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2019/06/14 【山口】萩

レシピは100種以上! 見た目も楽しい精進料理を食卓に|家庭精進料理研究家MAKIさん[家庭精進料理教室 精進スタイルのおうちごはん]

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

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こってりと脂ののった角煮。

見ているだけで、じゅわっとしたお肉の食感や、たれの甘い香りが口の中に広がってきます。

……でもこれ、お肉を使っていないんです。

「麩を、お肉の代わりにしています」。調理した当人であるMAKI(馬場麻希)さんからそう聞いても、にわかには信じられません。

しかも、実際に食べてみても、十分に「角煮」なのです。

「誰でも手軽にできて、しかも美味しい。それが私の提唱する『家庭精進料理』です」

そんなMAKIさんが萩市の自宅で開いている教室「精進スタイルのおうちごはん」には、食と健康への関心の高い女性たちが、山口県内だけでなく広島や関東からも通ってきています。



「お茶の時間」でまず心を整えて……

取材に伺った日は、山口市の主婦の方が個人レッスンを受けられていました。

教室はいつも「お茶」をいただくことから始まります。

実はこのお茶の時間にも、大切な意味があるのです。

「精進料理で一番大切なのは、食べていただく方のことを想う真心。でも時間や準備などに追われてバタバタしたままだと、お料理にもそうした気が入ってしまいます。だからまず、気持ちを穏やかにすることが肝要なんですね」

この日の献立は、
・車麩の角煮どんぶり
・車麩のチリソース炒め
・もやしとわかめのスープ
・切干大根の梅和え
・キュウリの中華和え

以上の5品。

もちろん、肉、魚介類は使いません。肉は、大豆を肉のように加工した大豆ミートや、この日のように麩などで代用します。

車麩は煮込んでいる時点で、僕にはもう角煮そのものにしか見えません。



タマネギを使わない代わりに

また、ネギ類(タマネギ含む)、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどの一部の野菜を「内臓に負担をかける」という理由で使わないことも、精進料理の特徴です。調味料も植物性で、みりんなどのアルコール類はなし。出汁は昆布や干しシイタケからとります。

様々な調理に欠かせないタマネギは、白菜の芯で代用。

「これでカレーだって作れるんですよ」

……確かに、こうして炒めているとタマネギにそっくりですね。

小さめに切った麩をいれて豆板醤などで味付け。地元産のグリーリーフレタスとスナップエンドウを加えて盛り付けたら、見た目はすっかりエビチリです。

盛り付けが終わったら、待望のお食事タイム。

美味しいのはもちろん、どのお料理もすうっと身体に馴染んでいく感覚がありました。調理を手伝ったわけでもないのにおかわりまでいただき、満腹に。けれどまったくお腹にもたれないから不思議です。



健康も美容も、日々の食生活から

そもそも、MAKIさんはどうして精進料理を始められたのでしょうか?

きっかけはご自身の病気だとか。

東京で暮らしていた2011年、次女の妊娠中に卵巣嚢腫が発覚し、妊娠5カ月で摘出手術を受けました。でも出産後、片方の卵巣にも小さいものが見つかったそうです。

「その頃、ママ友のひとりに精進料理を実践している人がいて。私より一回り年上でしたが肌艶がよく、出産も40歳を過ぎてから経験されていたんです。美と健康の秘訣を聞くと、日々の食生活だと教わって」

まず3ヶ月実践してみたところ、もともとの料理好きに拍車がかかりました。

「味だけでなく、見た目も楽しめる。毎日の食事のなかで工夫しながら新しいレシピを作っていくのが面白くて」

2012年に、縁あって家族で萩市へ移住。ご近所でとれた野菜や庭に自生するミント、ローズマリーなども使えるようになり、気がつけばレシピは100種類以上に。

「そして、卵巣嚢腫もいつの間にか消えていたんです」

メンタルコーチである夫の真一さんにも変化が。「以前と比べて疲れにくく、集中力も増している」と言います。



特別ではなく、日常に取り入れてこそ価値がある

「精進料理は、もともと仏の智慧。それが心身に悪いわけがない。特別なものではなく、日常のなかに取り入れていってほしいんです」

2016年に教室を始めたところ、健康志向の女性たちの間で少しずつ広がっていきました。

家庭精進料理の実践を続けて8年。MAKIさんが実感していることがあるそうです。それは、「人間は、シンプルに生きていけるようにできている」ということ。

「お金を出せば、どんな国のものでも食べられる時代。けれど、それらは本来必要でしょうか? 生活している土地の作物をいただくだけで、心身ともに健康に生きていけるように私たちはできているんです」

人口増加や環境負荷を背景に、食糧問題は日々深刻化しています。そんななか、「ベジマンデー」(月曜日は肉を食べず、野菜中心の食事にする運動)など、菜食中心の生活に切り替える流れは世界的に広がりつつあります。

「そんなふうに、週に1回でも、3食のうちの1食でも、できるところから始めてみませんか?」

なるほど。確かに精進料理を「おうちごはん」に取りいれるだけで、美味しくシンプルに、自分も家族も健康になっていく。そうした毎日を淡々と続けていくことが、結果としてやがて地域へ、世界へと自然に繋がっていく。そして、そんな生き方こそが「精進スタイル」そのものなんだ……。MAKIさんの佇まいを見ていて、そう感じずにはいられませんでした。

*****

家庭精進料理研究家 MAKIさん
住所/山口県萩市椿東
instagram:maki.syoujin_style
Facebook:精進スタイルのおうちごはん

取材時期:2019年5月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:大村 たかし
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