません」と笑います。 

忙しいながらも大好きな「そば」を生業とし、豊かな自然の中、家族と過ごす時間も増えた飯笹さんは、とても生き生きとしていらっしゃいました。 

“人生のターニングポイントに立った時、自分が大切にしているもの、昔から好きなものが、今後の生き方のヒントになる” 

そばを啜りながら、そんなことを感じました。
あなたもぜひ、美味しいそばを食べに徳地を訪れてみてくださいね。 

 

 

執筆時期:2020年10月
※本記事の情報は執筆時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
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徳地そば茶屋雅 

住所|山口県山口市徳地堀1427 

TEL|050-5207-1073 

営業時間|11:00〜14:00(そばが売り切れ次第終了) 

定休日|月曜日 

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