どこか金魚のような形をしたネックレス。 

ネックレス

MAKANA DESIGN提供

「この島をかたどっています。ここを離れて暮らすお子さんへのプレゼントとして贈られる方もいらっしゃいますね」。そう話すのは、山口県周防大島町のデザイナー、福田友美さん。 

ひと

福田友美さん 

いつもハワイを身近に感じられる島。毎日がワーケーションです。ここの素晴らしさを伝えられる作品を生み出していきたいですね」。“ALOHA”と書かれた自作のTシャツALOHAシェルTシャツ)姿で明るく話す福田さんに、作品に込めた想いや、仕事の場所として瀬戸内海の島を選んだ理由などについて聞きました。

「瀬戸内のハワイからの贈りもの」をコンセプトに 

アクセサリーにTシャツ、マグカップ……。取材会場として訪れた島内の滞在型スポーツ施設「グリーンステイながうら」の一画には、福田さんが手がけた商品が並んでいました。 

商品

こちらは、カラフルなアロハシャツの形をしたキーホルダー。
「ハワイとの縁の深いこの島の手軽なお土産として人気です」 

キーホルダー

どの商品にも共通しているのは、いわゆる「お土産」然としたところがないこと。 

例えば、この日着ていたTシャツ。島を訪れるフラダンサーに人気があるだけでなく、福田さん自身が所属する地元フラチームの練習着としても愛用されています。 

フラダンス

福田さんがデザインしたTシャツを着て練習する地元のフラチーム(福田さん提供)

「観光地に行くと『京都』とかって胸に大きく書かれたTシャツがありますよね。お土産らしく記念にはなるけど、日ごろはちょっと着づらいかなって思うんです。お土産や記念日などの贈りものとしても喜ばれ、生活のなかでさりげなく身につけられるもの。そこを大切して制作しています」 

島内の桜の木を使ったこのピアスは、地元の木工工房 GUWASHI GREEN WORKS とのコラボ作品。フラガールやモンステラの葉の模様などが刻印されています。 

ピアス

MAKANA DESIGN提供

いずれも周防大島とハワイへの愛情を感じさせるものばかり。そこには、福田さんのこれまでの歩みが深く関係していました。 

震災が転機。デザイナーとしてハワイへ 

福田さんは光市出身。高校卒業後に上京し、専門学校で学んだ後、大手広告代理店の制作会社でデザイナーとして働き始めました。 

「修行時代」と振り返るほど多忙な日々だったと言います。「始発電車で帰宅したり、一週間泊まり込んだりもざらでした」。そんな生活を10年ほど続けたころ、東日本大震災が発生。混乱のなか、会社が受注していた仕事のほとんどがキャンセルに。 

「震災の前からメニエール病などに悩まされていたので、ここでリセットしようと思って」。会社を辞め、福田さんが選んだのはハワイ州マウイ島でのヨガリトリート。3週間ほどゆっくり過ごすうちに、身体の不調も回復。同時に、すっかりハワイの環境に惚れ込んだそうです。 

東京に戻り、着物関連の会社でデザイナーとして勤務しながら「いつかハワイで仕事をしてみたい」との思いを募らせていきます。そして2014年、ハワイへ移住。アロハシャツやフラダンス用品などを扱う通販会社に在籍し、デザイナーとしてだけでなく、売れ筋などを分析するマーケティングについても経験を積んでいきました。 

「染色作家さんのもとで研修するなど、ハワイならではの文化に触れる機会も多く、貴重な経験をたくさんさせていただき感謝しています」 

着色

ハワイの染色作家から学ぶ福田さん(福田さん提供)

帰国後に選んだのはハワイを身近に感じられる島」 

ビザの関係で2年後に帰国。山口に戻って「これまでのキャリアを活かせる仕事を」と考えたときにまず浮かんだのが、周防大島町でした。 

明治期を中心に多くの島民がハワイへ渡ったことから、「瀬戸内のハワイ」とも呼ばれるこの島。フラダンスも盛んで、夏期にはアロハシャツが正装となる「アロハビズ」が長年続いているなど、生活のなかにハワイ文化が溶け込んでいます。 

帰国したばかりのころ、ハワイがすごく恋しかったんです。でもこの島に来てみるとハワイアンが普通に流れていて、美しい自然に囲まれている。ここだったら、ハワイとの繋がりのある仕事ができるんじゃないかなと感じたんです」 

道路

福田さんが撮影した、ハワイを感じる周防大島の風景

町役場に相談に行くと、ちょうど地域おこし協力隊の募集を行う直前でした。
20165月、協力隊員として着任。地元ケーブルテレビの行政チャンネル制作スタッフとして働きながら、移民の歴史やハワイとの繋がりをPRする任務を与えられました。 

まず企画したのが、「アロハビズ」のポスター制作。アロハシャツ姿の住民を一人ずつ撮影し、その写真の中心に白抜きのアロハシャツを浮かび上がらせるというアイデア。アロハビズが始まる6月下旬までの数週間で、まったく知り合いのいない状態から計126人の撮影を終えてポスターを完成させました。 

ポスター

アロハビズのポスター。2016、2017年の2年間制作した

「ここの皆さんが温かくて。人づてに次々と紹介していただいたおかげです」 

撮影した人や、島内の景色などを1本の映像作品に編集。人と自然の豊かさなどが詰まった町のプロモーションビデオとして、現在も地元の道の駅で放映されています。 

福田さんが制作した周防大島町のプロモーションビデオ

2年間の活動を経て2018年に独立し、MAKANA DESIGN(マカナデザイン)を設立。デザイナーとして、周防大島ならではの作品を生み出し続けています。例えば、こちらは島内にある 上妻みかん園 のミカン箱。側面に、ミカンとともに島の四季を描いています。 

ダンボール

MAKANA DESIGN提供

東京ともリモートワーク
周防大島で見つけた理想の働き方 

また、東京で勤めていた着物関連の会社のデザイナーとしても活動を再開。「週に3日のリモートワーク。家の裏が海なので、東京のときとは違う環境で、海に癒されながらストレスなく仕事を続けています」 

東京での修業時代、ハワイでの経験、そして周防大島での5年間。デザイナーとしての日々を振り返って、「すべての経験が繋がり、今この島で生きていると感じます」と話します。さらに、「最近、やっと探していた理想の働き方ができるようになりました」とも。  

東京では会社勤めを続ける以外の道は考えられなかった。でもいまは、自宅でほとんどの仕事が完結します。しかも島にいながら、東京の仕事もできる。瀬戸内のハワイで、ずっとワーケーションをしている感じです 

木陰

マカナとは、「大切な人への贈りものを意味するハワイの言葉。 

「これからもゆったり流れる時間を楽しみながら、この島のアロハな魅力が感じられる作品を生みだしていきたいですね」 

 

 

執筆時期:2021年4月
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住所|山口県周防大島町東三蒲 

TEL|0820-80-4101 

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