夕焼け宿「民宿 富海(とのみ)の家」。
その宿を訪れると、名前の通り美しい夕焼けが迎えてくれました。 

 「季節によって太陽の沈む位置が変わっても、1年を通してきれいな夕焼け空が楽しめます」。そう穏やかに話すのは、この宿のオーナー、住岡修さん。 

山口県防府市、瀬戸内海に面した富海地区。この地で住岡さんが古民家を借り素泊まりの宿を開いて、もうすぐ2周年を迎えます。 

「ここは自然が本当に豊か。ホタルも毎年、たくさん飛び交います。夏祭りはなくても、ホタル祭りがあるほどです」。2才になった長男の蒼くんを抱き上げながら、妻のきよみさんが教えてくれました。 

家族

住岡さん一家

宿のすぐ近くには、1970年代にヒットした17才」という歌のモチーフにもなった富海海水浴場も。「夏には、ここで一泊する海水浴客もいらっしゃいます(修さん)。 

海

富海海水浴場

広島、大分、埼玉……移り住んで気付いた「田舎の良さ」 

修さんは広島市出身。高校を出て、大分県の大学へそこで価値観が変わったと言います。
「ほんとはもっと都会に出たかったんです。だから通い始めた当初はくさってましたでも、
九重連峰や温泉など自然のなかでの楽しみ方を知っていくにつれ魅力を感じるようになったんです。田舎ってすごく面白いなと」 

卒業後は埼玉県内の企業に就職。10年ほど勤めたころ、東日本大震災が発生します。「何が起こるか分からない。やっぱり家族の近くで生活したい」。そう考え、広島へ帰郷しました。しばらく広島市内で働いていましたが、以前には感じたことのない感覚が芽生えてきたと言います。 

「大分のような豊かな自然が懐かしくなってきたんです。近場でいいところはないかなと。同じ頃に草木染めなどのように自然素材でのものづくりをしてみたいとも思い始めていました」 

団欒

蒼くんと一緒に取材に応じる住岡さん夫妻

富海で叶えた「田舎暮らし+自然素材でものづくり」 

そんなときに偶然見つけたのが富海地区での地域おこし協力隊の募集記事でした。隊員の任務は「藍染めの6次産業化」。思い描いた暮らしができるのではないかと思い立ち、201511月に着任しました。 

ゼロから藍染めを学び、自家栽培した藍を使って体験イベントを企画するまでに。消防団に入るなど地域の一員として暮らしていくうちに、集落にも馴染んでいきました。 

布

願いはひとつ。「富海の自然を満喫できる、当り前の日々」 

美祢市出身のきよみさんと知り合い、2018年に結婚。同年秋に協力隊を卒業して古民家の改装に着手。翌年夏、民宿をオープンさせました。お客さんからは「なんか気持ちが落ち着くところですね」「夏休みに、おばあちゃんちに遊びにいったときのことを思い出す」と言われるなど、好評とのことです。 

幟

季節の野菜や、蕎麦なども栽培しています。除草用に山羊も飼うなど、求めていた田舎暮らしを満喫しています。 

やぎ

コロナ禍となった昨年からはテントやバーベキューセットの貸し出しなど、宿に来なくても楽しめるサービスも始めました。 

いま、夕焼けを眺めながら修さんが抱く想いはただひとつ。
コロナがはやく終息して、一昨年のように家族連れのお客さんに泊まりに来ていただきたい海で泳いだり、その辺りを散策したりして、富海をゆっくり体感してほしいんです。そんなごく当り前だった日常に、早く戻ってほしいですね」 

空 

 

 

執筆時期:2021年6月
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夕焼け宿「民宿 富海の家」 

住所|山口県防府市富海3603 

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