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2019/06/02 【山口】岩国

香りひとつで気分をアゲたり、ユルめたり……。イギリス仕込みのアロマ伝道師|宮部てつおさん[アロマスイッチ]

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

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玄関の扉を開けると、ほのかな甘い香りに包まれました。扉の外とは明らかに空気が違うんです。取材前のいつもの緊張感も、不思議と緩んでいきました。

「ペパーミントやローズマリー、ベルガモット……。今日は気温が高くて曇っているので、だるくなりがち。だから頭がすっきりして、気持ちも上がるエッセンシャルオイルをブレンドしました」

「アロマライフクリエーター」として山口、広島を中心に活動する宮部てつおさん。香りによるオフィスのプロデュースもされているだけあって、レッスンスタジオ「アロマスイッチ」(岩国市)は、そこにいるだけで心が解放されていく空間になっています。

だけど、どうして香りで気持ちが変わるのでしょうか?


香りで効率アップ

「嗅覚は感情や記憶を司る大脳辺縁系と直結しています。だから直接気持ちに作用するんです」。柔らかな口調で、宮部さんが答えてくれました。

そうした気持ちの変化は、当然、その場にいる人たちのパフォーマンスに影響を与えます。宮部さんがプロデュースを手がけた企業からは「会議で社員の発言が活発になった」といった報告も。また、学習塾からは「子どもたちが集中して勉強するようになった」と喜ばれているそうです。

「僕自身、香りのもつ力を実感したことが、この世界に入るきっかけになったんです」

宮部さんがアロマと出会ったのは学生時代。当時は風邪をひきやすく、身体が弱かったそうです。そこで、友人から勧められたアロマを使ってみたところ、「風邪をひいても、すぐに改善するようになって」

大学で建築工学を学び、オフィスデザイン会社に勤務。家具の配置などでの「働きやすい空間づくり」を提案するうちに、「香りというソフト面からもアプローチできるのでは」と考えるように。そこからアロマの世界にはまり、入社3年目の2007年、退職してイギリスへ。プロのアロマテラピストから本場の技を3か月間、みっちり学びました。

イギリスでの経験は、現在のスタンスにも影響を与えています。

「日本では、『この香りはこういうときに有用』というふうに、精油の特性によって選ぶのが一般的。でもイギリスの人はまず、その香りが『好きか、嫌いか』なんです」

それはアロマの原点にも通じるとも。「花やハーブなどの香りをいつでも楽しめるように瓶詰めして持ち歩き始めたのが始まりだと僕は思っています。難しいことの前に、その香りが気持ちいいかどうか。それがまず大切なんです」。レッスン生たちにも、「楽しむ」ことを忘れないように伝えているそうです。


アロマを通じた里山再生も

そんな宮部さんが最近、関心を寄せているのが「里山再生」。一見、アロマとなんの関係もない気もしますが……。

「いえいえ。実は深い関わりがあるんです。まず、どうしてアロマの香りでリラックスすると思いますか?」

宮部さんによると、「森の人」とも呼ばれるチンパンジーと、人間のDNA上の違いはわずか1%。その大切な森から遠く離れた都市部で暮らすことで、ストレスが増えるのは当然とのこと。「だから、ストレスが溜っていくのは自然欠乏症でもあるんです。植物の精油であるアロマで、それを補うことができる。だからリラックスできるんです」

その森を育む里山が現在、荒れていることに宮部さんは心を痛めていました。

【イギリス、フランス、そして日本産のアロマが並ぶ】


「アロマって言うと西洋のイメージが強いけれど、スギやヒノキなど、日本の山にある木々からもすごくいいアロマが採れるんですよ。僕が扱う約120種のうち、20種類ほどは日本産のものです」

そんな日本の山の素晴らしさを知ってもらうため、レッスン生たちと広島県福富町の里山でフィールドワークをすることも。「クロモジという木の枝葉を蒸留して、その場でアロマウォーターを作ることもあります」

【参加者とともに山を歩き、身近な木々の素晴らしさに触れる】


身近な山に興味を持つ人が増えれば、そこを整備しようという意識も育まれていく。里山が整備されるなら、川や海だってきれいになっていく……。「そうした循環の一部になりたい。いつか、自分たちで再生した里山でスギやヒノキの自家製アロマをつくるのが夢なんです」


僕には「ローズ系」?

アロマに興味を持つのは、女性が中心。宮部さんの生徒さんも、ほとんどが女性です。

「けれど、会社などでストレスにさらされている男性にこそ、必要なのかも知れませんね。」

そう言うと、宮部さんは「大村さんには……、きっとローズ系だな」と呟きながら、アロマをブレンドし始めました。

ローズのほか、イランイラン、ジャスミン……など計6種類を調合したブレンドアロマが、ものの数分で完成。「どうですか?」

シュッとひと吹きしてみると、甘いのに重くなく、爽やか。気分も軽く、晴れやかになっていく感じがしました。

「そう、そうした気分の変化を一瞬で起こせるのが、アロマの最大の魅力なんです」

あ、確かにスイッチが切り替わった感覚……。

これから取材や記事作成に行き詰まったら、このスイッチをオンにしてみようと思います。


取材時期:2019年5月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

 

取材・文:大村 たかし
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Spot Information

アロマスイッチ

住所 山口県岩国市岩国2丁目10-10
TEL 0827-93-4029
URL http://aroma-switch.main.jp/

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