share
  • Facebook
  • Twitter
  • Pinterest

2019/05/29 【山口】岩国

瀬戸内海は、ミクロ生物の宝庫! 楽しみながら本気で学べる不思議なスポット|岩国市ミクロ生物館[潮風公園みなとオアシスゆう]

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

このライターの記事を読む

青い海、白い砂浜、そして椰子の木の並木道。岩国市の沿岸部を走る国道188号沿いにある「潮風公園みなとオアシスゆう」には、まさに海沿いのオアシスそのものの景色が広がっています。

レストラン、物産品販売。入り口の看板には、道の駅などに一般的に見られるコンテンツが並んでいます。でもそのなかに、ひとつだけ見慣れない施設名が……。

「ミクロ生物館」

いったい、どんな施設なのでしょう。

中に入ってみると、水滴のようなゆるキャラが迎えてくれました。

「これは『みくろん』。地元の小中学生にキャラクターを公募して選ばれたデザインなんです」。館長の末友靖隆(すえともやすたか)さんが教えてくれました。

「みくろんのおなかには、さまざまなミクロ生物が暮らしています。ヤコウチュウだらけになると「赤潮」発生。真っ赤な顔をして怒りますし、ツリガネムシだらけのみくろんは体内が浄化されて元気いっぱい。つまり、水のなかのさまざまな環境を表現できる優れたキャラクターなんです」

【「みくろん」の特性を紹介する末友館長】


なるほど。みくろんについてはなんとなく分かりましたが、そもそも「ミクロ生物」って何でしょうか?


目の前の海水浴場に、たくさん!

「砂粒よりも小さな生き物たちのことです。たとえば、目の前の海にどのくらいのミクロ生物がいるかご存知ですか?」と末友館長。

……僕にはまったく見当もつきません。ミジンコくらいいるのかな?

「じゃ、実際に採取してみましょう」

職員の佐々木愛絵里(あえり)さんとともに、夏には海水浴客で賑わう通称「潮風ビーチ」へ。佐々木さんは波打ち際から2、3歩入ると、専用の網で海水をすくい始めました。

たったそれだけで、ミクロ生物と呼ばれるものが採れるの??

そんな不安をよそに、佐々木さんは黙々とすくい続けます。網は先端に海水が少しだけたまるようにできていて、佐々木さんはそのたまった海水を透明な容器に移していきます。

すくっては移す、すくっては移す……

「もう、十分採れたと思います。この白くにごって見えるのが、ぜんぶミクロ生物です」

え、全部?

館に戻って顕微鏡で見せてもらうと、そこには丸かったり、トゲトゲだったり、長細かったり……いろんな形をした無数の「何か」がうごめいていました。

【ヤコウチュウの顕微鏡写真 岩国市ミクロ生物館提供】


「これはゴカイの幼生、こっちはヤコウチュウ、これはウミサボテンムシですね」末友館長が丁寧に教えてくれました。「一滴の水は、まるで水族館。多様な生き物が入り乱れ、食べたり、食べられたりを繰り返しています。ここの海辺だけでざっと数百種類は見つかるんですよ」

【海、川、湖……。「自然界の水は、どれもミクロ生物の宝庫」と話す末友館長】


採集体験や、自由研究のサポートも

そんな身近な海の未知なる世界に関心を持ってもらうため、館では採集体験と顕微鏡での観察を予約制で受け付けているそうです。そのときに採れたミクロ生物の顕微鏡写真は、後日電子メールでプレゼントしてくれます。

さらに、予約すれば1日100円で大学研究室並みの顕微鏡がそろった「実験室」を使っての自由研究も可能だとか。時間があるときは末友館長が実験計画や考え方などのアドバイスまでしてくれます。このサービスはとても好評で、関東から訪れる小中学生も少なくないそうです。

「いつか、ここをきっかけにノーベル賞級の発見をする研究者が育ってくれたらうれしいですね」。末友館長はそんな夢を抱きながら、サポートを続けています。

予約がなくても、みくろんが出迎えてくれた「展示室」はいつでも見学できます。

ここでは、ゾウリムシやミドリムシ、ミジンコなど約20種類を顕微鏡で観察できます。また、初夏から夏にかけては、土日祝日限定で「流氷の天使」と呼ばれるクリオネも展示されています。

館では、「光るミクロ生物万華鏡づくり」「レインボーゾウリムシづくり」など、普段あまり聞き慣れないユニークな企画も不定期で開催。いずれもあっという間に満席になってしまうほど人気です。

「近年の研究で、エネルギー分野や新薬・新素材開発など、人類の未来に対して計り知れない可能性を秘めているミクロ生物の存在が続々と明らかになりつつあります。みくろんやさまざまなイベントを入り口にして、身近な海や湖に広がる無限の世界に関心を持ってくれる人を増やしていきたいですね」。末友館長はそう願っています。

未知の世界をのぞいた後は、みなとオアシスゆうだけにしかない「トマトスムージー」でほてった頭と身体をクールダウン。地元特産の「ゆうトマト」のほのかな甘みを楽しみながら潮風ビーチを眺めると、瀬戸内海がそれまでとはまったく違った無限の宇宙のように感じられたのでした。

取材時期:2019年5月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:大村 たかし
このライターの他の記事を読む

Spot Information

岩国市ミクロ生物館

住所 山口県岩国市由宇町8500-6由宇町8500-6
TEL 0827-62-0160
定休日 火曜日・年末年始(12月29日~1月3日)
URL http://micro.shiokaze-kouen.net/

Google Mapで開く

 

Ranking