「日本食の世界で長く修業を積んだ男性が、瀬戸内の島で野菜レストランをオープンさせた」 

そんな噂を聞いて、やってきたのは山口県周防大島町。本土から繋がる橋を渡って20分ほど車を走らせた海沿いに、そのお店「野菜レストランValo」はありました。 

家

野菜本来の美味しさを伝えたい 

さっそく看板メニューの「お野菜とジビエのお膳」を注文。 

運ばれてきたお膳には、ねぎの天ぷら、ごぼうの梅煮、えびと高菜のおから……などの野菜料理と、いのししのロースト肉などが並んでいます。いずれもあっさりとした味付けで、特に野菜はそれぞれの素材が持つ瑞々しさや甘み、辛みなどをはっきりと感じられました。 

食事

お野菜とジビエのお膳

野菜は周防大島産の有機・無農薬のものばかり。調味料も厳選。しょうゆをはじめとして、手間暇かけて作られた無添加製品だけを使用しています。ジュレ状にした赤かぶを載せた茶わん蒸しなど、目で楽しめる美しい一品も。 

茶碗蒸し

赤かぶの茶わん蒸し

原点は、子どものころの自給自足生活 

「野菜が持つ本来の美味しさと生命力を味わっていただきたいと思っています」と話すのは、店長の池本由言(よしとき)さん。そのこだわりの原点は、幼少期にあるといいます。 

東広島市出身の池本さんは、小学5年まで家族とともに同市の山間部で暮らしていました。「自然のなかでの自給自足生活。野菜やぶどう栽培し、にわとりも30羽くらいいました。ニンジンやホウレンソウはいまよりずっとアクが強くて、子どもには食べにくかった。でも、あれこそが本当の野菜の味だったんですと振り返ります。 

テレビ番組「料理の鉄人」を見て料理人に憧れるようになり、18歳で老舗日本料理店「なだ万」(大阪)で修業に入ります。その後広島、東京などのお店20年、経験を積みました。 

コロナ禍で移住を決意 

2015年に岡山市で独立。お店は常連客もついて順調でしたが、2020年春以降、新型コロナウイルスの影響で状況が一変。先が見通せなくなりました。 

「このまま留まるのも、別の場所に移るのもギャンブル。だったらチャレンジしてみよう」。そう決意し、原風景である自給自足的な暮らしの実現に向けて動き始めました。 

人

池本由言さん

先輩移住者の姿に触れ、「この島に」 

移住するなら海も山もある島がいい」と決めていたと言います。これまでにも岡山、広島などにある架橋された島を巡ってきましたが、山口県の島は未踏だったとか。「まずは周防大島から」訪れた際、偶然泊まった民宿のオーナーから先輩移住者を次々と紹介されます。 

「その方たちに会ってみると皆さんとても生き生きされていて言葉や生き方すごく響くものを感じたんですよし、この島にしようと 

同年7月に移住し、築120年の古民家で暮らし始めました。しだいに人の繋がり、元カフェだった今の店舗を借りられることに。11月、「野菜レストランValo」をオープンさせました。 

椅子

師匠は、90歳代のおばあちゃん 

野菜は地元農家から仕入れるほか、池本さんが自家栽培したものも使っています。野菜作りは未経験でしたが、動画投稿サイトや近所のお年寄りから学びながら、30品目ほどを育てているそうです 

「近所の90歳代のおばあちゃんが長年の経験から伝えてくれることが動画で説明されている理論とぴたりと一致するんです。とても勉強になっています」 

知恵と経験を受け継いでいきたい 

そんな島のお年寄りの知恵と経験を、池本さんは「大切にしていきたい」と話します。 

「野菜づくりの先生のおばあちゃんもそうだけど、この島のお年寄りから学ぶことはたくさんあります。人と人との触れ合いというか、お金以外のものが生み出す素晴らしさを感じる毎日。そうした形のないものを、次世代に伝えていく役割を担っていけたらと願っていま 

調理

そのための一つの取り組みとして、今年1月から毎週金曜日の夜「おばんざい(惣菜)日)」として、地元の方たち向けに一品料理お酒を提供する取り組みを始めました。 

池本さんは島の野菜の素晴らしさを伝えていくことはもちろん、地元の方と移住者という垣根を越え交流深めきたいですね」と話しています。 

 

 

執筆時期:2021年1月
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住所|山口県周防大島町西安下庄3940-3 

営業|土〜火曜日 午前11:00~15:00/金曜日(おばんざい日)17:30~21:30 

定休|水曜日、木曜日

TEL|080-7000-2999