れんこん、くり、天然鮎、地酒、押し寿司……山口県岩国市の主な特産品1冊にまとめたIwakuni Brand Book(岩国ブランドブック)が完成しました。作成したのは、東京からUターンして、ことし3月まで同市の地域おこし協力隊として活動した小野綾香さん。 

地元にはたくさんの魅力的な品々と、想いを込めて生産されている方たちがいます。この冊子で、その素晴らしさを伝えられたら」と話す小野さんに、作成を終えての気づきや協力隊としての約3年間の活動地元に感じる課題などについて聞きました。 

人

小野綾香さん

「“いわくにmade”のいいものを、あなたの“ちかくに”届けたい。」
そんな言葉から始まるIwakuni Brand Bookは、A5判、22ページ。岩国れんこん、わさび、こんにゃく、岸根(がんね)ぐり、由宇とまとといった農産品と、天然鮎、高森牛、岩国寿司、地酒の計9品目を掲載しています 

面白いのは、その紹介の仕方です。たとえば「岩国れんこん」。栽培が始まった歴史的経緯、季節ごとの生育の様子、お勧めの食べ方、加工品……など、様々な角度から岩国れんこんの世界を掘り下げています

冊子

「いずれ特産品も、生産者さんのもとを何度も訪れてじっくりお話を聞きました」と小野さんは振り返ります。  

すごく時間を掛けて栽培されていることにびっくりしました。わさびの促成栽培なんて、ハウスで育てた山上げ(のなかに植え替える)して、一夏越したらまたハウスに戻して育てているんです。そんなこと、取材に行くまでまったく知りませんでした。どの特産品も、自然との対話を重ねながら作られている姿に感動しました」 

山

わさびの取材で農作業体験をする小野さん(中央)

カメラ

こんにゃくの撮影をする小野さん

表紙は、大地と向き合いながら特産品を生み出す生産者の手間と時間、そして手作りの丁寧さを一枚の写真で表現しています。 

本

Iwakuni Brand Book、岩国市内の観光施設などに配布予定。小野さんは「農産物直売所などにも置いてもらえたら嬉しいですね。その場で実際の作物も手に入るので」と話しています。 

取材を通して、故郷を再発見 

特産品の取材を通じて、山間部から沿岸部まで岩国市内を隈無く走り回った小野さんですが、協力隊になる前は「生まれ育った場所なのに、ほんの一部しか知らなかった」と言います。 

取材も、最初からスムーズに進んだわけではありません。「それまで地域ブランドを意識したことなかったので、何から手を付けていいのか分からなくて……」。産地を訪ね歩き、出会った人に教えてもらいながら少しずつ故郷を再発見していったそうです 

冊子に先駆けて、昨年末には同じ9品門をイラストで表現した「岩国ブランドカード」も発表しました。 

カード

地元への恩返しに 

そもそも、どうして協力隊になろうと思ったのでしょうか? 

小野さんは岩国市内の高校を出て東京の大学へ進学。卒業後は舞台関係の会社に就職しました。仕事も生活も充実し毎日。「いつか地元に戻りたい」という思いはあったものの、タイミングがつかめないまま時間が過ぎていきました。 

ところが転機は突然訪れます。
「向こう5年間のスケジュールを手渡されたんです。見ると、ほとんど休みなくぎっしり仕事で埋まっていて。もうすぐ30歳だし、これはちょっと生き方を考えないといけないな、と」。その瞬間、1年後に退職してUターンすることを決めました。 

「帰ったあとも、なにか面白いことがしたい」と考えていたとき、岩国市が地域おこし協力隊を募集していることを知ります。「地元への恩返しに繋がるかもしれない」。そんな想いから、協力隊へ応募したといいます 

実は、「何でもあるまち」 

東京にいたころ地元のことを聞かれると『何にもないけど、いいところなんです』みたいな答え方をしていましたでも、約3年の活動を終えて認識が一変したといいます。 

いまは、『何にもないけど、何でもあるって感じますね特産品の素敵な生産者さんを始め、海も山も川もあって本当に自然が豊か。それに面白い人もたくさんます。高速道路、新幹線、空港と揃っていて、交通の便だってすごくいい」 

一方で、課題も感じています。
「いろんな人が集い、自由に交流して楽しめるような空間が少ないですね。場所があっても、似たような箱物ばかり建っている印象があります。『あそこに行けば、なんか面白いものに出会えるよね』というふうな文化的なスペースが増えるなら、若い人たちの動きも変わってくるんじゃないか感じています」 

これからも「地域コーディネーター」として 

協力隊での経験を生かし4月からは地域コーディネーターとして独立。ことし中に、生産者へのインタビュー記事やオンラインショップ機能などを備えた特産品のポータルサイト「ひとつぼ」を立ち上げる計画です。 

「読まれた方が『ああ、こんな魅力的な人がこれほどの想いを込めて作っているんだ。ちょっと食べてみよう』って思ってもらえるようなサイトにしたいですねこれからも生産者さんに伴走するみたいに地元の産品の素晴らしさをアピールするお手伝いをしていけたら嬉しいです 

 

 

執筆時期:2021年3月
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岩国市商工振興課岩国ブランド推進斑 

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