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2019/06/30 【山口】萩

新設!起業家のたまごを見つける場所|萩市インキュベーションセンター・山口大学サテライトラボ萩

by 松田 澪衣菜
埼玉県出身、山口県在住。ソーシャルメディアに特化した広告代理店に勤務後、2年前に萩市にお引越し。現在はゲストハウスで勤務する傍ら、古道具屋を営んだり、萩の魅力を…

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令和元年5月、山口県萩市に新たなビジネスの拠点「萩市インキュベーションセンター・山口大学サテライトラボ萩」が誕生しました。月額1万円で使い放題のシェアオフィスのほか、起業に向けて様々な支援が用意されており、これから起業を考えている方にぴったりの注目施設です。今回、同施設管理人の吉田知弘(よしだともひろ)さんに詳しくお話を伺ってきました。



「萩市インキュベーションセンター・山口大学サテライトラボ萩」とは?

— 早速ですが、ここはどういった施設なのでしょうか?

萩市と山口銀行、そして山口大学の三者協定の中で生まれた施設です。もともとは山口銀行の出張所だった建物を萩市が借り受け、改修工事を行いました。1階は山口大学のサテライトラボ、2階には萩市インキュベーションセンターとしてシェアオフィスが設置されています。5月8日に開所式を行なったばかりです。


—サテライトラボとは、具体的に何をする場所ですか?

山口大学の学生が萩市に入って研究や公開講座を行うためのスペースです。今年は約50日間の利用が決定しています。今後、空いた日の活用方法を山口大学とともに検討していきたいと考えています。

【清潔感があり、広々とした1階ラボスペース】


ーでは、シェアオフィスはどのような方が利用される予定なのでしょうか。

こちらは萩で創業間もない事業者の方や起業を考えている方を対象としています。 原則1年、必要な場合は最大2年間の入居が可能です。(期間満了までに萩市内で他の事業所の確保に努めることが条件)。契約金額は光熱費を含む月額1万円。もちろんwi-fi環境も整備されています。

【デスク周りが整備された2階シェアオフィス】


—他に、共用の会議室などもあるんですね。

はい。こちらはシェアオフィス入居者の方にご利用いただけます。また、来年の1月以降には、新たに「Hagi-Biz(はぎビズ)」という萩市ビジネスチャレンジサポートセンターも設置する予定です。これは、静岡県富士市の「富士市産業支援センター f-Biz(エフビズ)」をモデルとしたもので、最近では全国横展開していて各地で成功事例が上がっています。萩市もこのビジネスモデルを取り入れることになりました。Hagi-Bizでは常駐しているコンサルの方が、中小企業の方が相談に来られた際に一緒に課題を解決する伴走型支援を行なっていきます。


—この場所を通して、萩のビジネスがより活発になりそうですね。



吉田さんが管理人に応募した経緯

—ところで、吉田さんは他県から移住されてきたと伺いました。どういう経緯で、この施設の管理人になられたのですか?

僕は2016年12月、萩に移住して地域おこし協力隊として活動してきました。今年度で任期も終わるので、今後は事業主としてやっていこうと考えていた矢先、こちらの募集を知りました。これは自分しかいないのでは……と思って。

【優しく施設内を案内してくれる吉田さん】


—どうしてそう思われたんですか?

自分の事業の理念として、この街に新しい一歩を踏み出す人を生み出したいという想いがありました。ここは起業家を支援する場所ではあるけれど、それ以前に起業家の卵が生まれるきっかけ作りが必要じゃないかと。例えば、様々なイベントを通して、やりたいことや一緒にやりたいと思う仲間を見つけられる、そんな出会いの場が作れたらと思ったんです。そのとき、自分が地域おこし協力隊の中で広げてきた官民を問わない人脈、イベントの企画力や運営力が活かされるのではと考えました。



好奇心旺盛な少年が見てきた世界

—確かに、地域おこし協力隊として吉田さんがやられてきたこと(夏みかんを使った商品開発、空き家活用、イベントの企画運営など)を拝見しても、多彩なイメージです。

根底にあるのは好奇心なんです。物心ついた頃から岡山県倉敷市の児島というところに住んでいたんですが、ずっと外に出たくって。中学校の頃は中高一貫校に通っていて寮生活。違う世界のことが知りたくて、海外の映画ばかり観ていました。大学3年の就活の時期にもっといろいろ見てみたいと思って、段ボール1つとスーツケース1つだけを持ってNYに行きました。語学学校に通いながら、日々CD屋とレコード屋を巡っていましたね。


—萩に越してくるまでは何のお仕事をされていたんですか?

新卒でアパレルブランドの「Beams」という会社に入りました。東京で2年間だけ働いて、そのあとは友人の紹介で大阪の洋服屋に転職しました。でも、27歳くらいのときかな。「大事なことってなんだろう?」と本質にかえる機会があって。その時は教育が大切だと感じたので保育士になるために岡山に帰ることにしたんです。兄の土木の会社で働きながら3年くらい保育士の通信制の学校に通いました。色々思うことがあって、最後の実習を前に辞めちゃったんですけどね。その後、たまたま買い物に行った洋服屋で社長に誘われ、7年ほど働きました。プライベートでは、音楽イベントを開いたり、社会活動に参加したりしました。みんなが交流しているのを見たり、どうしたら気持ちよく交流できるのかを考えるのが楽しかった。その時の活動が、間違いなく今につながっています。


—いろいろな経験をされていたんですね。アパレルを離れたのはどうしてですか?

社会的な問題に寄り添える仕事がしたいという気持ちが芽生えていて、次に進もうと思ったんです。その後、少し郵便局で働いて、長野の山小屋へ働きに行きました。きつかったけど、今までしたことのない経験だったので楽しかった。山で働いている間ずっと次に何しよう?と考えていたんですが、自然素材の家を売りたいと職業訓練校に通い始めました。住宅リフォーム科というところでCADの勉強をしたり……。


—社会人になって二度目の学校ですか!勉強が多い人生ですね。

ははっ、迷いすぎですね。日中は職業訓練校に通って、夜は工場で働くという生活を半年くらい送っていました。資格も取って就職活動もしましたが、理想的な会社にはなかなか出会えなかった。そんな時に地域おこし協力隊の存在を知りました。社会性が高くて面白そうだと思って。全国を転々としながら、やりたいと思える場所を探していました。



萩に移り住むきっかけとなった言葉

—そこで萩に出会った?

そうですね。萩に初めて来たのは、3年前の2016年5月末くらい。萩にはゲストハウスrucoがあって、いろんな人の交流があるのがいいなあと思って。そのときに萩で提灯屋さんを営む大谷ご夫妻のご自宅にも泊まらせていただいたんです。そこでいただいた言葉がとても心に響きました。


—どんな言葉だったのか、教えていただけますか?

「君は尖がってきたよね、はみ出してきたよね。でも、そこを無理に合わせなくてもいいと思うよ。これからもはみ出し続ければ、いつかそのはみ出した分が大きな丸になっていくから。それで人間は成長するんだよ。萩に住んでいろんな人と話して文化度を高めたらいい」と。その言葉がきっかけで、萩に来ようと思いました。


—素敵な出会いがあったんですね。今後はどのような活動をされていくのでしょうか。

まずはここを利用する人を増やすこと。起業するような人を探すのはもちろん、その卵を見つけるための取り組みを行っていきたい。あとはイベントにしても、何にしても、やりたいけどやり方がわからないって人は多いと思うんです。そういう時にサポートをできるようにしたいです。今後は、この浜崎エリアの人の話なども伺いながら、可能性を見出していきたいですね。

【萩市の浜崎伝統的建造物群保存地区に位置する萩市インキュベーションセンター】


多様な経験を積まれている吉田さんだからこそ、思い描けることや成し得ることも多そうですね。いよいよスタートの「萩市インキュベーションセンター・山口大学サテライトラボ萩」。今後の展開をお楽しみに。

取材時期:2019年5月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

 

取材・文:松田 澪衣菜
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Spot Information

萩市インキュベーションセンター・山口大学サテライトラボ萩

住所 山口県萩市大字浜崎町209
TEL 0838-25-3108

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