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2019/08/12 【山口】防府

自分自身と向き合う静かな旅。富海の藍に思いを馳せる、一日一組限定の隠れ宿|AIMA(藍間)

by 武井 奈々
大阪生まれ大阪育ち。瀬戸内海の穏やかで豊かな暮らしに惹かれ、2017年山口県周防大島へ移り住みました。海の向こうに四国の山並みを眺めながら、島暮らしを満喫中。島…

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山口県防府市、富海(とのみ)。海と山が近く、旧山陽道や港を中心に古くは交通の要衝として栄えた地です。ここで地域活性化を目的に、近年取り組まれているプロジェクトがあります。それは「藍(あい)」。藍染めで知られる、あの藍です。



富海の海と山の合間に佇む「AIMA」

藍を使い、富海でどんなことが行われているのでしょう?その真相を探るべく、訪れたのは野田地区にある「AIMA(あいま)」。宿、藍染め工房、カフェ、ギャラリーが一緒になった、藍染めを体感できる複合施設です。その中核を担うのが「野田西村邸」。昨年(2018年)まで、西村さんという方が実際に生活されていた、築約100年の古民家を改装して生まれました。

中に入るとすぐ、大きな甕(かめ)があるのに驚きます。

「ここは、藍染め工房です。宿泊客はもちろん、どなたでも本格的な藍染めの体験ができるんですよ」

そう話すのは、とのみまちづくり社代表の今村信一さん。こちらでは、「天然灰汁発酵建て」という伝統的な技法を用いた藍染めを行なっています。

工房の奥に続く扉を開けると、その先に広がるのは宿泊スペース。同じ屋根の下に藍染め工房と宿泊設備が備わった、珍しいタイプのお宿です。



古民家の趣と現代のセンスを融合

防府市の建築家、松村憲治氏がリノベーションを手がけた野田西村邸。窓から富海の町並みと海を眺める洋室やモダンですっきりとした和室など、寝室は全部で3部屋。一日一組限定、最大8名まで宿泊可能です。

周りは民家や畑が点在していて、昼間でもとても静か。昔の梁や柱を残した室内には、鋳物作家でもある松村氏の作ったオブジェがさりげなく飾られていたり、レトロな白熱灯のランプが置かれていたりと、古いものと新しいものが融合した快適な空間に仕上がっています。



藍染の作品に触れる、ギャラリー&カフェ

野田西村邸の隣にあるのは、ギャラリー&カフェ。宿泊客はこちらのカフェで朝食をいただけます。ギャラリーでは富海と藍の持つ青のイメージ「TONOMI&BLUE」から生まれた藍染のブランド、「TONOBL(とのブル)」の作品が置かれています。

藍染と一言でいっても、その色合いは様々。薄い水色から濃い紺色まで、美しいグラデーションに染められたストールやTシャツ、風呂敷など、バリエーション豊かな品揃え。TONOBLの商品の全ては、「天然灰汁発酵建て」で染められたもの。化学薬品は一切使わず、藍の葉を乾燥し発酵させた蒅(すくも)と灰汁(あく)、日本酒、ふすまなどの天然素材だけで作った染料を使用しています。そのため、丈夫で肌にも優しいのだそう。

ギャラリーに併設するカフェは、どなたでも利用可能。ピタパンサンドのランチや藍の粉を使ったシフォンケーキなど、ちょっと珍しいメニューが楽しめます。大きなズッキーニやきゅうりは裏の畑でとれたもの。ご近所さんがせっせと作って持ってきてくれるのだそう!そんな新鮮な地物野菜をたっぷり使ったメニューは、中村さん(写真左)と泉さん(写真右)がすべて手作りしています。

「私の娘も、藍染めをするのが大好きなんです」と中村さん。富海では、小中学校や地域のイベントで藍染めの体験教室が開催されるなど、地元の子ども達にも身近に藍染めに触れる機会があるのだとか。いつも手を真っ青に染めて帰ってくる、と笑っていらっしゃいました。



さわやかな藍色が美しいバタフライピー

最近、あちこちで話題になっているバタフライピー。「チョウマメ」というマメ科の植物の花のハーブティーです。目の覚めるような青にビックリ!味はさっぱりとしてクセがなく、エルダーフラワーのシロップやライムジャムを入れていただくのですが、それを入れた瞬間、青から紫へお茶の色が変わって、二度ビックリ。

バタフライピーのお供に、自家製ケーキはいかがでしょう。この日は藍の粉入りシフォンケーキといちごのベイクドチーズケーキの2種盛り。藍を食べられるなんて、知りませんでした。藍には抗酸化作用があり、健康にも美容にも良いのだそう。ほんのり藍色を感じるシフォンケーキ、甘さ控えめでとても美味しくいただきました。



旅の合間を彩るAIMA

富海の海に映し出される藍と工房で生み出される藍。その「藍間(あいま)」を味わう場所として、旅の「合間」に立ち寄って欲しい。そんな思いから名付けられた「AIMA」。

藍染工房でシルクのストールを染め、富海の海に沈む夕日を眺める……。賑やかな観光地にはない、自分自身と向き合えるような静かな旅の愉しみを見つけに、あなたも訪れてみてはいかがでしょうか。

取材時期:2019年7月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:武井 奈々
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Spot Information

AIMA

住所 山口県防府市富海988-5
TEL 0835-34-1212
営業時間 11:00〜16:00(カフェ)
定休日 火曜日
URL http://aima.tonomi.or.jp/

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