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大きく立派な「じねんじょう」。皆さんは「じねんじょう」ご存知ですか。 

長芋ならスーパーでも見たことがあるけれど、じねんじょうってそもそも何だろう?と思われる方は少なくないと思います。私もその一人でした。「じねんじょうまつり」と出会うまでは……。 

今回はじねんじょうの謎を解き明かしに、山口県の周南市、湯野温泉の「じねんじょうまつり」を訪れました。 

周南市湯野温泉の「じねんじょうまつり」 

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湯野温泉の中心部に佇むのが「じねんじょうまつり」。「やまいもまつり有限会社」が営むじねんじょうの直売所です。 

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中に入ると、じねんじょうを使った加工品がずらりと並んでいます。生のじねんじょうも、こちらでは一年中購入することができます。 

じねんじょう尽くしのラインナップ 

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じねんじょうまつりで販売している加工品の一部

「生のじねんじょう以外にも、冷凍とろろ、じねんじょうの特性を生かした麺や炊き込みご飯の素など、様々な加工品を販売しています。6次産業という言葉が広まる以前から、加工品づくりには力を入れてきました。じねんじょうには手が出しにくい、という方にも、その美味しさを気軽に味わってもらえたらと思っています」 

そう話すのは、やまいもまつり有限会社の社長、井上容一さん。 

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特に井上さんのイチオシだという「じねんじょうかりんとう」には、県内産の小麦「せときらら」を使うなど、素材にこだわって作っているのだそう。 

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直売所の奥にあるカフェスペースでは、ドリンクやじねんじょうを使ったスイーツが楽しめます。こちらは「じねんじょう大福」。  

「大福の皮も中の餡もじねんじょうで作っています。豆のように見えるのは、じねんじょうの赤ちゃん『むかご』ですよ」 

一口食べると、滑らかなじねんじょう求肥(ぎゅうひ)と、やわらかくほどよい甘みの餡に心を奪われました。むかごの塩気と歯ざわりがいいアクセントになっています。 

じねんじょうって、一体何者?!  

「まずは畑をご案内しましょう」と井上さん。畑へ向かう車中で、面白い話を聞きました。 

「じねんじょうって、『自然』に『生』えると書いてじねんじょうなんです。『自然薯』というのは後からできた当て字なんですよ。ヤマノイモ科ですが、外来種の大和芋やつくね芋と違い、元々日本に古くから自生している固有種で、今も山や、こういう道路脇の茂みなんかにも生えています」 

ちょうど11月頃に紅葉シーズンを迎えるじねんじょう。「黄色いハートの葉っぱが目印だからこの時期は見つけやすい」と聞き、車窓から目が離せなくなってしまいました。こんな身近にあるなんて、驚きです。 

一風変わったじねんじょうの栽培方法 

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到着したのは、じねんじょう畑。 

「ここでは春に向けて、じねんじょうの種芋を植える準備をしています」と教えてくれたのは、生産部門の専務、村田幸大郎(こうたろう)さん。 

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「じねんじょう栽培には、この波板が欠かせません。じねんじょうは放っておくと自然と下に伸びていくので、掘る時が大変。波板を挟むことで斜めに生えるように誘導するんです」  

幸大郎さんはじねんじょう栽培を担っています。幸大郎さんの父であり、井上さんの義父でもある村田将弘さんが初代社長です。 

「現在の会社は1999年に創業したのですが、義父がじねんじょうを始めたのはもう40年以上前のこと。当時、一村一品運動※が活発で全国にじねんじょう栽培の技術を広めて回ったのが義父でした」と井上さん。 

※一村一品運動……各市町村が一つの特産品を生み出し、地域活性化を図る運動。 

若い頃東京で暮らしていた将弘さんは、休日に友人達が山にじねんじょうを取りに行く姿を見て、「都会の人はわざわざ休日にこんなことをして楽しむのか」とカルチャーショックを受けたそう。
そこから「これはビジネスになるのでは」と思い立ち山口へ帰郷。農業学校へ入り、じねんじょうの勉強を始めたと言います。
新たなビジネスチャンスをじねんじょうに見出した将弘さんは会社を家族に任せ、現在は会長として、再びじねんじょうの普及活動に取り組んでいます。 

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まもなく収穫を迎えるじねんじょう畑。 

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紅葉した葉の間からは、むかごがのぞいていました。
「じねんじょうは生命力が強い。 種や種芋はもちろん、むかごも子孫を残す力を持っているんですよ」と井上さん。 

じねんじょうの魅力 

栄養価が高く、皮ごとすりおろして味わえるじねんじょうは、餅のように強い粘りを持っています。実際に、じねんじょうをすり鉢ですったところ、今まで見たことのないようなしっかりとした粘りが出て驚きました。 

これまで謎の食材だったじねんじょう。井上さんのおかげで、その秘密が垣間見れた気がします。 

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「実は僕もこの会社に入るまでは、じねんじょうについて全く何も知らなかったんですよ。入社後、妻の母が粉を使わずじねんじょうだけで作ってくれたお好み焼きを食べた時は、あまりの美味しさに衝撃を受けました」と笑います。 

27歳まで、サラリーマンとして出身地の岡山県で働いていた井上さん。 

「当時は出張や転勤が多く、家族との時間が取れずに不満を感じていたんです。その頃義父に『こっちに帰ってこないか』と誘われ、30代を目前に転職しました。そこからですね、じねんじょうとの付き合いは」 

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帰宅後、「じねんじょうかりんとう」と「バタークッキー」をいただきました。
かりんとうは優しい甘みでカリポリとあと引く美味しさ。クッキーはバターの香りが広がりサクサク感がたまりません。こんな楽しみ方もあるのだなぁとじねんじょうの奥深い可能性を感じました。 

“日本人のソウルフードであるじねんじょうの食文化をもっと広めて、多くの人に味わってもらいたい” 

そう話す井上さんの優しい笑顔が浮かびました。意外と私たちの身近に存在するじねんじょうの魅力、あなたもぜひ味わってみてくださいね! 

 

 

 

執筆時期:2020年12月
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じねんじょうまつり 

住所|山口県周南市湯野4238 

TEL|0834-82-0500 

営業時間|10:00〜17:00 

定休日|日曜日、月曜日 

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