山口県宇部市の山間部。ハイキングの名所としても親しまれている霜降山(しもふりやま)の麓に2020年11月、小さなカフェがオープンしました。
木の温もりを感じられる店内は、ヒュッテ(山小屋)のような落ち着いた空間になっています。
「もともと、ここには主人の実家が建っていたんです。築200年くらいの古民家でした」と話すのは、オーナーの山田まどかさん。
木々に囲まれ、野鳥もたくさん訪れる気持ちのいい場所だったため、「当初は、そのまま古民家カフェを開くつもりだったんです」。しかし、あまりに老朽化していたために断念。カフェを新築しました。

山田まどかさん
甘いのに、スパイシー
食事メニューの中から、カレーを注文してみました。
食べ初めは、フルーツのような甘みが口の中に拡がっていきました。ところがだんだんと、隠れていた辛さが顔を出してきます。食べ終わるころには、少し口の中がピリピリするほどスパイシーに。
「バナナやフルーツチャツネ(インドの調味料)のほか、ガラムマサラ、シナモン、味噌などを煮詰めた特製ルーです。クセになるらしく、お客さんに好評ですね」(山田さん)
このほか、「ロコモコ丼」「カレーロコモコ丼」なども。お米はいずれも近所で栽培された無農薬米が中心。サラダなどにも、ほぼ無農薬の自家栽培野菜を使っています。
手作りスイーツは、男性にも好評
スイーツは、同じ地域に住む女性による手作り。旬の果物などを使った数種類を、ワンプレートにして提供しています。取材に伺った日は、柿の実のプリン、ヨーグルトケーキ、コーヒーシフォンの3種盛りでした。
いずれも甘さが控え目で、あっさりした食後感。「男性にも人気」というのも納得です。
カウンター席の窓から見えるお庭の景色も、魅力のひとつ。現在、イングリッシュガーデン風に造園中で、奥には芝生広場がお目見えする予定。庭造りが本業の夫・宣彦さんの手で、少しずつ理想の形に近づいています。
地域のために「カフェで貢献を」
長年、この地域の学童保育に携わってきた山田さんは、子どもが減り人口も少なくなっていく現状に胸を痛め、「何かできることをしたい」と思うように。
2014年に地域コミュニティカフェの開業を目的とした会社「厚東の杜」を立ち上げ、起業塾などでビジネスの勉強を重ねました。
市内の企業や学校などへ手作り弁当の配達をする傍ら、カフェ開業に向けての準備を本格化。山口市や下関市などにある飲食店などで延べ2年間、調理や衛生管理面などの修業も積んできました。
新しい繋がりが生まれる場所に
わざわざ探して来ないとまず分からない隠れ家的な立地。それにも関わらず、開業前から「いつオープンするの?」と何度も尋ねられたそうです。
「地元の方も、遠くからの方も、気軽に訪れることができて、新しい繋がりが生まれるようなお店にしていきたい。家族がずっとお世話になってきたこの地域への、ささやかな恩返しになれば嬉しいですね」。山田さんは、そう話しています。
執筆時期:2020年11月
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} ?>住所|山口県宇部市末信519番地
営業|11:00~17:00
定休|火曜