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2019/07/28 【山口】岩国

コーヒー×フランス×錦帯橋? 地域に愛される夫婦が営むロースター|imm coffee&roastery

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

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山口県岩国市。日本三名橋のひとつ、錦帯橋から徒歩3分ほどの道路沿いにそっとたたずむ小さなカフェ、imm(イム) coffee & roastery。

ウサギ、アライグマ、カピバラ、ナマケモノ……。扉を開けて店内に入ると、カウンター横に並ぶ動物たちのユルいイラストが目を引きます。



親しみやすいコーヒーを

「中南米やアフリカ、インドネシアなど、それぞれの豆の産地にいる野生動物たちなんです」。ハンドドリップの準備をしながら、イラストの作者である津田雪映(ゆきえ)さんが教えてくれました。「どこそこの農園の……というより、そのほうが覚えやすいかなと思って。お客さんも、『こないだのゴリラのコーヒー、また飲みたい』というほうが親しみやすいでしょ」

「親しみやすさ」は、コーヒーの味にも。

コーヒー豆は7カ国、計9種類。すべてスペシャリティコーヒーです。

この日、筆者がいただいたのは「ブラジル・サンタロザリア農園」のナチュラル製法(収穫後、水洗いせずに天日干ししたもの)の豆。口当たりがとても柔らかく、ほのかな甘みをいつまでも味わっていたい気持ちになりました。

そこには豆の特徴と同時に、焙煎を担当している夫の津田将央(まさお)さんのこだわりがありました。

「どの焙煎も、浅すぎず、深すぎず、酸味や苦みも強くなりすぎないように心がけています」。ハンドドリップも、エスプレッソも、濃くならないように早めに抽出するようにしているとのこと。「そのほうが飲みやすく、親しみやすいんです。生活のなかで毎日飲んでいただくものだから、できるだけ優しい味になるようにと思って」



地域の人に愛される一杯

錦帯橋のすぐ近くにありながら、お客さんの大半は観光客ではなく地域の人たち。若い女性からお年寄りまで、年齢層も幅広いそうです。その理由は、二人のこうした心配りにあるのかもしれません。

コーヒーには、名刺サイズのカードもさり気なく付いてきます。

そこには豆の生産国、品種、標高から、焙煎、コク、苦み、酸味の度合い、そして「ナッツのようなまろやかな甘さ」といった味の特徴まで、シンプルに記されています。カードを読みながらいただくと、一杯のコーヒーがより味わい深く感じられる気がしました。

ショーケースの中には、レモンケーキ、シナモンマフィンなどのスイーツも。いずれも雪映さんの手作りで、控えめの甘さがコーヒーの美味しさを一層引き立ててくれます。



フレンチ料理人のサンドイッチ

サンドイッチメニューも好評です。自家製のパテやベーコンを、広島のベーカリー専門店から仕入れる本格バゲットで挟んだ食べ応えのあるものばかり。それもそのはず、将央さんは調理専門学校を卒業してフレンチレストランのシェフを目指していた経歴の持ち主。「スパイスとハーブで肉独特のクセを取って、素材本来の美味しさが引き立つようにしています」。そう語るときの目は、完全に料理人そのものです。

将央さんとコーヒーとの出会いは、開業前に2年間働いていた岩国市内のレストランで訪れました。カフェタイムなどに提供しているうちに「ちょっとした淹れ方、抽出の仕方の違いで、こんなに味が変わるのか……」とその面白さに目覚めたそうです。

生豆を買って自宅で焙煎するようになり、「温度の変化で味をコントロールできる。そこに魅力を感じて」。コーヒーで独立することを決め、元鍼灸院だった店舗を2人で力を合わせ、半年がかりでリフォーム。2017年9月にオープンしました。

「イム」という店名には、意外な由来が。「自分がフランス料理店を開くなら、イムって店にしようと昔から決めていたんです。文字を縮めるとフランス(仏国)の『仏』になるから。ただ、カフェならアルファベットのほうがしっくりくる。それにmを2つ並べることで錦帯橋のようにも見えるので」と将央さん。このお店を表現するのに、これ以上ないネーミングとなりました。

ただ、イムのコーヒーや食事メニューについて、将央さんが積極的に話されるわけではありません。「美味しく飲んで、食べていただけたらそれで十分。難しいうんちくは、提供する側が知っていればいいだけですから」

雪映さんも思いは同じ。「お母さんに連れられてきた小さな子ども達が、大きくなって『むかし行ったあそこのコーヒーを飲んでみよう』と思ってもらえるようなお店になれたら嬉しいですね」

コーヒーブームの昨今、高尚なポリシーを掲げて差別化を図る専門店も増えるなかで、津田夫妻の柔らかな佇まいにこそ、地域の人に親しまれ、愛される理由があるのかもしれない……。そんなことを感じながら、残りのコーヒーをゆっくりと飲み干したのでした。

取材時期:2019年6月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
 

取材・文:大村 たかし
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Spot Information

imm coffee&roastery

住所 山口県岩国市岩国1丁目20-46
TEL 0827-88-0040
営業時間 9:00〜18:00
定休日 水曜日
URL http://imm-coffee.com/

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