山口県萩市の北部、浜崎かつて北前船の寄港地として栄えたこの町には江戸時代から昭和初期に建てられた木造建築(町家建築)がいまも130棟以上残り、国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)にも指定されています。 

この歴史情緒あふれる一帯で、近年課題となっているのが空き家の増加と、その活用法です昨年は課題の解決を目指す官民一体のプロジェクト「萩市浜崎伝建地区まちづくり事業」スタートしましたすでに古くなった店舗跡をリノベーションして再生する計画が動き出しています。 

鎌倉から移りすみ、浜崎不動産関連のオフィスを構える平井健一さん空き家の再生・活用法などを積極的に探っている一人。「ここは、魅力ある資産にあふれています」と話す平井さんに、浜崎地区への思いや、プロジェクトへ寄せる期待などを聞きました。 

車

平井健一さん

鎌倉にそっくりなまち。歴史的資産は圧倒的 

「萩と鎌倉。2つのまち姉妹都市でもありますが、実際にとても似ているんです雨上がりの浜崎を歩きながら、平井さんはそう話します 

「どちらも三方を山に囲まれて、海に面してい。そして、交通の便が悪いからこそ、昔ながらの町並みなど独特の魅力が残っています 

さらに、そうした歴史的な資産は、鎌倉よりも萩のほうが圧倒的に多いとも。「ほら、こんなふうに町家建築がいまでもずらっと立ち並んでいるところは珍しいですよ 

道

この町並みを大切にしながら、将来へ受け継いでいきたい-。そんな思いから、2020年1月の移住すぐに始めたのが、空き家の除草老朽箇所の点検などを行維持管理サービス業。だからこそ、官民一体のまちづくりプロジェクトにも「自分ごと」として関わっています。 

サードプレイスのような空間があったなら 

このプロジェクトの第一弾として走っているの、かつて花屋さんだった建物のリノベーション。萩市が所有者から寄付を受け地方創生コンサルティング「株式会社YMFG ZONEプラニング」が地元の方たちとともに再生・活用法の検討を続けています。昨年12、今年1にはワークショップも開かれました。 

会議

ワークショップでアイデアを出し合う参加者

 そこで課題のひとつとして上がったのが「お店がない」ということ。ワークショップに参加した平井さんも、「カフェのような場所として再生できたら有難い」と話しています。  

「家でも、仕事場でもない居場所。いわゆるサードプレイスですね。萩には、そういうところがほとんどないので。そこで一人、ほっと一息ついてもいいし、居合わせた人とまったく新しい出会いを育んでもいい。そんな空間があったら嬉しいですね」 

併せて、様々な情報が集まり、発信でき仕組づくりも必要と考えています。 

「移り住みたい、または空き家を活用したいといったニーズのある人たちがやってきて、情報共有できるなら、この地域の将来にいい流れを生み出せるのでは」と期待しています。 

人の交流で、魅力のアップを  

「いい流れ」とは、空き家の再生・活用が進んで活気が生まれ景観維持されていくこと。ただ、「それは簡単ではない」と平井さんは体験を踏まえて語ります。 

「鎌倉人気の高い葉山や逗子周辺かつてはそうでしたが、空き家を売ろう、貸し出そうという方がとても少なかったのが現実ですね。そもそもかつてこの地域に移り住んでいた方々は余裕ある人が多いという側面もあるのですが ご先祖から受け継いだものだから、またはいつか帰郷して使うかもしれないからと。特に地方で言えることは貸し出す為に投資した改修費用を家賃で回収できないという現実があります。これは、全国どこも同じです」 

だからこそ「もっと僕が頑張って、工夫しながら発信していかないと」と力を込めます。 

その工夫のひとつが、人の交流を含めた萩市全体の魅力発信です。萩焼作家さんや、鎌倉で飲食店をしている友だちに平井さんがインタビュー。その記事を自社のホームページ(HP)で紹介しています 

萩の人は鎌倉に、鎌倉の人は萩に興味を持ってもらえる。『鎌倉と交流のあるまち』として、萩全体の魅力に付加価値が生まれることを願っています」 

サイト

萩と鎌倉の人などを紹介する「ケンボー不動産」のHP

手間暇かけることが、最短ルート 

空き家の管理サービスを初めて1年と少し。まだ業務内容の周知が十分になされていないこともあり、需要の地道な掘り起こしが続いています。思い描いたような活動には至っていないものの、焦りはないと言います。それは、「大切なのは信頼関係」との信念があるからです。 

「あらゆることに言えますが、自分の思いを一方的に伝えても誰も聞く耳を持ちません。手間暇かけて信頼関係を築きながら、お役に立てることがあれば利用していただく。一見面倒に見えても、実はそれが最短ルートですから」 

人

そんななか、平井さんが期待する「流れ」のきっかけとなるような、ひとつの取り組みが動き始めています。ずっとこの地区でかつて船具店を営んできある夫婦が、所有する建物の一部を改修して喫茶店を開くため準備されているのです。 

僕のような移住者が新しいことをするのはよくある話ですが、地元の方が自らリスクをとって自身の夢のため、のために新たなチャレンジをするのは、本当に希有なこと。その姿をみて、本当に敬意を表したいですし、新しい流れも生まれてくるんじゃないかと思っています」 

お気に入りの眺めを、未来へ 

取材の終わりに、「僕の一番のお気に入りスポットは、ここなんです」と案内してくれたのは、萩インキュベーションセンターの2自身のオフィスから、越しに見下ろす町並みでした。

道

沿いになまこ壁の建物などが並んでいて、その先に海があり、さら向こう側に山が見えます。萩というまちを凝縮しているような眺めだなと。こうした景観を、なんとかして未来に繋いでいきたい。ただ純粋に、そう思うんですよね 

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平井健一さん
東京生まれ。大学卒業後、印刷会社や複数のベンチャー企業を経て、鎌倉市で不動産業に従事。2020年に萩市に移住し、浜崎地区で空き家・空き地の管理サービスと不動産事業を始める。趣味は庭いじりとサーフィン 

 

 

執筆時期:2021年3月
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住所|山口県萩市浜崎町209番 萩インキュベーションセンター 

TEL|090-4221-6727 

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