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2019/09/04 【山口】柳井

古民家カフェをオープンして丸4年。移住して初めて芽生えた“土地に根ざす”という感覚|高崎知耶さん【ItonamiCafe】

by 武井 奈々
大阪生まれ大阪育ち。瀬戸内海の穏やかで豊かな暮らしに惹かれ、2017年山口県周防大島へ移り住みました。海の向こうに四国の山並みを眺めながら、島暮らしを満喫中。島…

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青々とした田んぼの合間に民家が点在する、山口県柳井市の日積(ひづみ)地区。賑やかな市中心部とは打って変わって、自然に囲まれ、ゆったりとした時が流れている場所です。



古民家をセルフリノベーションしたItonamiCafe

2015年、この地に「ItonamiCafe(イトナミカフェ)」はオープンしました。国道から緩やかな坂を少し上ると、大きな白いのれんをかけた古民家が見えてきます。築130年の立派な建物です。

店主の高崎知耶さん。2014年東京から日積に移住されました。「田舎に住みたい」という思いが昔からあり、子どもが生まれるタイミングでどんなところで子育てをしたいか、を真剣に考えるようになったのだそう。それと同時に「地方で仕事を作る」というテーマの起業塾にも参加されたといいます。

でも、どうして東京から遠く離れた日積を選んだのでしょう?

「特に場所にこだわりはなかったんです。雪かきをするような寒いところは無理だなぁというくらいで。当時住んでいた東京で、偶然の出会いからこの家の大家さんを紹介してもらいました」

【店内の壁塗りや板張りなど改装作業は自分たちの手で。起業塾で一緒だった仲間が手伝いに来てくれ、約1年かけて完成したという】



日積というコミュニティの魅力

「初めて日積を訪れた時、近くの銭壺山(ぜにつぼやま)に登って海を眺めました。周りには田畑が広がっていて良い場所だなぁ、と感じましたね。大家さんも親身になってくれ、地域にも入りやすかった」

日積には地域おこしのグループがあり、高崎さんが越してくる以前から移住者は珍しくなかったのだそう。高崎さんも移住前からそのグループが取り組む活動に関わらせてもらったといいます。その一つが「里山探検隊」。柳井市内の小学生が日積の里山に宿泊し、地域の人に教わりながら、竹切りや釣りを楽しみ、自然に親しむ体験をします。

「ここには『子どもたちの為に何かしてあげよう』と本気で考える人が多くて。そういう大人がいる地域は良いな、と思います」

高崎さんとそんなお話をしていたら、ちょうどご近所の西本さんが夏祭りの打ち合わせにいらっしゃいました。

「今度のサマーフェスタでレーザー光線を使って舞台を照らそうと思うんじゃが」

「それは面白いですね!何かのDJイベントみたい(笑)」

年齢関係なく、日積を盛り上げようとする人々が真剣に地元のことを考える。そんな光景が当たり前に広がっていました。移住6年目、高崎さんはすっかり日積で重要な役割を担っています。

「最近、“土地に根ざす”という感覚が初めて生まれてきました。それは都会にいた頃には分からなかった」



ItonamiCafeの定番ランチ

【地元日積の野菜や米、周防大島のひじきなど、主に地の食材を使った「いつもの定食」。この日はメインのハンバーグに、ひじきの煮物、生キクラゲと野菜の和え物、ピーマンのじゃこ炒め。】

手ごねハンバーグは味噌を使ったコクのあるソースが絡み、ホッとする味わいでした。

「どんな人にも食べてもらえるような料理を作っています。奇をてらうのではなく、誰でも一度は食べたことがあるもの。野菜も多めに摂れるように考えています」と高崎さん。

日積に来てから畑を始めたという高崎さんの周りには先生が沢山います。

「農業について本当に何も知らなかったので、はじめはカルチャーショックでした」と笑います。今では家のそばに野菜だけでなく、お米も作っており、カフェでも提供されています。

【4月下旬に高崎さんが田植えをしたという田んぼ】



元気いっぱい!日積っ子

保育園が終わり、高崎さんのお子さん達が帰って来ました。長男の愉一(ゆいち)くんは、移住準備で改装作業をしていた頃に生まれ、来年はもう小学校へ入学します。

【最近のブームは写真撮影。近所の方が使わないカメラをプレゼントしてくださったのだそう】

【奥様の恵美子さんと長女のももちゃん、次男の晶平くん。みんな絵本が大好き】



日積の将来のために

高崎さんが移住してからこれまでの間に、同じ自治会に2組も移住者が増えたそうです。そうは言っても、少子高齢化・過疎化の波には抗えないのが現実。

「僕たちが来た頃は、日積だけで約1,600人が暮らしていたんです。それが今では1,500人にまで減ってしまいました。人を増やすということはできないけれど、せめて『日積って住みやすいな』と思える今の状態を維持できたらと考えています」

夏には盆踊り、冬にはお正月明けのどんど焼きで連凧をあげる。節目節目で昔から受け継がれて来た行事を次の世代へも伝えていく。

「子どもの成長の過程で何かしたい」という思いが強いという高崎さん。たとえ将来その子たちが街へ出て行ったとしても、「子ども達に目を向けていく」ということがとても大切で、それは自分にとってライフワークのようなもの、と語ってくれました。

日積のこれからに真摯に向き合う高崎さんと、元気いっぱいの子ども達。ホッとする味わいのランチに古民家の落ち着いた雰囲気もあいまって、居心地のいいおばあちゃん家に来たような、優しい気持ちになりました。

取材時期:2019年8月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:武井 奈々
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Spot Information

Itonami Cafe

住所 山口県柳井市日積3060
TEL 0820-28-0067
営業時間 11:00〜16:00
定休日 日曜日、祝日
URL http://itonamicafe.com/

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