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2019/09/11 【山口】山口

【半農半Xのリアル VOL.2】シングルマザーゆえに選んだ自家製酵母パンとお菓子作りの仕事|浅田久美さん[ハイカラ製作所]

by 石田 洋子
神奈川県鎌倉市出身。東京都内のIT企業に15年間勤務した後、自然豊かな田舎で子育てしたくて2017年に萩市へお引っ越し。仲間たちとリトルプレス『つぎはぎ』を作っ…

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半農半Xで暮らす人のリアルに迫ることで、自分らしい生き方のヒントを見つけるための特集。第2弾は、山口市で半自給的な暮らしをしながら、植物性の体にやさしい原料で自家製酵母パンやお菓子の製造販売を行う「ハイカラ製作所」の浅田久美さんにお話を伺いました。



シングルマザーとして選んだ働き方

「波乱万丈な人生を歩んできた。十代で結婚したこともあったし、ここでは言えないくらい色々。でも、好きなように生きてきたし、思ったことは全部やっちゃうから、悔いのない人生」

早く続きを聞きたくて、うずうず。そんな私のはやる気持ちを察してか、竹のサーバーにゆっくりとコーヒーを淹れる久美さん。

【コーヒー豆の焙煎も自分でしているそう】

【さりげなくそえられた葉が美しいお茶菓子にほっこり】


シングルマザーとして娘を育ててきた久美さん。出産後、娘とそばにいられるように、勤めに出るのではなく、自分で商売をするという働き方を選択し、両親や姉家族の近所に住みました。

最初に始めたのは花屋さん。フラワーアレンジメントの資格を取り、花屋や市場で働いたのち、当時住んでいた岩国市の自宅の土間にパラソルを置いて、セルフサービスでお花が買える無人の花屋さんを始めました。無人ながら評判がよく売上も上々。次第にフラワーアレンジメントや卒業式用の花など大きな仕事が入るようになりました。

そこで、店舗付きの市営住宅に入居が決まり、花屋さんは10年間続けました。



「田舎で自給自足の暮らしがしたい」

花屋を続けるなかで、趣味で焼いていたパンを販売すると、意外にも評判がよく、パンの道へ方向転換を決意。そして、「田舎で自給自足の暮らしがしたい」という思いが芽生えたそうです。

こういう時、久美さんは必ずすることがあります。それは、「こうなったらいいな」という妄想をノートに書きまくること。

「妄想を膨らませ、具体的にイメージすることが実現への近道。妄想時間はとても大事」と語る通り、自然に近い場所でパン屋をしながら生活するという妄想は全て現実になりました。「山口市阿東への移住を決めたのは、近所に住んでいた姉の決断がきっかけ。姉は、阿東でやりたいことが見えたみたい」

引越し先は空き家バンクで探し、姉家族や両親と歩いてすぐの距離に皆で引っ越しました。お姉さんは現在、「Earth kitchen地球食堂」を営んでいます。

家の裏には畑があり、種つぎした野菜や麦などを育てている久美さん。

【収穫した麦がたくさん。暖簾や座布団などカラフルでレトロな雑貨は久美さんの手作り】


この麦でパンやヒンメリやストローも作るのだそう。

珍しいヨモギや野草の勉強会で作ったというクリームも見せていただきました。

【野草の名前や効能がビッシリ書かれたメモ帳】

【普通のヨモギと野草の先生曰く「幻のヨモギ」。近所に生えていたそう】

【塗り心地バツグン。娘にアトピーの症状があったことから、化粧品も手作り】



自家製酵母と食への向き合い方

創業6年目となるハイカラ製作所。

何よりもこだわっているのはパンを作るための自家製酵母。自ら起こしたりんごの酵母を6年間つないで作っています。ブルーベリーやいちご、梅の酵母も試したけれど、一番長持ちして相性がいいのがりんごの酵母だったとか。阿東町はりんごの産地だけに気候があっているといいます。

【ハイカラ製作所のパン(浅田久美さん提供)】


「基本は植物性原料で作るヴィーガンメニューですが、それをストイックにつき詰める気はありません。卵を入れた方が美味しくなるときは、卵を使うこともあるし、お菓子が食べたいときは、砂糖を敵視せず甘いものを食べたらいいと思っています。暮らしに合ったものを、食べる楽しみを大切に作っています」

【ハイカラ製作所の焼き菓子(浅田久美さん提供)】



田舎暮らしとお金のこと

それにしても、人口の少ない地域でパンとお菓子の製造販売だけで生計を立てるのは、至難の業のように思えます。お金について伺ったところ、久美さんの場合、半自給自足の暮らしであれば、月に8万円くらいの収入でやっていけるとのこと。

「田舎にはちょっとした仕事があるので、移住して最初の2年間は、学校給食を配送する仕事をしていました。その後、『財布にお金が数百円しかない』というピンチもありましたが、近所の牛乳屋さんの配達の仕事を週2回やらせてもらって乗り切りました。どちらの場合も、家庭に支障のない時間帯に行って、学校行事には必ず参加していたし、なるべく娘を一人で留守番させないようにしてきました」

そんな娘も、ついに高校を卒業し家を出て独立。久美さんの暮らし方もガラリと変わりました。仕事に向き合える時間も増え、夜に家をあけることもできるし、交流が広がったそう。

「阿東で若者がユニークな活動をしていたり、最近『あとうをもりあげたい女性のネットワーク』(通称『あともり』)が立ち上がりました。私もその一員として女性ならではの視点で阿東という地域を面白くしていきたいですし、そうなる予感にワクワクしています」と話す久美さん。どんな妄想を膨らませているのか、今後が楽しみで仕方ありません。


※ハイカラ製作所のパンや焼き菓子は、「道の駅長門峡」や「秋川牧園」の直売店のほか、島根県津和野町の「レストラン糧」などで購入できます。予約や発送も受け付けており、イベントでしかお目にかかれないケーキもあるので、詳しくは以下、ハイカラ製作所のFacebookでご確認ください。

 

取材時期:2019年8月
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
最新の情報は直接各スポットへお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

取材・文:石田 洋子
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Spot Information

ハイカラ製作所

住所 山口県山口市阿東徳佐中3275-2
TEL 090-8607-4520
URL https://ameblo.jp/hana8mina/

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