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2019/08/07 【山口】萩

若きすいか農家が作る幻の「福賀すいか」|梅田将成さん[クレイジーファーマー]

by 松田 澪衣菜
埼玉県出身、山口県在住。ソーシャルメディアに特化した広告代理店に勤務後、2年前に萩市にお引越し。現在はゲストハウスで勤務する傍ら、古道具屋を営んだり、萩の魅力を…

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山口県の山陰側、人口約3,300人のちいさな町で幻のすいか作りに励む若き農家・梅田将成さんがいます。3年前に地元阿武町にUターン、地元の美しい田園風景の中で夏はすいか、冬にはほうれん草を栽培して暮らしています。鳥のさえずりが心地よく響く福賀(ふくが)盆地で、その暮らしぶりについて伺いました。



ずっしり大きくて甘い!福賀すいか

梅田さんが栽培するすいかは、全国シェア率1%以下の稀少で価値の高い“福賀すいか”と呼ばれるもの。見た目からしてずっしりと大きい福賀すいかですが、しっかりと甘味がつまっています。その秘密は、栽培方法にあると言います。

「通常、すいかは一つの苗で二果くらいを取るんです。でも福賀すいかは一苗で一果しか取らない。これは栄養を集中させて、大きさも味も他の産地のものと差別化していくための方法です」



福賀すいかができるまで

福賀すいかは栽培から収穫まで、基本的には全て手作業で行われます。4月上旬に苗植えが始められ、植え終わる頃には5月の終わり頃になっているのだそう。およそ90日間育て、出荷は7月~お盆頃になるといいます。これには梅田さんも「本当にあっという間!」の一言。現在、福賀地域では5つの農家で福賀すいかを栽培しており、全体で約1万1,000株が植えられています。今年は梅田さんが1,380株、師匠の木村さんは4,000株以上を植えられているのだとか。果てしない数に感じられますね!



梅田さんが農家を始めるまで

師匠の木村さんとは、子どもの頃から家が隣という環境の中育った梅田さん。当時から福賀すいかは阿武町の夏の特産品として有名だったといいます。いつから農家を志すようになったのでしょうか。

「今の師匠に『手伝ってくれんか?』と声をかけていただき、2017年からスイカの収穫バイトを始めました。当時から農家は意識していたけれど、具体的に何をしようとか決めていたわけではないんです」

翌年、正式に生産者となった梅田さん。生産者として今年で2年目を迎えます。

「今はすいかが終わってからほうれん草までのスパンを短くすることを考えています。冬がメインのほうれん草は、8月中に植えたら9月には一度出荷することができるので、なるべく早くほうれん草を植えられるよう準備を始めています」



新たな取り組み

昨年から、梅田さんの元で働くメンバーが増えたとのこと。これは「4分の1ワークス」という阿武町独自の取り組みで、すいか栽培が忙しくなる5~7月の時期に町のお試し住宅で暮らしながら、すいか農家さんをサポートするというもの。農業をやりたいという方や、田舎暮らしを体験したいという方の応募が集まるといいます。

【この日は、収穫が終わったすいかのビニールハウスの片付け方をレクチャー】


「一人の時は感覚で動いていたことを、人に伝えるのが難しいなと思います。でもどう頑張っても体はひとつしかないので、上手に人を使うことを覚えないといけないですよね」

現在は新規就農の補助事業として補助金をもらいながら生活をしているとのことですが、補助金がなくとも生計を立てられるようにするのが当面の目標だそうです。



プライベートも大忙しの梅田さん

梅田さんは自身で立ち上げたブログ(https://crazy-ume.com)でも積極的に情報発信をしています。農業以外の収入源として、そしてすいかの売り上げや収入のサポート補助にもなるのではと考えているのだそう。

単なる「田舎暮らし楽しんでいます!」という記事はあまり反応が良くないと気づいた梅田さん。農業を楽しんでいるというキラキラとした記事は、もう飽和状態なのではと考察しているといいます。挫折からのプロセスストーリーの方が、自分を重ねて見てくれる人が多いと感じるそうです。

「とはいえ、この景観はそこら中にあるものではないでしょう」と続ける梅田さん。「地元が好きだって思いはやっぱりあります」と。

最近は、福賀地域の人との交流も増え、伝統的な神楽舞の練習に毎週参加しているそうです。また学生時代から続けている合唱も、繁忙期以外は週に1回、萩市まで1時間弱かけて通っています。

農業にブログに神楽舞に合唱……大忙しの梅田さんですが、なんと今年の5月に入籍されたのだそう。「ちょうど付き合い始めて8年目の日だったので。今年の秋には奥さんも福賀に来てくれて、一緒に暮らし始める予定です。10月には結婚式も控えているので、確かに今年は大忙しですね」とのこと。なんとも頑張り甲斐のある一年になりそうですね。

【ユニクロのオリジナルTシャツに描かれたすいかのイラストは奥様が描かれたもの】


農業に静かで熱い情熱を持つ梅田さん。この夏は、梅田さんが愛情を込めて育てた稀少な福賀すいかを、ぜひ一度食べてみてくださいね。

―――――――

梅田将成(うめだまさなり)
クレイジーファーマー
ブログ:https://crazy-ume.com
Twitter:https://twitter.com/crfmuc0nd
Instagram:https://www.instagram.com/u_masanari/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCJ3O3GMEsbqNZW-0sPe7J4g/featured

取材時期:2019年7月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:松田 澪衣菜
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