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2019/08/26 【山口】岩国

「あなたも必ずモジョに!」クセになる味で国籍を問わず魅了|カレー食堂 Mojoカレー

by 大村 たかし
防府市出身。地方新聞社で18年間記者として活動後、コーチ、カウンセラーとして独立。起業家へのインタビューやプロフィール記事の作成、書籍の編集も行っている。趣味は…

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山口県岩国市。JR岩国駅前の商店街にある年季の入ったテナントビルの二階に、どことなく怪しげなカレー店があります。その名も「カレー食堂 Mojoカレー」。

「モジョって、何だ……?」と思いながら階段を上がっていくと……

あらぬ方向を見つめたまま微笑み続ける、真っ赤なタキシードの人形が出迎えてくれました。

う~む。ますます怪しい……。

しかし、扉を開けて中に足を踏み入れると、そこには清潔感のある至ってシンプルな空間が広がっていました。



徹底的に「煮る」ことで生みだされる味の世界

カウンターに座って、特に理由もなく「ビーフカレー」を注文。

ひとくち食べてみると、なんだか不思議な感覚が。見た目のこってり感とはちがって、口の中ですっと馴染み、さらりと溶けていくんです。淡い甘さを感じる優しい味なのに、ちょっと時間をおいてじんわりと辛さがやってくる。ごろりと入っているサイコロステーキ大の牛肉も柔らかく、少し噛んだだけでほろりと溶けていきます。

【赤ワインに漬け込んだ肉がごろりと入ったビーフカレー】


「そのビーフは、赤ワインにしっかり漬け込んであるんよ」

ちょうど漬け終わった肉をフライパンで炒めながら、オーナーシェフの堂本聡さんが、教えてくれました。

特徴的なルーは、「煮る」という工程を三日間積み重ねて生み出されています。

まず、タマネギを炒め、そこにニンジン、ニンニク、ショウガを入れてさらに炒めます。それを牛骨と鶏ガラを20時間煮たスープに混ぜて、さらに一日煮て、そこに赤ワインで煮た挽肉や、りんごなど煮てジャム状にしたものを加えて、もう一日煮て……。

「煮詰めると、甘みのばらつきがなくなって、味が安定するんよ」と堂本さん。

こってりに見えて、サラッとしている独特の食感は、「小麦粉の量が鍵」とのこと。

通常のカレーは、小麦粉2に対して、油は1の割合のところを、モジョは「1:1」。

「カレーを食べたあとで胃もたれするような感じになるのは、小麦粉に吸着した油が原因。小麦粉を減らせば、それを回避できるよね」

このルーをシンプルに使った「モジョカレー」をベースに、「ビーフ」「とんかつ」「ソースとんかつ」「チーズカレー」などのメニューが並びます。

ベースのルーはもうひとつ、スパイスが効いたインド風のものも。こちらはバターチキンとキーマの二種類。特に濃厚なバターチキンは、米軍岩国基地の外国人にも人気だとか。

【外国人にも人気のバターチキンカレー】



大切なのは「ニュアンス」

堂本さんは岩国市出身。大阪の輸入酒販売会社を退社して2011年に戻ってきました。しばらく広島市のバーで働いたあと、2014年にモジョカレーをオープンさせました。

開業までの半年間、理想の味を求めて試作を重ねるなかで、目指したのは「口に入れたときのニュアンス」だとか。

「最初は甘く、そのあとジワジワと辛くなる。そして、口の中でふわっとする感じ。そういうカレーを作りたくて。一番の理想は、しばらく時間が経った後でも味の余韻が残っているようなカレー。まだまだ、道半ばだけどね」

【開業前に、試作を繰り返している段階の調理メモ】


そもそも、どうしてカレー店を?

その理由は、実に明快です。「煮物が好きだから」

でも、煮物が好きな理由はどこか哲学的。「煮物って、煮たあとに放っておくのが大切なんよね。その時間に、ゆっくりと素材の持っている力が出てくる。その間、人は手を出せない。見ていることしかできない。そういうところが好き。どこか、お酒の醸造とも似ている感じがして」

【さり気なく飾られている映画「ブルース・ブラザーズ」のフィギュア。一見、お店とは何の関係もないようだけれど……】



「おまえがモジョか?」

店名の「Mojo」とは、常習性、中毒性、とりこになるといった意味を持つ英語のスラング(俗語)のひとつ。ギャンブル運や、女運などを向上させる魔術的な力を持つ人のことをモジョと呼ぶこともあるとか。ブルースの歌詞などにも頻繁に出てくるこのフレーズを気に入って、お店の名前にしたとのことです。

「外国人のお客さんから『おまえがモジョか?』って聞かれることもある。いやいや~(笑)」

最後に、これからについて尋ねてみると「長く続けることだね」とあっさり。「店を大きくしたいとか、儲けたいとかはないんよね。ただ、いつまでも『あそこのカレー、また食べに行きたい』と思ってもらえる店であり続けたいな、と」

取材の翌日、この記事を書きながら、すでにあの重厚感のあるビーフカレーが恋しくなっている筆者。もう完全に、このお店のモジョになってしまったのかもしれません。

 

*****

カレー食堂 Mojoカレー
住所/山口県岩国市麻里布町2-3-13 2F
営業/11:30~15:00、17:30~21:30 日・祝日 11:30~19:00
定休/不定休(火曜日の場合が多い)
TEL/0827-23-1875

取材・文:大村 たかし
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Spot Information

カレー食堂 Mojoカレー

住所 山口県岩国市麻里布町2丁目3-13 2F
TEL 0827-23-1875
営業時間 11:30~15:00、17:30~21:30 日・祝日 11:30~19:00
定休日 不定休(火曜日の場合が多い)

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