社会全体で子どもと子育てを応援する気運を高めようと、山口県が設立した「やまぐち子ども・子育て応援コンソーシアム」。すでに県内10企業、子育て支援団体5団体が参画し、互いに連携しながら新しい取り組みを走らせています。

企業のコーディネートを務める株式会社YMFG ZONEプラニング(下関市)林田あゆみさん、子育て支援団体側のコーディネート役のNPO法人あっと(山口市)藤井智佳子さん、参画企業としてクラウドファンディングを展開しているあさひ製菓株式会社(柳井市)宮川葉子さんの3人に、子育ての課題や今後の展望などについて語っていただきました。

地域全体で子育てしやすい環境を

―まず、コンソーシアムの目的について教えてください。「子どもと子育てに優しい社会をつくる」ということですが、いまの子育て環境には具体的にどのような課題があるのでしょうか?

藤井
私は子育て支援のNPO法人で働いていますが、やはり子育てと仕事の両立の難しさを感じます。子どもが生まれた場合、女性は仕事を続けるか、一旦専業主婦になるかの選択を迫られます。仕事を続ければ時間に追われて疲弊し、専業主婦になれば家事や育児の負担感を感じやすくなります。そうではなく、どちらを選んだとしても幸せになれる社会をつくっていく必要があります。

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藤井智佳子さん(NPO法人あっと代表理事)

林田
そうした課題の解決に向けて、子育て支援団体だけでなく、企業も一緒に取り組んでいきましょうというのがコンソーシアムの目指すところです。

少子高齢化が進む中で、将来の担い手である子どもへの投資・子育て環境の整備がますます大切になっています。支援団体と企業がWin-Winの関係を築いて、地域全体でよりよい子育て環境をつくっていけたらと考えています。

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林田あゆみさん(株式会社YMFG ZONEプラニング地方創生戦略事業本部アシスタントマネージャー)

企業、団体ともにメリットを感じられる仕組み

―Win-Winの関係について。企業側にはどういうメリットがあるのでしょうか?

林田
例えば、子ども向けの商品を作る際に、支援団体を通じて意見を募ったり、親子を対象にしたイベントを開くときに内容を一緒に考えたり。企業側が子育て世帯に伝えたい情報を、よりダイレクトに届けられるようになります。

藤井
そうですね。イベントを打っても人が集まらないと悩まれている企業はたくさんあります。そこに支援団体や、その団体を通して子育て中のお母さんたちの意見が反映されるなら、よりニーズに沿った内容にできますよね。

宮川
コンソーシアムの取り組みのひとつとして、3月8日には宇部市の店舗で、子育て支援団体「なないろキッズ」(同市)さんと共同で、当社のアレルギー対応スイーツを使った親子向けの試食会を開きます。なないろキッズさんに告知いただき、すでに定員の3倍近い応募をいただいています。

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宮川葉子さん(あさひ製菓株式会社山口オフィス所長)

藤井
ママ同士でたわいもない話をする時間は女性にとってとても貴重です。そういう企画を団体だけで実施しようと思ったら、場所を借りて、スイーツ代も、託児代も必要となります。

支援団体は助成金をいただいたり、市や県から委託を受けたりして活動している場合もありますが、それだけじゃできないこと、続けられないことがたくさんありますから

林田
あさひ製菓さんとなないろキッズさんのような取り組みもこれから企業と団体間でどんどん生まれていくようにしていきたいと考えています。

宮川
子育て支援団体との打ち合わせのなかで、地域子育て支援拠点の運営、子育て家庭への食事提供やおもちゃの貸し出し、発達障害についての啓発活動など、支援にも様々なかたちがあることを知りました。

このたび、あさひ製菓ではコンソーシアムの取り組みのひとつとして、クラウドファンディング「子どもと子育てに優しい社会づくり応援プロジェクト」に当社のお菓子を提供しています。

このプロジェクトを通じて、各子育て支援団体の活動をより多くの人に知っていただき、さらに、支援金を支援団体の活動に役立てていただくことで、子どもや子育てに優しい地域作りのきっかけができることを期待しています。

ハードだけでなく、ソフトの充実を

―みなさんが考える「子どもと子育てに優しい社会」について、もう少し聞かせて下さい。

藤井
例えば、小さな子どもを抱えていたら気軽にお店にも入れません。騒いだり、走り回ったりして周囲に迷惑をかけるのが怖いのです。でも、そういう子どもがいても大丈夫なお店が増えるなら、親にとっても、子どもにとっても楽になりますよね。

宮川
確かに、子どもを連れて行っても大丈夫なところかどうか、事前に結構、調べますもんね。

林田
キッズルームがあるか、親子で利用できるトイレはあるかって、検索される方は多いですね。

藤井
スーパーなどで走り回る子がいても、店員さんが「そういう子もいるよね」と寛容に受け止めてくれるだけで、親としては安心できるのです。理解者が増えるなら、随分と違ってくるはずです。

林田
そうなれば、「あそこのお店は理解があって、行きやすい」と評判になって、自然と人が集まるようにもなるでしょう。女性の口コミの力はすごいですから。

談義

―ハード面だけでなく、ソフト面の充実も大切ということですね。

藤井
そうですね。ソフトの充実は大切です。これは子育て支援の制度を持つ企業についても言えます。

林田
制度止まりになっているケースが多いですよね。

藤井
そうなんですよ。企業の担当者と話すと「うちは制度があるから大丈夫」と言われることがあります。その考え方こそが問題なんです。

話す

例えば、子育てが始まると女性の多くは精神的な余裕を失います。そのため、夫婦関係も変わっていく。そういうメンタル部分についてのケアや、レクチャーをしている企業はほとんどありません。

制度がいくら充実していても、気持ちがついていかない。結局、仕事を辞めざるを得ないところまで追い詰められてしまうのです。こうしたケースが増えていけば、何も改善しないまま制度だけが残ってしまいます。

宮川
私はいま時短勤務で、都合に合わせて勤務時間を調整できるので大変助かっています。

林田
それは素晴しいですね。

宮川
それでも子育て中は時間に追われて、家でも仕事でもドタバタしてしまうことが多いです。他のママたちはどんな風に1日を過ごしているのか、興味があります。

笑顔

藤井
実際、同じ社内でもほかのママたちがどう子育てしているのかといった情報共有はほとんどされていません。そこから変えていく必要もあるかも。

林田
そうですね。子育て支援団体と地域の企業を交えて、育休中の親御さんの座談会を開いてみるのもいいかも。そうすることで、参加した皆さんがそれぞれ子育てや、仕事との両立に関する知恵を共有したり、ネットワークを築いたりする知恵や力をつけていくことにも繋がっていくでしょうから。

人

どんどん真似して、みんなで盛り上げていきたい

―この取り組みを通じて、最終的にどんな社会にしていきたいというビジョンはありますか?

宮川
当社のお店は県内に50店舗ありますが、そのすべてで子どもに優しい対応ができるようなスタッフ教育・店舗作りができたら素敵だなと思っています。加えて、地域の子どもたちの見守り拠点のような存在にもなれたら。

藤井
女性は、子ども一人を育てるだけでも仕事との両立は難しい。まして二人、三人となるとさらに困難です。だから少子化が止まらないのです。「子育てに優しい社会」を基盤として、子どもがたくさんいたとしても、女性が活躍できる世の中になっていくことを願っています。

林田
そうですね。そのためにはコンソーシアムの仕組みやアイデアをいろんな企業、団体さんが真似して、子育て環境を充実させていく気運を盛り上げていきたい。これからもWin-Winの関係をどんどん繋げていきたいと思います。

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「やまぐち子ども・子育て応援コンソーシアム」構成団体

◇参画企業 10社
あさひ製菓株式会社、金近産業株式会社、株式会社カワトT.P.C.、協和建設工業株式会社、生活協同組合コープやまぐち、株式会社ダスキン山口、萩山口信用金庫、フジミツ株式会社、株式会社丸久、株式会社山口フィナンシャルグループ

◇参画子育て支援団体 5団体
NPO法人下関子ども・子育ちネット、特例認定NPO法人とりで、なないろキッズ、一般社団法人Hapimama PLUS、ブルーライトやまぐち

 

◎やまぐち子ども・子育て応援コンソーシアムHPはこちら

◎子どもにとってより良い地域へ! 子どもと子育てに優しい社会づくり応援プロジェクトHPはこちら

 

 

 

執筆時期:2021年2月
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