山口県長門市、俵山。標高150メートルの山あいにある小さな集落です。 

集落

古くから「俵山温泉」の名前で全国的に知られる湯治場でもあります。かつては旅館がひしめき、賑わっていました。しかし、最盛期には40軒以上を数えた宿も、現在は半分以下。人口も1000人を切っています。 

路地

でも、寂しい話題ばかりではありません。
最近は地方移住を考える若者が立ち寄ったり、サイクリストがやってきたり。昨年は 新しい飲食店 もオープンしました。さらに、ゲストハウスでは都会からやってきた女性が活躍しています。 

建物

ゲストハウスに、バンダナ姿の若女将 

名古屋市出身の岩田さん。昨年11月に地域おこし協力隊として着任し、地元企業が運営するゲストハウス「ねる山」の若女将となりました。でも、頭にバンダナを巻いた岩田さんは、若女将というより、ファンキーな旅人という印象です 

実際、いわゆる旅館の女将って感じの仕事をしてるわけじゃないんです」と岩田さんも明るい声で答えてくれました基本的には、交流ですね。2030代の若い旅行者と話したり、食事したり。ゲストハウスを拠点にした交流促進が任務のひとつなので 

人

「ぼくらのひみつ基地」でワーケーション 

協力隊として活動するうえで、岩田さんは自身の想いを一つの言葉に集約しています。それが、「TAWARAYAMAプロジェクト ぼくらのひみつ基地」 

ここは、都会の若い人たちにはほとんど知られていません。でも豊かな自然や食、人々の温かさに触れ、私すぐに大好きになりました。まるでまち全体が、旅の途中で見つけた秘密にしていたい素敵な場所』みたい。同じように感じる人たちが口コミで集まってくるような流れが生まれたらいいなと考えています」 

2月末にはワーケーションのモニターツアー企画。県内をはじめ、東京、名古屋、福岡から、カメラマンやライターなどフリーランスとして働く15人が参加し、ワーケーションのとして可能性をさぐりました。同時に、参加した映像クリエイターツアーの様子を撮影。クリエイティブな仕事環境としての魅力を動画投稿サイトで発信しています。 

俵山で撮影した映像クリエイターの作品 

 

また、旅館に隣接するサロンでは写真展も開催。桜の時期の風景写真を壁一面に飾りました。「観光客や温泉客だけでなく、地域の人にもここの素晴らしい風景を再認識してもらえたらと思って。おかげで好評でした」 

写真

写真展の様子

海外協力隊の夢。地域おこし協力隊で形に 

俵山に来るまで、名古屋市にあるJICA(国際協力機構)中部の職員として働いていた岩田さん青年海外協力隊なって、いつか南米で活動すること目標にしていました。ところが新型コロナウイルスの世界的流行により、派遣されていた2000人以上の隊員が一時帰国。新規隊員については、募集がいつから始まるのかさえ見通せない状況となりました。

国外が難しいなら、国内で次のステップを踏むしかないなとそのとき、真っ先に頭に浮かんだのがゲストハウスというキーワードだったそうです。「以前、海外を一人旅していたによく利用していたんです。面白い人たちに出会えるし、そこでたくさんの友だちもできたので 

インターネットで検索するとヒットしたのが「ゲストハウス 若女将」という地域おこし協力隊の募集記事でしたそれまで俵山どころか、山口県さえ未踏の地。でも、最初に来たときに自然豊かさに感動して『ここだ』と感じました 

ベッド

ねる山の一室。6室あり、料金は1泊3000~8000円(部屋の種類による)

暮らし始めて半年。1月に大雪が積もったには、3日間にわたって水道管が凍結したことも。それでも、「ここでの毎日は最高」と言い切ります。「毎朝、鹿の鳴き声で目が覚めるんですよ。まるでジブリの映画の世界みたい 

与えてもらう楽しさよりも、創っていく面白さ 

この土地に流れるゆったりとした時間のなかで暮らすうちに、着任したころ認識変わってきたところ 

都会と同じ意識で動いても、うまくいかない。当初は地域のために何かしようという気持ちで活動していたけど、ちょっと肩に力が入っていのかも。ここでずっと暮らしてきた皆さんは、それほど何かに困っているわけじゃない気がしています」 

そうした感覚の違いに戸惑ったり、都会が懐かしくなったりすることはないのでしょうか?最後にそう問いかけると、「ぜんぜん!」ときっぱり。 

都会的な、『与えてもらう楽しさ』はもういいかな。それよりも、地域の人たちと一緒に日々何かをり上げていくほうがずっと面白い。そんな私のリアルな姿から俵山に興味を持つ人が増え、移住するきっかけにつながっていくなら、それが一番の地域貢献なのかもしれないですね 

人

 

 

執筆時期:2021年4月
※本記事の情報は執筆時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

 

 

俵山温泉ゲストハウスねる山」 

住所|山口県長門市俵山5149 

TEL|0837-29-5000(株式会社SD-WORLD内) 

HPはこちら

インスタグラムはこちら