山口県萩市に移住した理由 

「まあ、ようきちゃったねー。なんでまた鎌倉から萩へ?」 

神奈川県鎌倉市から山口県萩市へ移住して4年。今でも、地域の方からこう問されることが多いです。
質問される方のお子さんや孫は萩を出ていて「帰って来いとは、よう言わん」などとおっしゃる方も。 

トンネル

移住直後の2017年1月

都市部と比較したら、給与水準が低いとか、お店、教育、医療など選択肢が少ないといった側面は確かにあります。それでも…… 

「田舎暮らしがしたいから」 

こう答えるしかありません。
それは、本能的なもので、土を求めていたとでもいう感じでしょうか。子どもが生まれてからは特に、田舎にいると落ち着き、しっくりくるようになりました。大声を出しても、走り回ってもいい空間がたくさんあり、子ども本来の自然な動きに制約をかけなくてもいいという開放感。心底のびのびできて、体が喜んでいるのがわかります。 

子供

てんとう虫! 伯母の家の前に広がるれんげ畑で

育休中に何度か滞在させてもらった萩市の伯母の家で、そんな気分を味わいました。そこは母の実家でもあり、子どもの頃、夏休みなどに何度か来たことのある場所でもありました。 

人

伯母の家の家庭菜園で収穫と水やり

そんなとき、母の同級生の古い家が空き家になるというので、住まないかという話をいただきました。見せてもらったら、ジブリの世界かと思うような蔵や家に一目惚れして即決。直感と情熱に従って、その先は、やってみなければわからないという無鉄砲ともいえる決断でした。 

木

「トトロが出てきそう」と感じた母屋の裏の蔵

タイミングを同じくして、萩市が地域おこし協力隊を募集しているという情報を得て勢いで応募。夫は自営業で仕事場は自宅中心だったので、家族の同意もスムーズに得られ、移住することになったのでした。 

変わった「自然」に対する感覚 

2019年の年末年始、新型コロナウィルスの猛威がまだ、外国のニュースだった頃のこと3年ぶりに以前住んでいた鎌倉市の(現在は両親が住んでいる)に滞在しました。鎌倉市は東京から近い観光地でもあり、海も山もある自然豊かな場所大きなゲジゲジやムカデやリスにタヌキだって出ます。当時ウロウロしていた白猫は相変わらずウロウロしていて、なつかしさをかみしめながら、庭をみて最初に感じたこと。  

 庭の草刈り、余裕だな 

小さかった子どもの目線で捉えていたせいなのか、それ以前に住んでいた東京都内の狭い部屋との比較のせいか……広いと思っていた庭は、猫の額ほどに狭く感じました土の面積が小さく感じられ、草刈りを外注していたのが信じられません 

萩の山々に囲まれた景色柑橘畑や田畑に、広い空。ときどき現れるキジやシラサギ今ではすっかり、圧倒的な自然が暮らしベースなっていました 

子供

虹が出た! 家の前で

 一昨年の夏久しぶりにキャンプに行ったのですが、その時にも不思議な感覚になりました。キャンプ場のオートサイトで、テントをり、バーベキューの準備をしながら、思ったこと 

 人口密度、高 

自宅の方が野性味溢れる感じがするし、なんて、手入れの行き届いた空間なのでしょう。周りを見渡すとピカピカきれいな車、泥や砂にまみれていないアウトドアグッズ雑誌や広告を見ている気分になりました 

東京に住んでいたころは、自然を求めて月に1回は近隣の山へハイキングに行っていました。それが、まさかキャンプ場で「自然」よりも人工を感じることになるとは 

電車

これから夏祭り。自宅最寄の無人駅にて

田舎暮らしはクリエイティブ 

都会では日常的な問題を消費して解決することがほとんど。実際、かゆいところに手が届くサービスや商品があふれています。いかにサービスや商品の知識をリサーチしてお得に利用するかが勝負。お金のやりとりで全てを解決する感覚がありました 

けれど、田舎ではサービスも商品も選択肢が少ないです。少ないなかで、どう工夫していくか考えていかねばなりません。それは田舎暮らしの日常だし、不便ともいうけれど工夫が生まれるチャンス固定観念をとっぱらって、あるものを活用できるか考えるのはクリエイティブだと思います。 

周囲のクリエイティブな風景に触発されてDIYした作品がこちら 

布団

自作した布団干しです。使っていない障子の木枠2枚をホームセンターの蝶番をつけて、保護成分のある塗料で塗っただけのもの。大きな衣類やシーツ、布団を干すのに重宝しています。 

格子

木枠2枚を蝶番でつないだだけ

この数年で確実にDIY力は上がったと思います。 

身の回りにあり余る自然や農産物の素材を使って草木染めにもチャレンジ。
椿の花びら、夏みかんの皮、タマネギの皮、スギナなどの雑草興味のおもむくままにイベント的に草木染めをする会を開いたり、お祭りでワークショップブースに出店したりもしました
住んでいる地域タマネギの産地ということもあり、農家の倉庫を訪ねると、タマネギの皮山もりにすべて捨てるというので、たくさんいただいて、タマネギの皮の草木染めは幾度もやりました。小学校の授業で子どもたちと染める体験をしたり、修学旅行に来た高校生と一緒に染める体験を開いたりもしました。 

ズボン

タマネギの皮で染めたパンツ

集合

染めたい物を持ち寄って、タマネギの皮で草木染め

そして、周辺の柑橘畑で防風林として使われているイヌマキ。剪定したら、イヌマキの枝葉がかわいくて、もったいなくて、見よう見まねでスワッグをつくってみました。こちらもお祭りで「スワッグづくり体験」を出店。思いのほか評判がよく、2020年の萩市の成人式でフォトブースの飾りに採用してもらえたことは、いい思い出です。 

みかん

萩夏みかん祭りにて。ワークショップ参加者がつくったイヌマキのスワッグ

どシロウトの自分が、んな風に何かつくるワークショップを開催するなんて、考えてもいなかったことでした。これも、クリエイティビティを刺激しまくってくれる田舎暮らしのおかげだと思います。  

そして、2020年、冒頭の蔵を改装し、手仕事などの体験や民泊の場「つぎはぎ農園」をオープンしました。新型コロナウィルスのパンデミックという世界がピンチの状況で、決してこれまで通りにはいかないし、この先だって、大変なことが起こるかもしれないけれど、自然の恵を活かしながら、しなやかに生きていきたいです。 

 

 

執筆時期:2021年2月
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