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瀬戸内海に浮かぶ山口県周防大島。明治から大正にかけて数多くのハワイ移民を輩出した「瀬戸内のハワイ」として知られる島ですが、同時にみかんの生産地としても有名です。 

ただ、近年は高齢化に伴いみかん作りをやめる農家が増えているとのこと。そんな中で未来への希望を感じるような、とっても元気な若手のみかん農家に出会いました! 

山口県周防大島の上妻みかん園 

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こちらが今回ご紹介する「上妻(こうづま)みかん園」の上妻大希(ひろき)さんとあかねさんご夫婦です。上妻みかん園は、周防大島の中でも南側に位置し、特に日当たりの良い「安下庄(あげのしょう)」という地区にあります。海が一望できる気持ちのいい畑を含め、1.5ヘクタールもの土地をお二人で管理しています。 

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11月下旬の上妻みかん園

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取材時はすでにみかんの繁忙期!収穫に出荷に、大忙しの季節です。 

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自宅横のみかん倉庫にはコンテナに積まれたみかんがズラリ。上妻みかん園では、9月下旬から収穫できる極早生(ごくわせ)みかんを皮切りに、早生(わせ)、中生(なかて)、お正月に食べられる青島、さらに春にかけては八朔、せとか、レモンなど様々な品種の収穫が続きます。その全てを個人で出荷しているというから驚き。 

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一つひとつのみかんを丁寧にチェックしながら、袋詰めしていきます。行き先は県内6カ所の道の駅の他、知り合いの菓子店など。また、オンラインで注文のあるお客さんにはダンボールに詰めて郵送します。 

「個人で出荷するようになってから、計画を立てやすくなりました」と大希さん。値段や出荷量を自分たちで決めるため、市場価格に左右されにくく売上も見通しやすいのだとか。 

生産者から、販売店や個人のお客さんに直接みかんを届けることで、譲れないこだわりも生きてきます。 

上妻みかん園のこだわり 

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「うちは、みかんを転がさないんです。収穫時や出荷時にゴロゴロ転がすと、せっかく丁寧に育てたみかんの味が変わってしまうので」と、あかねさん。シーズン始めの極早生や早生はフレッシュなまま、年末にかけて出荷する貯蔵品種の青島は、きちんとした環境で管理したのちに出荷するよう心がけているのだそう。 

栽培に関しては、山口県で定められている農薬の70%を削減し、除草剤を使わないなど、自然にも人にも優しい農業を実践しています。 

「農薬は使っている農家自身の体に一番影響が出ます。自分たちに負担のないように減らしたら、お客さんも喜んでくれました」 

今でこそみかんの専業農家として、独自のやり方を貫きながら活動している上妻みかん園ですが、ここにくるまでには数年の年月を要しました。 

上妻みかん園の成り立ち 

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山口県下松市出身の大希さんと、大阪府出身のあかねさん。どちらも非農家の生まれですが、小さな頃から農業に興味があったそう。 

「夫は小学校の卒業アルバムに『食料自給率』について書いていて、その頃から将来の夢は農業に関わることだったみたい。私は親にねだって買ってもらったナスの世話をするのが、友達と遊ぶよりも楽しいような子どもでした(笑)」 

それぞれ高校や大学で農業、酪農を学び、その後大希さんが働いていた香川県のみかん農家へ、あかねさんが収穫アルバイトとして訪れ、出会いました。 

「収入面など考えて、そろそろ独立したいと思っていたんです。それなら実家の近くである山口県周防大島でみかんを栽培できたら、と2014年に二人で移住しました」と大希さん。 

「当初はとにかく『みかんで食べていけるようにならなきゃ』と夜22時まで倉庫で作業をしたり、無理して頑張っていました。でも娘が生まれてから考えが変わりましたね。
農業と育児を両立するためには、時間の管理が重要。今では8:30〜17:00が仕事時間で日曜日は完全に休みます」と、あかねさんは話します。 

作るだけじゃない、農家としての役割 

さらに「やまぐち農林漁業ステキ女子」に参加することで、これまでの経営方針にも変化が。 

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「『やまぐち農林漁業ステキ女子』は、県内で農林漁業に携わる女性のグループなんです。皆さん自分の仕事に対して熱く頑張っている方ばかりでとても刺激を受けています。そこで初めて『農業って作るだけじゃないんだ』と知って視野が広がったんですよ」 

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2019年からは、お客さんに郵送するみかんのダンボールや袋のラベルを一新。島内在住のデザイナーに頼み、周防大島とみかんをモチーフにしたデザインを作ってもらいました。
また、みかんシーズン以外でのイベント時に出店できるよう、生のみかんに代わる商品として「みかんジュース」を作っています。 

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写真提供:上妻みかん園

「みかんを食べない方でもジュースを飲んでもらい、みかんの間口を広げたいですね。他にも、みかんの剪定木を使って友人のGUWASHI(GUWASHI GREEN WORKSの記事はこちら)がアクセサリーを作ってくれるので、一緒にイベントで販売しています。色々な角度から、みかんの可能性を広めていけたら嬉しいな」 

これから新規就農する人へ向けて 

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「興味がある人には農業を勧めたいですが、お金儲けしたい人には勧められないかな。もちろんライフスタイルとしてはいいですよ!時間に融通も効くし。僕達は人を雇わず二人でやっているので、その点では身近に感じてもらえるかもしれませんね。農業って大変そう、難しそう、ってイメージが強いと思いますが、僕たちのようなやり方、面積でも生きていけるよ、というのを見せていけたら」 

と大希さんは笑顔で話してくれました。 

家族経営だからこその時間管理の重要性、生産物を使った加工品、販売の仕方など、様々なヒントがいっぱい詰まった上妻みかん園の経営方法。新規就農者だけでなく、農家でない方にも参考にできそうなお話でした。
みかん愛が詰まった「上妻みかん」、あなたも一度味わってみてくださいね。 

 

 

執筆時期:2020年12月
※本記事の情報は執筆時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
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上妻みかん園 

住所|山口県大島郡周防大島町東安下庄 

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