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2019/07/10 【山口】山口

フルオーダーで自分だけのベストブレンドを! 人と人を繋げるロースター目指す|西田幸誠さん[ニシダコーヒー]

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

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コーヒー豆を選ぶとき、何を基準にしていますか? 深入りで、少し酸味があって……。それくらいの好みはあっても、筆者には「自分の好きな味はこれ!」という明確な基準がありません。でも、山口市にあるニシダコーヒーに行けば、自分だけの「最高の一杯」が見つかります。なぜなら、フルオーダーのロースターだから。

なぜフルオーダーを始めたのか? どうして喫茶店ではなく、卸にこだわるのか? そこにはオーナーの西田幸誠(こうせい)さんの、深いコーヒー愛、そして人間愛がありました。



自分だけの「コーヒーレシピ」を

―フルオーダーのコーヒーロースター。この辺りではあまり聞き慣れない業態ですが、具体的にどういうことをされているでしょう?

豆の種類から、焙煎度合い、酸味、苦みのバランス……。お客さん一人一人の、そうした細かいお好みに応じて、その方だけのオリジナルの豆を提供させていただいています。


―そこまで細かく? 

ええ。一般的に豆は、「深煎り」「浅煎り」とか、「酸味がある」「苦みが楽しめる」といったくくりで売られていますよね。でも、それが本当に自分の好みなのかどうか、はっきりと分かって選んでいる人は少ないんです。それしか選択肢がないから、そうしているだけ。

うちではスペシャリティコーヒーを扱っていますが、生産国だけでも20カ国以上、農園別だと30農園を越えます。しかも、同じ豆でも焙煎度合いでまったく味が変わってしまうんです。それほどの幅広い選択肢のなかには、まだ自分が気づいていない本当にベストなコーヒーが必ずあるはず。そこを探り、見いだすお手伝いをするためには、フルオーダーというスタイルが最適なんです。

【焙煎度合いを変えた豆を並べたガラス管。香りの違いを体感できる】


―なるほど。ただ、そこまで自分の好みを追求している人が、この辺りにどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

開業したてのころは、お客さんもどう注文したらいいのか戸惑われることもありましたね。敷居が高いとも思われていたようです(笑)。


―そうでしょうね。「コーヒーならなんでもいい」という人が多いですから。

そうかもしれません。でも、コーヒーが好きな方なら誰でも自分のベストな味を求めているのだと思います。ただ、そうしたきっかけが、それまでなかっただけなんです。だから、僕のお店では最初にだいたいのお好みをうかがうことから始めます。お聞きした内容から僕が豆を選び、まずはお渡しします。

大切なのはその次にいらっしゃったとき。「前回どうでしたか? もう少し苦みをつけましょうか」などとお聞きしながら、その方が本当に「美味しい」と感じるコーヒーに少しずつ近づけていくのです。


―ああ、確かにどういう種類の豆をどの程度焙煎したコーヒーが自分にとってのベストなのか、改めて考えてみるとはっきり分かりませんね。そこまで気にしたことがないかも。

皆さんそうなんです。そのようにしてお好みの味を具体的にしていくと、自然とお客さんオリジナルのコーヒーレシピが出来上がっていきます。なので、お渡しした豆の種類はもちろん、焙煎度合い、焙煎時の天気や気温などのデータなどはお一人ずつ、しっかり記録しています。



自分で焙煎した豆をプレゼントしていた高校時代

―そもそも、西田さんはコーヒーの世界にはどんなきっかけで興味を持たれたのでしょう?

実家のある京都で、父が喫茶店を経営しているんです。だからコーヒーと焙煎は子どもの頃からずっと身近にありました。一杯ずつサイフォンで淹れる、まさに昭和の純喫茶です。


―では、子どもの頃から焙煎も手伝っていたとか?

手伝ったりはしていませんが、高校生のころには趣味で焙煎していましたね。当然、最初は上手にできないので、「なんでこんなに不味いんだろう?」と父に質問したこともあります。美味しいと思えるのが出来ると、友だちにあげたりしていました。


―焙煎した豆を友だちにプレゼントする。そんなクラスメイト、僕の周りにはいなかったですね(笑)。

ほんと、ただの趣味ですよ。友だちから「美味しかった」といった感想をもらうと嬉しかったですね。

【生豆の選別。形が悪かったり、虫食いの後があったりする「欠点豆」を取り除く】


―そこから、そのままストレートにコーヒーの道へ?

いえ。工業高校を卒業後、土木設計会社に入って、主にパソコンで図面を描いていました。


―コーヒーとは無縁ですね。それがどうして?

その会社に5、6年いたんですが、人との出会いに飢えていたんです。ずっとパソコンの画面を見つめる毎日だったので。もともと、人と人を繋げたり、地域の活性化などに関心があったので、そういう生き方がしたいという気持ちが抑えきれなくなって、独立しようと。だったら、やはり子どものころから親しんできたコーヒーだな、と。



コーヒーはあくまで「人と人を繋げるツール」

【店内には、主婦グループなどが集えるスペースも設けている】


―お父さんのお店を継ぐという考えはなかったんですか?

あそこはもう、父のもの。僕が始めるなら、一から自分で立ち上げようと決めていました。それに、コーヒーを仕事にするにしても、喫茶店やカフェをやりたいわけではなかったんです。コーヒーは、あくまでツールでしかないので。


―ロースターだけど、コーヒーはツール?

そうなんです。先ほどもお話しましたが、僕は人と人を繋げるのが大好きなんです。独立した目的もそこにあります。人と出会い、繋げるきっかけづくりのツールとして、美味しいコーヒーがある。それが僕にとっての「コーヒーというもの」なんです。


―でも、出会いや交流の場としてカフェを開くという人も多いですよね。

もしカフェを開くとなると、ずっとお店にいなければなりません。それよりも、僕自身がどんどん外に出て、こちらから会いに行くほうがいい。なので、現在の豆の卸業のスタイルを選んだのです。イベントにも可能な限り積極的に出店しています。週末のたびに各地の会場へ出向いていた月もあります。あまりの頻度だったので、「あそこはコーヒー屋なのに、土日に開いていない」とうわさされるほどでした(笑)。

人を繋げるという意味でも、いまのスタイルがいいと思っています。例えば、コーヒーが飲みたいというお客さんに出会ったら、僕の豆を使っていただいているお店を紹介しています。そうすれば、お客さんとお店を繋げられるだけでなく、そのお店が潤うし、そのお店が繁盛すれば当然、僕の豆もたくさん必要とされます。そんなふうに地域で人を繋げ、お金を循環させていきたいと考えています。



山口には「面白いことをしよう」という空気がある

―そもそも、京都からどうして山口へ?

生まれは京都ですが、小中学生時代は山口で暮らしていたんです。高校からまた京都。だから山口に馴染みの友だちがたくさんいるんですね。妻も小中学校の同級生です。なので、山口に戻って独立することは僕の中で自然な流れでした。築約50年の木造民家をリフォームして、2017年10月1日から営業しています。

【築約50年の民家をリフォームした店舗】


―京都から戻られて感じることはありますか?

山口の人は、みんなが協力しあって町を盛り上げようという意識が高いですね。そこがとてもいいなと。特に自営業者同士、仲がいいんです。声を掛けあって、常に何か面白いことをしようとしている。そんな空気がありますね。

僕も、県内のロースターに声をかけてコーヒーフェスタを開催したいと思っています。コーヒーをキーワードに集まってくる人たちと出会って、繋がったり、繋げたりする場を創れたら理想的ですね。


―最後に、西田さんがこれからコーヒーを通して目指しているものはありますか?

そうですね。何かイベントをしよう、楽しいことをしようと考えたときに、「じゃあ、西田に相談してみよう」と言われる存在になりたいと思っています。「西田は人をたくさん知っているし、繋げてくれるから」といった感じで頼られるようになれたら本当に嬉しいですね。これからもコーヒーを通して人と出会い、関係性を育みながら、人と人をどんどん繋げていきます。




取材時期:2019年6月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
 

取材・文:大村 たかし
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Spot Information

ニシダコーヒー

住所 山口県山口市湯田温泉5丁目7-6
TEL 080-4487-7054
営業時間 平日12:00~18:00、土日祝日9:00~18:00
URL https://www.nishida-coffee.com/

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